2016年4月15日
今回の奈良の古道歩きも三日目。
今日は、去年の秋に歩けなかった「柳生街道 滝坂の道」を歩く予定。
7時にはホテルを出ようと思い、6時起床。
天気予報を見ようと思ってテレビをつけたら、何と熊本で大地震が発生していた。
しばしテレビの「災害報道」を見る。
こんな時に、遊んでいていいのか?・・・・とも思ったが、どうなるものでもない。
予定より1時間ほど遅れて、ホテルを出発。
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≪春日大社≫
8:15 春日大社に参拝。熊本の地震で被災した方々の無事と一日も早い復興を祈る。
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8:20 春日大社の拝殿を後にし、若宮神社の方に廻って十五社巡りをしながら、全ての神々に被災者の無事を祈る。
昨日までは、自分の健康のことだけを祈っていたが、今日は熊本の被災者のことを優先する。
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十五社巡りを済ませて「上の禰宜道(かみのねぎみち)」を、旧柳生街道へ向かう。
朝のお参りに来る近所の方と擦れ違うだけで、静寂そのものの道だが、時折、鹿の鳴き声が聞こえる。
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8:50 昨年の秋、北・山の辺の道で行った「白亳寺」への分岐。
いよいよ、「柳生街道の滝坂の道」へ入る。
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取りあえず、道の真ん中にある汚水マンホールの蓋を撮影。
この通りには二種類あったが、上の写真は鹿と桜の模様で、中央に「奈」の文字をデザイン化した市のマーク。
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8:55 道の舗装も無くなり、やっと古道といった雰囲気になる。
新緑が朝日にキラめいて美しい。
今回の旅では、いつも持ち歩いている大型の一眼レフカメラは持たずに、コンパクトカメラ二台にしたので、荷物は非常に軽くなったが、木漏れ日や逆光でのマニュアル撮影が難しい。
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新緑の美しさのほかにも、渓流の音やウグイスの鳴き声が盛んに聞こえて癒される道だ。
頭上の緑や脇の流れにばかりカメラを向けていたら、肝心の石仏を次々見逃してしまい、途中から引き返したりして右往左往。
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≪寝仏≫
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写真の中央上の矢印が「夕日観音」、その右下の矢印が「三体地蔵」。非常に分かりにくい。
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≪夕日観音≫
「夕日観音」は遥か崖の上にあった。仏像観賞用の単眼鏡で探し出し、予備に持ってきたコンパクト望遠カメラで撮影。
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≪三体地蔵≫
「三体地蔵」は、一度目は分からずに通り過ぎたが、他の石仏を探しに戻った時に気がついた。
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≪朝日観音≫
どう見ても「観音さま」とは思えない「朝日観音石仏」。夕日観音とのゴロ合わせでしょうか・・・・。
横目で見るだけなら15分ほどで通り過ぎる石仏群だが、かなり時間を掛けてしまった。
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タイムロスを取り返すため、誰もいない山道を急ぐ。
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≪首切地蔵≫
10:02 剣豪・荒木又右衛門が試し切りにしたという「首切地蔵」に到着。
いろいろなハイキングコースが合流するところなので、広場になっていて、ハイカーもチラホラ。
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なるほど、首が切られたようになっている。
ここにはトイレや休憩所があるので、シバシ休憩。
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ここからは「春日山石窟仏」が見られる真直ぐのコースと、「地獄谷石窟仏」が見られる右の迂回コースとに分かれる。
最近、石仏マニアに成りつつある私としては、どちらも見たいのだが・・・・。
近くで休憩していた地元のハイカーと思われるグループに、「どちらも見られる効率的な方法はないか?」たずねたところ、一組のご夫婦がこれから行くと言うことで、「ご一緒しませんか」とご親切に誘われた。
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10:08 首切地蔵前を出発して、右手のコースに入りまずは「地獄谷石窟仏」を目指す。私より年上かと思われるご夫婦だが、かなりの健脚でお二人ともお話し好きのようだ。
当然、昨夜あった熊本地震の話になったが、最近、東北の被災地巡りをしてきたばかりだと言っていた。
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≪地獄谷石窟仏≫
10:31 おしゃべりに夢中になっている内に、「地獄谷石窟仏」に到着。
鉄格子と金網に囲まれているが、写真撮影用の窓がついている。
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この辺りでは最も古い(奈良時代後期)石仏だということだが、けっこう色が残っている。
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地獄谷石窟仏を後にして、ご夫婦はドンドン登って行く。
鎖場もある本格的な登山道といった感じ。
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道はますます急な登りになり、「石切峠を越えた」と言われたが、それが何処なのか分からない。
逆向きのコース(下り)だったら、相当に膝に負担がかかっただろうと思う。
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キツイ峠道も、新緑の中のヤマツツジが癒してくれる。
途中で、ご夫婦の仲間だと言う男性と合流。ガイドブックに載っていない「秘密の石仏を見に行こう・・」ということになり、「春日山石窟仏」は後回しに・・・・。
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道標の無い山道に入り、「秘密の石仏」というところに到着。
写真右手奥に、石を切り出そうとした痕跡が残る。この周辺一帯は、東大寺大仏殿建立の際の、石切り場だったらしい。
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風化があまり進んでいないのか、仏像の姿かたちがハッキリ残っている。お釈迦様でしょうか・・・。
この山の中には、他にもガイドブックや観光マップには載っていない石仏があるそうで、「藪コギ」の話も出て来たので、私はこの辺で分かれて、「春日山石窟仏」に向かうことにした。
親切なご夫婦は、私が若草山の方に抜けると思っていたみたいで、「これから柳生へ行きます」と行ったら、驚いていた。
地元奈良のハイカーの方々は、春日山石窟仏を見たら若草山の方に回って市内に戻るのが一般的らしい。
したがって、案内してもらったコース取りが、効率的だったかどうか良く分からない。
しかし、「秘密の石仏」も見ることが出来たし、地獄谷のコースもけっこうハードで面白かった。
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≪春日山石窟仏≫
11:27 「春日山石窟仏」に到着。ここは「奥山ドライブウェイ」からも入れるからか、囲いが頑丈そうだ。
網目が小さいので、一眼レフカメラだとレンズが突っ込めない。
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11:40 いったん横切って来た「奥山ドライブウェイ」との交差点に戻り、水分補給。柳生方向に真直ぐ進む。
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≪峠の茶屋≫
11:50 有名な「峠の茶屋」に到着。
ここで昼食にしようと思って来たが、ナント、名物「草餅」が売り切れ。しかたなく「くず餅」を注文。
ご主人に聞いたら、この建物は築180年。
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地震関係の仕事をしているという一人旅の男性と、シバシ熊本地震の話をしながら「くず餅」を食べる。
ここまでのコースタイム
(単位:分)
春日大社拝殿-(5)-若宮神社-(25)-柳生街道入口-(27)-寝仏/夕日観音/三体地蔵-(8)-
朝日観音-(7)-首切地蔵-(24)-地獄谷石窟仏-(44)-春日山石窟仏-(20)-峠の茶屋
歩いた距離:約6km
歩いた時間:2時間40分
要した時間:3時間30分
※石仏を見逃して右往左往したり、秘密の石仏(?)を見に行くなど時間が掛かった。
※地獄谷石窟仏と春日山石窟仏を見る順番が、逆だったかもしれない.
奈良の古道歩き 柳生街道(滝坂の道-2)へつづく