DALAI_KUMA

いかに楽しく人生を過ごすか、これが生きるうえで、もっとも大切なことです。ただし、人に迷惑をかけないこと。

道(92)

2017-12-28 10:24:39 | ButsuButsu


「相撲道」という言葉で世間が揺れている。
貴乃花の言う「相撲道」とは何か。
それは外国人力士に理解できるのか。
面白い文章を見つけたので、以下に引用しておく。

貴乃花の言う「相撲道」とは、スポーツではなく文化なのだと思う。
これは外国人にはわからないだろう。
何しろ、日本人でさえ忘れてしまった心なのだから。
しかし、守りたい心でもある。

相撲協会と貴乃花の確執は、現実と理想の確執でもある。
現実は興行であり、金もうけである。
理想は、日本人としての心構えである。
そこには、美学が存在する。

古来、日本人はそのような美学を尊いものとしてきた。
九郎判官義経や浅野内匠頭などは、多くの庶民から支持されてきた。
イケメン貴乃花にも心酔者が多い。
相撲協会がどうあろうとも、勝負ははなから決している。

すべてがグローバル化され
国際的な色で塗り固められている昨今
かたくなに「日本人の心」を追求する。
そんな「相撲道」があってもよい気がする。

海外から日本に来て
日本の文化に触れあおうとする人々は
「日本人の心」を理解するように努めるべきだし
その象徴が「相撲道」であるのなら、その道から外れるべきではない。

モンゴル人がモンゴル人に暴行を加える。
これはどうみても集団リンチだし、「相撲道」ではない。
貴乃花の美学とは、到底相いれない。
こうして、私たちは今、とても重要な問いかけに直面している。

アメリカや中国、韓国や北朝鮮といった国々の
時には理解不能な言動と対峙して
必要な決断を迫られることが多い昨今
「日本人の心」が国難を救うのかもしれない。

***********
第65代横綱 貴乃花 光司

中西進先生は当代随一の万葉学者であり、日本人が忘れてきてしまった“日本の美徳”を、言葉の起源をひもときながら誰にでもわかりやすく教えてくれ、目を覚まさせてくださる方です。その中西先生の著作集全三六巻が順次刊行されるとのお知らせを聞き、改めて先生の精力的な仕事ぶりに頭の下がる思いが致しました。
私が中西先生と初めて出会ったのは、東海道新幹線の座席ポケットに入っている『WEDGE』誌上でのことでした。地方巡業に赴く長い道中、ふと手にとった『WEDGE』に連載されている「日本人の忘れもの」を読み、心が揺さぶられるような思いが致しました。
私は15才で入門して以来、ひたすら相撲道を邁進して参りました。相撲界は一般の方から見ると特殊な世界のようで、未だに国技である“相撲”は完全に理解されているとは言えません。たとえば“横綱”についてですが、横綱とは「力士の中で最も強い者」「相撲という格闘技のチャンピオン」である、と解釈されている方がおられることが残念でなりません。同様に、相撲は“日本古来の格闘技”ではありません。相撲とは『神道』に基づき、男性が神前にその力を捧げる神事がその根源です。横綱に強さだけでなく、品格や厳格さが求められるのは、相撲が神事である証しといえるでしょう。横綱とは力士番付における最高位ではありますが、ただ勝ち星が多ければよい、他の力士に比べて力や技に勝り、誰よりも強ければそれでよいという存在では決してありません。
相撲の道を志すものは、「強くなりたい」という思いと同時に、「日本の伝統文化を守る」という強い意志が必要だと私は常々考えて参りました。それと同時に、相撲を通じて古来から脈々と受け継がれてきた日本文化の美学を後世に伝えていくことが、相撲に関わるすべての人間に課せられた義務であると考えております。
中西先生の著作に初めて接したとき、「ここにも日本の伝統文化を伝え、守ろうとしている方がおられる」と、まるで同士を見つけたように心強く感じると同時に、背筋が伸びるような思いをしたことを今でも覚えております。しかも、遠大なテーマでありながら中西先生の語り口に難解なところはみじんもなく、常にどんな人にも平易に読める文章で日本文化の奥深さを伝えてくださいます。このようなところにも、先生の温かなお人柄と、近代化の中で日本人が忘れてきたものを幅広く伝えたいという情熱がうかがえます。
私が実際に中西先生にお会いしたのは、貴乃花部屋創設の際作成した記念パンフレットに掲載するため、こちらから「是非に」とお願いし実現した対談のときでした。先生は文体そのままの方で、眼鏡の奥のまなざしは優しく、そして時に茶目っ気が感じられました。「相撲道」にも格別の関心をお持ちで、先生の専門分野である“言葉”から、様々な考察をされておられました。例えば、相撲の立ち合いで行司がかける“見合って、見合って”というかけ声については、「日本語で“見合う”というのは“誉める”という意味があるんです。これは、お互いに尊敬し合えるからこそ、真剣勝負ができるという深い意味が込められている証拠と言えます」という言葉をお聞きし、先生が相撲道の本質を見抜いておられることに深く感じ入ったものです。相撲の本質とは力の競い合いではなく、その時々の力と技の優劣を競うことに眼目があるという深い考察にも、先生の相撲に対する思いが伺えました。
対談でとりわけ印象深かったのは、中西先生が「女性が土俵に上がれないのはどうしてですか?」と聞かれたことでした。当時は、ちょうどそのことが世間で話題となる出来事があり、論争が起きていたのですが、先生はまさに直球でその真意を私に問うてきたのです。これに対し、私は「相撲とはもともと力士のどちらかが死ぬまで競い合うもの。土俵という闘いの場に本来守るべき存在の女性を上げるわけにはいかない。女性を土俵に上げないのは、この精神があるからなのです」とお答えしました。すると、先生は何とも言えない嬉しそうなお顔で「そもそもそのような由来があったのですか。一般の方々にも広くそうした事実がわかった上で、正しい議論が始まると上手な解決法が見つかるかもしれませんね」と深く納得されてらっしゃいました。
中西先生は文学を通じて日本が古代より女性を尊んできたことを熟知されておられます。日本文化が女性の手によって花開いていったその歴史を知り抜いておられる先生だからこその、安心されたご様子の笑顔と理解し、先生の「正しい議論」というお言葉に、私自身も勇気づけられる思いでした。
『日本人の忘れもの』――私が中西先生と出会うきっかけともなったエッセイのタイトルがそうであったように、近頃の日本は大切な多くのことを忘れてしまっているようです。我々は、日本人としての誇りを持ち「日本人の心」を今一度再確認しなくてはいけません。中西先生にはこれからも著書を通じて、この日本の素晴らしい伝統文化を未来に語り継いでいっていただきたいと願ってやみません。

万葉学者「中西進著作集25」に封入の「月報」より
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道(91)

2017-12-21 10:05:49 | ButsuButsu


2017年12月14日、実験調査船はっけん号で、琵琶湖葛籠尾崎地先へと向かった。
この地は、湖底遺跡があることで知られている。
古いものでは8000年前の縄文時代の土器が見つけられている。

現地で船を係留し、最新型の水中ロボットを投入した。
思ったより湖底堆積物が多い。
水中を浮遊する粒子の数も多そうだ。

この場所は、塩津湾から吹く風と菅浦から吹く風が左右に交互で卓越するので、船の固定が難しい。
おまけにロボットのケーブルは150mしかなかった。
ゆっくりと濁りの中を進む水中ロボットのカメラが、何かを捉えた。

「壺だ!」
歓声が上がる。
その場でロボットを着底させ、水が澄むのを待つ。

現れたのは、なめらかな曲線を持つ土器だった。
どこにも傷のない完全な形の土器だ。
少しずつ前方に回り込もうとするが、ケーブルの長さが足りない。



その時、神風が吹いた。
風向が変わって、はっけん号が土器の方向にゆっくりと動き始めたのだ。
「やった!」

ついに壺の口を拝むことができた。
一緒に参加した水中考古学者が、「7世紀ころの土器かな」とつぶやいた。
600年代というのは、大津京の前あたりか?

琵琶湖の湖底には歴史のロマンがある。
かれこれ30年近く琵琶湖の湖底を研究してきたが、こんなに美しい遺物は初めて見た。
いつの日か、この壺を採取したい。

そんなことを思った。

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道(90)

2017-11-21 18:09:18 | ButsuButsu


大学の正門で、かわいい白い花を見つけた。

思わず写真を撮る。

ネットで調べたら、アベリア コンフェッティと言うのだそうだ。

原産は中国。

花言葉は、謙虚・謙譲・強運。

大学の入り口に植えるのには、向いているのかもしれない。

学生たちはほとんど見向きもしないが、この灌木は結構長く花を咲かしている。

今日は、ひとつ勉強した。
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道(89)

2017-11-17 13:20:47 | ButsuButsu


昨日の続きの話をしよう。

吹き出しの場所は、この画像の赤丸の点である。

すぐ横には、湖底からそそり立つ山がある。

この山は、湖面には出ていないが、かつてあった火山の痕跡であると言われている。

今から7-8千万年前の話だ。

この隠れ山の少し北にあるのが、湖面に顔を出している沖ノ白石である。

このような、湖中に隠れた山塊が南から北に連なっており、そこかしこで湖底からの噴出が確認されている。

壮大で面白い話だ。
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道(88)

2017-11-16 14:44:01 | ButsuButsu


11月3日、選抜された中学生たちと一緒に、久しぶりにびわ湖の調査へ赴いた。

多くの台風が襲来した10月とは異なり、この日のびわ湖は驚くほど穏やかだった。

何気なく計量科学魚探を眺めていたら、画面が湖底からの吹き出しを捉えていた。

これまでにないくらいの吹き出しだ。

水深70メートルから吹き出た水とガスは、水深50メートルまで達している。

以前はこんなに激しくなかった気がする。

びわ湖の湖底もドンドン変わってきているのだろうか。

因みに、この日の透明度は1~2メートルだった。


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道(87)

2017-11-02 17:00:14 | ButsuButsu


10月28日に、ふたば書房からブライアン・ウィリアムズの新しい本が発売された。
企画してから2年の歳月がかかった。
その分、良い本ができたと思っている。

びわ湖トラストのホームページから注文できる。
会員は、特別価格だ。
http://www.biwako-trust.com/?p=1889

また、AMAZON からも発注が可能だ。
https://www.amazon.co.jp/%E3%81%B3%E3%82%8F%E6%B9%96%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%9B%AE%E2%80%95%E3%81%8D%E3%82%8C%E3%81%84%E3%82%92%E3%81%82%E3%81%97%E3%81%9F%E3%81%B8-%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%AA%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%82%BA/dp/4893201859/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1509609810&sr=8-1&keywords=%E3%81%B3%E3%82%8F%E6%B9%96%E3%83%BB%E3%83%96%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%81%AE%E7%9B%AE

絵画とエッセイの合本は、画文集というのだそうだ。
アメリカ人の風景画家という、ちょっとユニークな目を通して知るブライアンの意見は、日本人とは微妙に違う印象を与えてくれる。

付き合い始めてから結構長い月日が経つのだが、時々、この違いを実感することがある。
例えば、この本のタイトルもそうだ。

びわ湖・ブライアンの目

という。
びわ湖が先で、後にブライアンの目が加わる。
そこに、彼の主張がある。
彼は、多くのことを言いたいのだ。
欲張りな男だと思う。

私は
ブライアンとびわ湖
にしたらと提案したが、彼は反論した。

英語にするとよくわかる。

前者が
Lake Biwa thorugh Brian's eyes
なのに対して
後者は単純に
Brian and Lake Biwa
になってしまう。
これでは意味がない。

ということで、ブライアンの思いのたけに溢れたこの本を、ぜひ購読していただきたい。
利益の一部は、びわ湖トラストの活動に寄付されるという。
そして、トラスト所有の調査船はっけん号の運航が可能となる。

分水嶺から流れてきた水が、河川水や地下水となって、やがてびわ湖に注ぐ。
読者から集まった代金が、積もり積もって、調査船を走らす。

おかげ様、の世界である。
明日も平安で良い天気でありますように!
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道(86)

2017-10-09 17:39:11 | ButsuButsu


秋になり、ナナカマドが美しい。

天気が良ければ、近場を巡ってみよう。

そんな折、嫌な事件に巻き込まれてしまった。

AMAZONプライムの個人情報が流出し、カードが不正に使われてしまった。

早急に対応し、とりあえずカード情報を変更した。

どうも、AMAZONの情報管理が甘いようだ。

気を付けたほうがよい。
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道(85)

2017-09-22 15:52:59 | ButsuButsu


今井一郎先生が、日本水産学会賞を受賞されました。

びわ湖トラストの科学委員会初代委員長であった今井一郎先生(北大教授)が、平成28年度に日本水産学会賞を受賞されました。心より祝意を表したいと思います。
受賞対象の業績は、「有害有毒プランクトンの発生機構と発生防除に関する研究」でした。

今井先生は、主に、シャットネラという有害赤潮を形成する鞭毛藻類を対象として、瀬戸内海を場として長年研究を続けてこられました。
また、びわ湖や三方五湖で発生する有毒アオコについても研究されています。
特に、海藻や水草・ヨシ茎に付着する殺藻細菌や殺藻ウィルスの存在を指摘しておられ、これらを有効利用することによって、有害赤潮や有毒アオコを形成する植物プランクトンの発生を防除することが可能であると指摘されております。

このような赤潮やアオコといった有害有毒プランクトンの発生域が、温暖化の進行に伴って拡大している事実を考えるとき、環境への負荷の少ない防除手法の開発は大きな社会貢献となることが期待できます。
先生のますますのご活躍を期待しています。
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道(84)

2017-09-21 11:40:48 | ButsuButsu


本日、14時から大学でシンポジウムが開催される
タイトルは「琵琶湖の価値を10倍高める」だ。
どうやら、交流会では、琵琶湖ホテルのシェフが作る、おいしものが食せるようだ。
まだ間に合うかもしれない。
時間のある人はどうぞ参加してください。

ここしばらく、琵琶湖10倍キャンペーンをやりたいと思っている。
美しくメイクすれば、誰しも評価が上がる。
琵琶湖という素地は良いのだから、その価値をきちんと伝えればよい。
良さを発掘して、少し脚色して、人前に出す。
どうやらそういう努力を怠ってきたようだ。

ブライアンも私も、40年以上琵琶湖と付き合ってきて、まだ飽きていない。
こんな自然は、やはり価値があるのだ。
もっと知りたいと思うし、
もっと知らせたいと思う。
そのために、琵琶湖にかかわりや関心を持つ人が、少しだけ頑張ればよい。



********************************
■日 時:2017年9月21日(木)14:00~17:30(交流会 17:30~19:00)
■場 所:立命館大学びわこ・くさつキャンパス ローム記念館
     〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1
     (アクセス:http://www.ritsumei.ac.jp/accessmap/bkc/)
■参 加 費:無料(情報交換会費:1000円)
■定 員:120名
■主 催:立命館大学総合科学技術研究機構 琵琶湖∑研究センター
■共 催:公益社団法人 滋賀県環境保全協会
■講演内容
講演1 滋賀県水産試験場 次長 桑村 邦彦 様
    「琵琶湖の水産業-これまでの取り組み、そしてこれから」
講演2 理工学部ロボティクス学科 教授 川村 貞夫
    「水産資源確保のためのロボット利用可能性」
講演3 スポーツ健康科学部スポーツ健康科学科 教授 海老 久美子
    「三方美(い)しスタディ:滋賀の健康を食から考える~「ab豆倶楽部」を例に」
講演4 琵琶湖ホテル レストラン調理部 洋食調理課 料理長 稲葉 章夫 様
    「湖国食材の魅力を再発見 ~フレンチの技法を用いた新たな“食”の提案~」
■プログラム詳細は下記をご覧ください。
http://www.ritsumei.ac.jp/file.jsp?id=346995
■申込方法
下記URLよりお申込みください。
http://bit.ly/sigma08
(お問い合わせ先)
立命館大学 研究部 BKCリサーチオフィス
担当 三木・魚谷・八木
〒525-8577 滋賀県草津市野路東1-1-1
Tel:077-561-2802(平日9:00~17:30)
E-mail:r-miki-a@st.ritsumei.ac.jp」。
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道(83)

2017-09-20 12:53:31 | ButsuButsu


ジュニアびわ湖塾の開始

昨日は、大型台風18号(935hPa)が日本列島をかけ抜け、各地に大きな災害をもたらしました。
また、アメリカではハリケーン・ハービー(938hPa)やハリケーン・イルマ(916hPa)が次々と大都市を襲っています。
いま、地球環境が大きく変化しようとしています。
特に、海洋や陸水の急激な変化と気象の変化が同調しており、各地で未曽有な災害をもたらしたり、生態系の異変を引き起こしたりしています。
このような事態は、今後さらに拡大することが予測されています。
これらのことを克服するためにsustainable action(持続可能な行動)やsurvival capability(生存能力)に関わる教育が必要だと考えられています。
しかしながら、こうした取り組みは既存の学校教育では十分にカバーできないのが実状です。
そこで、びわ湖トラストでは、さまざまな自然環境に関連した問題の解決に貢献できる国際的な地球科学者の卵を育てることを目的としたジュニアびわ湖塾を開催することとしました。

今回選抜された中高生は12名です。
8月に、はっけん号に乗船してびわ湖に出かけました。
湖上でサンプルを採取したり計測機器を操作したりする技術を身につけ、地球の自転によってできる渦巻き流れ(環流)や、琵琶湖で固有の生物(プランクトン)などの基本的な学習をしました。
また、クルーレス・ソーラーボート大会にも参加し、入賞(1位と3位)しました。
9月からは、地球の環境変動を科学的に捉えるために必要な基礎力を身につける座学がスタートしています。
毎月1回の開催で来年3月まで、びわ湖という自然の教材を対象として、物理・化学・生物・地学・工学、経済学などの学際的な視点から地球科学の基本を学習します。
また、科学者として必要な文章力や英語力の向上に役立つ指導も行い、将来国際的に活躍できる力を養います。

教授陣は、びわ湖周辺の大学・企業などの専門家です。
集まった青少年が、一線の指導者と直接対話することによって、この地を地球科学研究のメッカにしたいと考えています。
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道(82)

2017-08-15 13:10:19 | ButsuButsu
風景画家ブライアン・ウィリアムズの新しい本の出版に寄せて(近刊)



「2次元と3次元の狭間(はざま)で」

私の専門は地球物理学である。
その中でも特に湖水の運動について研究している。
琵琶湖のような大きな器に貯まった水は、時として奇妙な動きをする。
それは地球の重力と自転の存在によって引き起こされる。
重力は、深さ方向に水を押しつけ安定させようとする。
一方、湖水は太陽の熱で加熱されたり冷却されたりする。
また、風によって波が起こったり、一方向に水が吹き寄せられたりする。
水が動き始めると地球の自転効果が働いて回転し始め、渦まき流れ(環流)という不思議な運動が生じる。
そこには、太陽から到達するエネルギーが、地球上の海や大湖沼に大きな渦巻運動を引き起こし、やがてさまざまな形に変化していくという壮大なエネルギーの物語がある。
こうして、琵琶湖の中には水平面内を流れる2次元流(環流)と、立体的な構造を持つ3次元流(乱流)が共存することとなる。
そして、この2次元と3次元の狭間には奇妙な関係が存在する。

!!!!!!!!!!!!!!!!

風景画家ブライアン・ウィリアムズに私が初めて出会ったのは、今から30年ほど前、1980年代後半のことである。
当時、私は滋賀県琵琶湖研究所に勤務していた。
その時に主催した環境に関わる講演会に、聴衆の一人としてブライアンはやってきた。
琵琶湖周辺を題材に風景画を描いている彼にとって、対象として見つめる自然の破壊は我慢のならないことだったのだろう。
強い調子で湖岸の改変を批判した。
折から琵琶湖総合開発の最中で、自然湖岸は人工湖岸に置き換えられ、美しいヨシ原はコンクリート湖岸に変わっていった。

ブライアンの絵には湖岸のヨシ原が多く登場する。
田舟とヨシ原の向こうに浮かぶ竹生島は、画家だけでなく多くの写真家の絶好のスナップショットでもあり、特に、夏場の太陽が西空に沈む頃には、多くのプロやアマの写真家が自慢のカメラをもって詰めかける。
それほど風情のあるヨシ原の原風景が、琵琶湖では激減してしまった。
それは、単に湖岸の改変だけが原因でもない。
1970年代、都市化の波が押し寄せてきた琵琶湖南湖周辺では、人間の活発な生産活動によって地下水脈がすっかり変わってしまった。
ヨシは、地下水がコンコンと湧き出す湖岸を好む。
そこでは根もとの水が常に入れ替わるからだ。
開発に対する批判を受けた滋賀県が人工的にヨシ原を復元したのだが、なかなか成功しないのもそこにある。
水の入れ替わりがない場所にヨシ原を造成しても、健康なヨシは育たない。
生き物にとって水の動きはとても大切で、単に水があればよいというものではない。
水温や栄養や濁りといった複合的な組み合わせの結果、それぞれの生物に好適な水環境が存在する。

ブライアンは、職業柄そのことをよく知っていた。
だからこそ、本書では分水嶺から話が始まっている。
山に雨が降り、森を涵養(かんよう)する。樹木から滴り落ちた水は、谷間を下り、小川を経て川となる。
そして、同じくらいの水量が地面にしみ込んで、地下水となる。
「分水嶺から少し下ったあたりに、原生林かそれに近い状態の森林が生き残っている一帯がまだある。
朽木の北西部、京都と福井と滋賀の境あたり、生杉(おいすぎ)の山村より数キロメートル奥まった場所だ。
そこの一画に、巨木が生い茂る小さな斜面がある。周長が2~3メートルからなるブナやナラなどの大木の間を散策すると、まるで緑の大聖堂にいるようだ。
特に新緑の時期には、淡い緑の若葉と、古くて太い幹とのコントラストが実に美しい。
その美しさ、その静けさが心に染み入る。

こうして琵琶湖の水は涸れることなく溢れ、ヨシ原は息づく。
その根源が琵琶湖周辺に鬱蒼として広がる森林地帯だとブライアンは語る。
そこには、樹木たちの息遣いがあり、瑞々しさにあふれた命の営みがある。
神々しささえ醸し出す巨木群こそ琵琶湖の源であると、この老齢の域に差しかかった風景画家は主張する。

「日本の一番美しい季節を彩っているのは新緑だ。
(中略)美しく芽吹くこの森が、向こうにキラキラ輝く湖を守ってくれている」

なんとブライアンの思いのたけがあふれ出た表現だろう。
こうして、私はすでに30年近くブライアンと付き合っている。
共に数回、モンゴルへも出かけた。
写生をする彼の姿を間近に眺め、自然を語り、ゆっくりとした時間を共有するときに、たびたび彼の人間性に触れてきた。
一見して大雑把な性格に比して、彼の絵は精緻である。
まるで写真のようだと皮肉る人がいるが、私はそうは思わない。
しっかりした筆遣いがあるからこそ、ごまかしがない美しさがある。
たぐいまれな表現力が、常に生存競争に明け暮れる自然の世界を生き生きと写し取っていく。
自然にごまかしは存在しないのだから。

そんなブライアンに転機が訪れた。
2007年のことだ。
それまでの平面画を曲面画へ発展させたのだ。
そう、2次元から3次元への華麗なトランスファー。
そこに自然科学をこよなく愛すブライアン・ウィリアムズの真骨頂がある。
普通の画家は平面の中に立体を描こうとする。そこには何となく窮屈な感覚がある。
キャンバスを曲面にすれば、見た景色にもっと近くなるのではないだろうか。
それが、ブライアンというちょっと変わった画家の発想だった。
彼は、そのことをトンビの目と表現した。

「私は、高所作業車を写生道具にする、世間ではまずいない絵描きだ。
絵にならない平凡な場面でさえ、作業車のバケツに乗って上がれば上がるほど、感動させてくれる景色に変わる。
松の木内湖との新しい出会いも、こうして始まった。
(中略)
水田、川、ヨシ群落、内湖、湖との間に農漁村、そして光る琵琶湖そのもの。
まさしく人の命をつなぎ、水質と生き物の多様性が守られる営み。
(中略)
魚の産卵・生息・水鳥も豊富、命あふれる美しい世界」

私は、そんな彼の発想が大好きだ。
それほどに、2次元から3次元への転回は大きな意味を持っている。
見方を変えることによって、彼は自由になった。
最近の彼の曲面絵画は精緻であることに加えて深みも出てきた。
平面から飛び出して立体的に表現しようとしている曲面絵画は、まるで漫画の「ど根性ガエル」のようだ。
平面から飛び出して自由になりたいというエネルギーのほとばしりがひしひしと感じられる。
こうして、ブライアン・ウィリアムズは自分自身を解き放った。
世界で唯一の曲面絵画師であるブライアンの絵画は、もっともっと多くの人々に知られてもよいのではなかろうか。
そういう熱い思いから、私たちは本書の制作に取り掛かった。

最初にも述べたように、2次元(平面)と3次元(立体)の狭間で起こるエネルギーのやり取りは、自然の中でもよく起こる。
ブライアンが風景画家として生涯をかけて表現しようとしている琵琶湖。
その中で起こっている奇妙な現象がある。
例えば、コップに水を入れて箸でかき混ぜると渦ができる。
混ぜるのをやめると、水の運動は次第に遅くなり、やがて静止する。
物理学では、このことをエネルギーカスケードと呼んでいる。
大きな渦が小さな渦となり、やがて熱に変わる。
こうしてできた渦は決して永続しない。

琵琶湖にも渦の流れがある。
環流と呼ばれる渦だ。
この渦を作るのは、太陽から与えられる自然の力だ。
風や熱によってエネルギーが供給される。
そして、奇妙なことに、この渦はなかなか消えない。
台風が来るとしばらく見えなくなるが、2~3日経つと元の渦が忽然と現れてくる。
かつて私たちが実際に琵琶湖で測定した渦の流れを図で示そう。



この渦は、世界で最も美しい渦だと言われている。
なぜ渦はすぐに消えないのだろうか。
その答えは、3次元から2次元へのエネルギーの流れの存在である。
風や熱によって琵琶湖へ入るエネルギーは、上から下へ流れる3次元のフローである。
一方、湖の成層が作り出す環流は水平方向に流れる2次元の性格をもっている。
水の流れと渦が共存するとき、そこでは小さな渦から大きな渦へとエネルギーが運ばれるのである。
このことを逆エネルギーカスケードと呼んでいる。
何と自然はよくできているのだろうか。
この逆方向へのエネルギー輸送がなければ、地球上の水や空気の運動はすぐに止まってしまう。
私たちは雨のない世界で暮らすことになる。
であれば、多くの生命は生存しなかったと言ってもよいだろう。
同じような現象は、20年から30年に一度現れる土星の大白斑にも見られるという。

ブライアンは、平面の世界から曲面の世界へ飛び出した。
それは、決して平面を無視するということではない。
むしろ3次元から2次元へ向けての大きなエネルギーの流れが、彼の絵をもっとダイナミックなものにしている。
ひょっとしたら、私たちは今、偉大な瞬間に立ち会っているのかもしれない。
琵琶湖という自然に触れて開眼した風景画家ブライアン・ウィリアムズが絵筆で表現する曲面絵画が、ちょうど物理学の法則が教えるように、琵琶湖から溢れでて地球そして宇宙の真理にまで触れる普遍的で壮大なロマンを紡ぎ出す、そんな新たな物語の始まりなのかもしれない。
何かしら心の疲れた時に、ぜひ座右においてひも解いていただきたい画集随筆である。
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道(81)

2017-07-21 14:55:19 | ButsuButsu


暑い日が続く。

熱したアスファルトの上を、カマキリがゆっくりと歩いていた。

カマキリを見ると山本地方創生担当大臣を思い出す。

最近のニュースを見るたびに、安倍さんは実にエライ人を大臣に選んだものだと感心する。

蟷螂の斧という諺がある。

見るからに、エラそうである。

が、山本大臣が声を大にして語れば語るほど、うさん臭さがにじみ出し、安倍内閣の信頼性が沈下していく。

本人が、そのことを認識していないだけに、なお始末が悪い。

困ったものだ。

もう、時代錯誤のおじさんやおばさん政治家は、わが国にはいらないのではないだろうか。

因みに、カマキリの卵は螵蛸(オオジガフグリ)とも言われるのだそうだ。

意味深だけど、知らなかったな。
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道(80)

2017-07-10 12:38:28 | ButsuButsu


大学にいると、時々、面白い場面に遭遇する。

私の授業に出席していた留学生と話す機会があった。

彼は、アフガニスタンから来ていた。

「紛争が長引いて、さぞかしお国は大変だろうね」と言ったら、彼はにこやかに笑って答えた。

「Justiceが解決してくれる」

「それはどんなJusticeですか」という私の問いかけに、彼は

「General justice」と言った。

「それは宗教を越えたものですか」

「そうです」

こんな回答をアフガニスタンの留学生から聞くとは思わなかった。

Justiceというのは、アメリカ人が好きな言葉の一つだ。

しかし、アメリカにはJusticeと同時に影の部分が存在している。

それは暴力の世界だ。

私はもっとこのアフガニスタンの青年と話したかったが、授業も終わりそれ以降会っていない。

きっと彼にとって、Justiceは希望であり、あとは忍耐の世界なのだろう。

北朝鮮問題がややこしくなる中で、時々、こうした学生との会話を思い出す。

アメリカが係わって来た紛争で、成功した事例はない。

結局時間が解決するしかないのだろう。

彼の言うGeneral justiceは、日本で言う大義に近いのかもしれない。

大義のない行動は、人々から支持されないし、歴史の中では審判の対象となる。

混迷する東アジアにおいて、大義のある解決策を主張することが、結果的に成功するのではないかと思う。

それは、人間としての、人類としての、普遍的な正義の主張であろう。

このように、学生から学ぶことがたくさんある。

以下 Wikipediaより、
Justice is the legal or philosophical theory by which fairness is administered.
The concept of justice differs in every culture.
An early theory of justice was set out by the Ancient Greek philosopher Plato in his work The Republic.
Advocates of divine command theory argue that justice issues from God.
In the 17th century, theorists like John Locke argued for the theory of natural law.
Thinkers in the social contract tradition argued that justice is derived from the mutual agreement of everyone concerned.
In the 19th century, utilitarian thinkers including John Stuart Mill argued that justice is what has the best consequences.
Theories of distributive justice concern what is distributed, between whom they are to be distributed, and what is the proper distribution.
Egalitarians argued that justice can only exist within the coordinates of equality.
John Rawls used a social contract argument to show that justice, and especially distributive justice, is a form of fairness.
Property rights theorists (like Robert Nozick) take a deontological view of distributive justice and argue that property rights-based justice maximizes the overall wealth of an economic system.
Theories of retributive justice are concerned with punishment for wrongdoing.
Restorative justice (also sometimes called "reparative justice") is an approach to justice that focuses on restoring what is good, and necessarily focuses on the needs of victims and offenders.
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道(79)

2017-07-07 10:37:48 | ButsuButsu


何気なく琵琶湖の水面を見たら、そこには複数の鴨が戯れていた。

突然、大きなオスがメスの背に飛び乗り交尾を始めた。

十秒くらいだったろうか、大きなオスは悠然と離れていった。

すると、隣にいた中くらいの大きさのオスが、同じメスにとびかかり交尾を始めた。

ふーん、鴨の世界もメスが少ないのかな。

しかし、知らなかったな。

複数の雄が次々と同じメスと交尾をするのはトンボの世界かと思っていたけど、鴨もそうなんだ。

ちょうど今時分が鴨の交尾の季節らしい。

世間では北朝鮮や米国の話題で賑わっているが、自然界ではひたむきに生殖活動が行われている。

がんばれ、鴨のお父さんたちとお母さん。


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道(78)

2017-07-06 14:06:42 | ButsuButsu


I got the joke from my friend.

Mr. A: I am “Sori”, the prime minister of Japan.
I say that government of my friends, by my friends, for my friends, shall not perish from the earth.

Mr. G: Oh “Sorry”, but please tell me how I can become your friend.

Mr. A: You have very little chance, but at least, you have to play golf with me like Mr. T and Mr. K.

Mr. G: Oh my God! I don't have golf clubs, but belong to an alpine club.
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