You got a movie

自分が見た映画をきままに記録したブログです。もしまだ見ていない人が御覧になっても興味を損なわないようにしています。

『重力ピエロ』

2009-05-29 22:39:30 | 映画[サ行]
監督   森 淳一
キャスト 加瀬 亮
     岡田将生
     小日向文世
     鈴木京香
     渡部篤郎 ほか
 
 
 アヒルと鴨のコインロッカーや死神の精度の伊坂幸太郎が書いたベストセラーミステリーの映画化。仙台のある町で起こった連続放火事件に絡むある兄弟に起こること、そしてその家族に隠された事実から、兄弟と父親との繋がり、家族の人間模様を描く。個性派の配役が難しい題材を観せるものにしている。とても辛い運命に見舞われた家族だけれどとてつもなく強い。弟の春は本当なら自暴自棄になってしまいそうだが、クールで落ち着いている。それは暖かい兄や両親に囲まれた環境で育ったせいだろうか。でも内心では兄が近くに居てくれることを望んでいる。映画化が難しいと言われていたらしいけれどそれはモラル的にと言う意味なのか?結末を見てそう思った。「春が二階から落ちてきた」と言う印象的な文句が映画の中でも生きる。謎解きやミステリーらしさはかなり薄れているので、人間ドラマとして見るとよいと思う。配役が皆合っていて、それに魅了されるし、原作に豊富に散らばめられたように、所々に出て来る「言葉」が心に残る。そんな映画です。
 
ファミリー度 70点 カップル度 75点 映画好き度 75点

映画『重力ピエロ』予告編



天使と悪魔

2009-05-23 08:21:49 | 映画[タ行]
監督   ロン・ハワード
キャスト トム・ハンクス
     アィエレット・ゾラー
     ユアン・マクレガー
     ステラン・スカルスガルド  

 ダ・ヴィンチ・コードに続いてベストセラーとなったダン・ブラウン原作の同名小説の映画化。天使と悪魔と言う題名の由来が最後になって判る。白いパラシュートで降りて来たのは天使で、最後に炎に包まれたのは悪魔。それ以外にも、この映画は善と悪、宗教と科学、愛情と憎悪、歴史と未来(古く歴史あるものに対して全くこれ迄に無い最先端のもの(反物質))とを相対して描く。バチカンとその周囲が舞台だがそのお陰でとてもスケールが大きい物語になっている。映画の随所に散りばめられた教会などの歴史ある建築の映像、そして圧倒的な造形美を放つ彫刻などの美しさには本当に見とれてしまう。途中からの展開は息をもつかせないほどになり、一気にラストへと向かうが最後にはどんでん返しも待っている。ダ・ヴィンチ・コードよりも展開がまとまっていて面白いと思う。ひとつ残念なのは助演のアィエレット・ゾラーの存在感が薄く感じた。科学者という設定だから仕方ないかも知れないが全編を通じて華が少ない印象。その分美術品の美しさばかりに目が行っていた。やはりこれがこの映画の見どころと思う。卓越したストーリーと美しいシーンを存分に楽しめる映画。
 
ファミリー度 75点 カップル度 80点 映画好き度 75点

5/15公開『天使と悪魔』予告編



GOEMON

2009-05-16 10:10:59 | 映画[カ行]
監督   紀里谷和明 
キャスト 江口洋介 大沢たかお 末広涼子 ゴリ
     要 潤 中村橋之助 平幹二朗 奥田瑛二ほか

 CASSHERNの紀里谷和明監督の第二作。制作に3年、セット数100、エキストラ1000人、総スタッフ数300人をかけたという、全編CGに近い映像はこれまで見たこともない異質の時代劇の世界を作り出している。まるで他人がやっている戦国ゲームを映画のスクリーンで見ているような印象。操作しているのはそのゲームの達人か誰かで最後にはあっさりとクリアーしてしまう。映像もゲームだがストーリーもゲームに近い。現実とは程遠い異次元の世界を我々が慣れ親しむ歴史の世界の中に創り出した点は新しく、その豪華絢爛さにも目を奪われる。しかし、あまりにもCGとすぐに判るレベルで特に戦いのシーンではロード・オブ・ザ・リングやスターウァーズを真似たところは逆に反感も。ここは最後までオリジナルを貫いて欲しかった。時代考証やストーリーの現実味などにとらわれず、豪華な俳優陣の演技や爽快感、そして壮大な音楽を求めるにはいいと思う。

 ファミリー度 65点 カップル度 70点 映画好き度 60点


Main Theme of ''GOEMON'' X JAPAN YOSHIKI



Gran Torino グラン・トリノ

2009-05-05 08:36:04 | 映画[カ行]
 監督 クリント・イーストウッド
 脚本 ニック・シェンク
 キャスト  クリント・イーストウッド
       ビー・バン
       アーニー・ハー
       クリストファー・カーリー ほか
       
      
 クリント・イーストウッド監督が自分の最後の主演作に選んだ映画。話自体はとても単純なストーリー。しかし、観る者に伝えるものは多い。「グラン・トリノ」は1972年にフルモデルチェンジされたフォード・トリノのハイスペックモデル。力強いアメリカの象徴。そして、古き良きアメリカにふさわしい主人公ウォルト。昨年から、急降下を余儀なくされたアメリカだが、この映画でどれだけ力付けられることだろうか?

 冒頭から家族とのやりとりの中で最初は主人公ウォルトがとてつもない頑固な老人として描かれているのだが、だんだんと周りの人間達の方が自分勝手で思いやりも無いことが見えてくる。決して彼は頑固では無く、真っ正直な人間で誰よりも思いやりがある。そして素晴らしく粋な男。
 主演女優も居ない、映画としての派手さも無い、観る人の年代を選ぶのかも知れない、それがアカデミー賞のノミネートをされなかった理由かも知れないが、映画にはこういう映画も有るということをはっきり判らせてくれる。間違いなく心に残る逸品と言える映画。アカデミー賞という派手な讃美は要らないかも知れない。 

 この映画のなかでひとつのテーマとなっている懺悔と言う行為、この映画の最後のシーンを見るとイースト・ウッドの俳優人生への懺悔なのかもしれないとも考えてしまう。

 ジェイミー・カラムの歌う「グラン・トリノ」の中の一小節はイーストウッドの渋い歌声だった。クリント・イーストウッド、ダーティ・ハリーや数々の映画で多くのファンを持った男が最後の主演を飾るこの映画、何と格好いいのだろうか!

 ファミリー度 95点 カップル度 85点 映画好き度 95点

Jamie Cullum - Gran Torino