若手実力派として人気の中村倫也が主演を務める一風変わったミステリー。衣食住を与えられ性欲も満たされるが一度逃げ込んだら逃げ出すことができない不思議な町の住人となった青年が、その謎に迫っていく。CMやMVなどを手掛ける荒木伸二が本格映画として初めてメガホンを取る。共演は石橋静河、立花恵理、山中聡ほか。
途中から主人公の心の動きが十分に伝わってこないところなど、突っ込みどころは多いが様々な社会風刺が効いていて作品自体はとても面白く、初監督作品としては上出来とも言えるはず。でも上映館や期間が少ないのには驚いた。描かれた町は奇妙で華々しさは無く、それぞれの場面も淡々としている印象だが、中村倫也が主演でもあり話題性は十分と思う。
中村倫也が主演!映画『人数の町』予告編
池井戸潤の小説を原作にした人気の企業ドラマ。監督は「半沢直樹」「下町ロケット」などの演出を務めた福澤克雄。そして「陸王」や「下町ロケット」などのテレビシリーズの名俳優陣が総出演と言っていいほどに多く出ていて映画を彩っている。印象はここにも、ここにも・・・と言う印象でとても豪華だ。主演は「のぼうの城」を主演した狂言師・野村萬斎。彼の演技がまた良かった。途中から予想外に凄味が出てきたのには驚いた。
作品は企業ものだけれど女性が見ても飽きのこない内容で、あの「かぐや姫の物語」のかぐや姫の声や下町ロケットの一員で人気になった朝倉あきが この映画でも重要な役どころを演じているので、女性はもちろん若い男性も応援したくなるはず。
やはり池井戸潤らしく、時代にタイムリーな題材で観ていて爽快な映画。
映画『七つの会議』予告2
累計800万部を売り上げた東野圭吾の小説「ナミヤ雑貨店の奇蹟」を『余命1ヶ月の花嫁』の廣木隆一監督が映画化。
一夜を明かすため3人の若者が忍び込んだ古い雑貨店。そこはかつて店主が悩み相談を請け負っていたナミヤ雑貨店だった。廃業したはずの店内に、突然悩み相談の手紙が舞い込み、次第に雑貨店の秘密が明かされてゆく。
ナミヤの主人 西田敏行はもちろん、門脇 麦 尾野真千子ら個性派俳優が持ち味を存分に発揮してくれている。特に門脇 麦の歌う姿には感動した。物語は、最初はばらばらなのだが、次第にひとつにまとまってゆく。このストーリーの織りなし方が素晴らしく、物語の深さを醸し出している。
私に取っては、休日のひとときにまたしっとりと見てみたい作品のひとつとなった。
映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』門脇麦が歌う「REBORN」MV映像
このところ、メジャーな洋画など沢山の興味ある映画が上映されていますが、この映画は是非多くの若い人達に見てもらいたい映画です。今年見た映画の中で初めて涙した映画です。映画館の窓口では、昭和天皇の玉音放送の原文を現代の言葉に直した訳が載ったパンフレットを貰うことができました。
その中からの抜粋です。
「・・アメリカとイギリスに宣戦布告した理由も、日本の自立と東アジアの安定を願うからであり、他国の主権や領土を侵すようなことはもともと私の思うところではない。・・
このまま戦争を続ければ、日本民族の滅亡を招くだけでなく、人類の文明も破壊してしまうだろう。そんなことになってしまえば、どうやって私は多くの臣民を守り、歴代天皇の霊に謝罪すればよいのか。これが、私が政府に共同宣言に応じるように命じた理由だ。・・
戦地で命を失った者、職場で命を失った者、思いかけず命を失った者、またその遺族のことを考えると、身も心も引き裂かれる思いだ。・・
けれども私は耐えられないことにも耐え、我慢できないことにも我慢し、今後の未来のために平和への道を開いてゆきたい。
私はここに国体を守ることができ、忠実な臣民の真心を信じ、常に臣民とともにある。
感情の赴くままに問題を起こしたり、仲間同士で排斥したり、時局を混乱させたりして、道を外し、世界からの信用を失うことは、私が最も戒めたいことだ。
国がひとつとなって家族のように団結し、日本の不滅を信じ、責任は重く、道は遠いことを心に留め、総力を将来のために傾け、道義を大切にし、固くその考えを守り、国体の本質を奮い立たせ、世界の流れから遅れないようにしなさい。
あなた方臣民は、これが私の意志だと思い、実現してほしい。」
日本のいちばん長い日 予告篇95秒
私に取ってこの所時代劇でこれほど痛快で面白い映画が無かった。そんな私をこの映画は久しぶりに堪能させてくれた。
領民から親しみを込めて「のぼう様」と呼ばれる城代、成田長親。果たしてその名の通り「でくのぼう」なのか、それとも奇策を操る戦略家なのか?
秀吉の命を受けて 武州忍城の開城を迫る石田三成の2万の軍勢に対し僅か500の兵士で立ち向かう。城代を演じる野村萬斎のひととなりがいい。脇を固める佐藤浩市、山口智充ら配役陣もいい。彼らの戦いっぷりが見ものだ。
狂言師の野村萬斎あってこその映画だと思う。人情味豊かで時代劇でこれほど見た後にすがすがしい気持ちになれたのは私だけでは無かっただろう。
監督 :『ゼロの焦点』の犬童一心と『隠し砦の三悪人 THE LAST PRINCESS』の樋口真嗣が異色のダブル監督
『のぼうの城』本予告編
キャスト ニコラス・ケイジ
チャンドラー・カンタベリー
ローズ・バーン
ララ・ロビンソン
ニコラス・ケイジが前にも似た映画に出ていた、昨年のネクスト。二分後に何が起こるか判ると言う予知能力を持つ主人公の話。この種のネタが好みなのかこの映画も突拍子もないストーリーで呆気にとられながらシーンが展開する。だが見応えはあった。次々と展開する新事実、目の前で起きる大惨事、それにひとたまりもない人間と圧倒的な恐怖を最新のVFWで描く。一度始まったら、休み無くぐいぐいと引き込まれて行く。特に目の前で墜落する旅客機、凄まじい地下鉄の暴走と激突のシーンは見逃せない。この大惨事をもとにした一種のスリラーに仕立て上げたのは評価できる点。最後にはこれまでに観たこともないようなディザスター(災害)のシーンが描かれるがデジタル・スタジオのAnimal Logicの力の入れようが判る。昔からありがちのネタと結末の映画で、作りようによってはつまらない映画になりそうだが、それを十分に補っていると思う。
ファミリー度 75点 カップル度75点 映画好き度75点。
ノウイング 予告編 Know1ng 2009 Trailer
キャスト ウイル・スムス
ロザリオ・ドーソン
ウディ・ハレルソン
7つの贈り物、そのひとつひとつが何であるか、なかなか判らないまま物語が進んで行く。彼が住む海辺の家がその贈り物のひとつであることは予告で判っていたが・・。主人公ベン・トーマスの脳裏に浮かぶ僅かづつのシーンが映写されるに従って、もしかしてという考えが心をよぎる。贈り物が何と何であるか映画の最後あたりで判るまで、冒頭からその伏線となるものが幾重にも描かれるのだけれど、結末が判らないものだから、途中ではそのシーンが何を言おうとしているのか予測しづらい。それがもどかしかった。
しかし、主人公ベンを演じるウイル・スミスの演技は素晴らしく、とても切なく悲しい主人公ベンの心情が伝わってくる。話が進むに連れ、彼に愛着を抱き、彼に同情をしてしまう。結末には賛否両論があると思う。それを思いながら、感情が高揚しないうちに結末が訪れてしまった。
ウイル・スミスの演技が良かっただけにとても惜しいと思った映画だった。
ファミリー度 75点 カップル度 75点 映画好き度 75点
『7つの贈り物』予告編
原作 C・S・ルイス
キャスト ジョージー・ヘンリー 、 スキャンダー・ケインズ 、
ウィリアム・モーズリー 、 アナ・ポップルウェル 、
ベン・バーンズ
前作に物足りなさを感じていたファンタジー映画ファンも今回の作品でそれが払拭されたと思います。登場するキャラクターも豊富です。ドワーフ(背の低い髭を生やした種族)セントール(半人半馬)ミノタウルス(牛頭の種族)そして言葉を喋るアナグマやネズミの騎士などなど。映画化が不可能と言われたファンタジー映画の最高傑作と言われるナルニア国物語ですが、ようやくその面白さが判ったと思います。それに一躍かっているのがカスピアン王子。この配役を探し出すのに2年の歳月がかかったと言います。主に舞台を中心に活躍をしていたロンドン生まれのイギリス人俳優ベン・バーンズ。精悍で愛情溢れる若き王子。もしカスピアン王子が彼で無かったら、この映画の評価も変わったでしょう。すでに「ナルニア国物語 第3章朝びらき丸、東の海へ」(仮題)への出演も決まっています。クライマックスの戦闘シーンでは動き出して戦う木々の精や多数の敵を呑み込む川の神など、ロード・オブ・ザ・リングを思い起こさせるファンタジーの王道で、老若男女楽しめる映画になっていました。第3章もさらに期待が膨らみます。
ファミリー度 90点 カップル度 85点 映画好き度 80点
Adventures in Narnia; Part 3