人生というのはいろいろあるものだ。
うまくいくこともあれば、いかないこともある。
ジョン・フォーブス・ナッシュ・ジュニアは、数学の天才で、1994年にノーベル経済学賞を受賞した。
大学院博士課程の時に書いた非協力ゲームに関する論文から「ナッシュ均衡」を見出したことが評価されたものだ。
シルビア・ナサーによって書かれたナッシュの人生である「ビューティフルマインド」は、2001年には映画化された。
この映画はアカデミー4部門を獲得している。
興味深いのは、ナッシュが長い間(30年余り)、深刻な統合失調症(精神分裂病)を患っていたことだ。
感性が鋭いがゆえにかかる病気なのかもしれない。
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統合失調質の特徴は・・・・無意味感と虚無感である。
人はたいてい、他者との交流を通して、人生の意味と価値を見出す重要な手がかりを得る。
しかし統合失調質の場合は、事情が異なる。
創造的行為こそが、自己表現にきわめて適した方法なのだ・・・
その行為は孤独ではあるが・・・
彼らの能力がもたらした成果は、人間社会の共有財産と広くみなされている。
アンソニー・ストー(英国精神医学者「創造の力学」)
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天才、狂気、再生という人生を歩んだナッシュの生き様は、精神を病む現代の友人たちに一条の光をもたらすようだ。