2008年の「グラン・トリノ」以来となるクリント・イーストウッドが監督と主演を兼ねた作品。監督のイーストウッドのファンならびに役者のイーストウッドのファンにとってはこの映画も記念的作品になった。
グラン・トリノで脚本家デビューし、イーストウッドの信頼を得た ニック・シェンクと組んでいる。
80歳過ぎでメキシコの麻薬カルテルから運び屋としてスカウトされた話は実際にニュース誌に掲載された実話とのことだが、これを本作品のようなハラハラドキドキの展開の中に家族との絆を描ききる素晴らしい作品に仕上げたところはイーストウッドとニック・シェンクのコンビだからできたことのように思う。
この作品はイーストウッド自身の人生にも折り重なるものになっているように見える。
最初の妻との間に生まれた実子アリソン・イーストウッドが本作の主人公の家族で最も主人公を恨んでいた娘の役を演じているのにあとから驚いた。
西部劇のガンマン役やダーティーハリー役を演じたイーストウッドが、腰が少し曲がって前かがみで歩く高齢の老人を演じる姿を見るのはいささか辛いものがあるが、監督としてのイーストウッドはもちろん、役者としてのイーストウッド凄さも感じる作品だった。
映画『運び屋』特報2【HD】2019年3月8日(金)公開