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シオン

 堀之内寺沢里山公園の林縁に咲いている「シオン(紫苑)」。キク科シオン属の多年草で山地のやや湿った場所に生育している。草丈は1~2メートルになり8~10月に茎の上部に直径3~3.5センチの薄紫色の頭花を多数咲かせる。舌状花が白いタイプもあり写真の後方に見える。シオンの根茎を乾燥させたものが生薬の“紫苑”。咳止めや利尿の薬効があり、また美しい花色のため古くから観賞用として栽培されていたようだ。『源氏物語』には“紫苑”の言葉が何ヶ所か出てくる。
(『円地文子訳源氏物語』より)
 夕顔の巻:紫苑色の季節にふさわしい小袿(こうちぎ)に薄物の裳を鮮やかに引き結んだ腰つきがいかにもしなやかに~
 乙女の巻:年かさの女童が濃い紫色の衵(あこめ)を着て紫苑色の織物を重ね赤朽葉の羅(うすもの)の汗衫(かざみ)を着て~
 野分の巻:紫苑色や撫子色の濃いのや薄いのや、さまざまな衵の上に女郎花色の汗衫などという季節に相応しい服装で~
 さて上記の『円地文子訳源氏物語』(全10巻)は昭和47年に刊行が開始された。当時私は受験勉強の真っ最中だったが、第一志望大学の『国語』科目では必ず“源氏物語”の一節が出題されるとの評判だった。しかし原文を読破するのは大変なのでとりあえず現代語訳を読んであらすじだけ頭に叩き込んだ。実際に出題されたかどうかは記憶にないが、今はこの全巻は埃をかぶって書棚に並んでいる。この平安時代の恋愛ロマンを秋の夜長に読み直してみよう。

♪♪夜は大好き暗くなるから
  いろいろ隠して口紅つけて
  ちょっと一杯景気をつけに
  出掛けてみましょう明るい街に
  ほろ酔いでほろ酔いで夜の街
  よろめいてよろめいてみたいのよ
  優しい誰か楽しいどこか
  甘いロマンの夜を歩こう
  いつまでもいつまでもロマン
  忘れずに忘れずに恋
  主婦だって主婦だってロマン
  いつまでも女ですもの
  みんな出掛けてだあれもいない
  うちは嫌いよ寂しいから
  夕べの窓に小さな悪魔
  悪いいたずら囁きに来る
  抱きしめて欲しくなるどうしましょう
  あぶないわ今夜あたり 
  仕方がないわ女ですもの
  甘い悪魔のささやきに弱い
  いつまでもいつまでもロマン
  忘れずに忘れずに恋
  主婦だって主婦だってロマン
  いつまでも女ですもの
(『主婦とロマン』 作詞・作曲:浜口庫之助 歌:渚まゆみ 昭和30〜40年代)
(JASRAC許諾第J210129422号)
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ナンゴクヒメミソハギ

 ミソハギ科ヒメミソハギ属の「ナンゴクヒメミソハギ(南国姫禊萩)」。北アメリカ原産で北アフリカや中近東の熱帯~温帯に帰化している。日本では昭和48年(1968年)に鹿児島県で見つかりその後10年で九州地方一円の水田に拡がった。ホソバヒメミソハギに良く似ているが花に明瞭な柄があることで識別できる。写真の株は水田のイネの横にあり畦から手を伸ばして撮ったが花柄が見えにくい角度だった。奥の果実に柄が見える。これは長池公園“里山”のもの。
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ヌカキビ・2~花

 イネ科キビ属の「ヌカキビ(糠黍)」。北海道~九州の野原や林縁に生育する一年草で草丈は30~100センチ。花期は7~10月で茎の上部に細い枝を出しまばらに小穂を付ける。小穂の長さは2~2.5ミリで先端に雄蕊と雌蕊が見える。これは堀之内沖ノ谷戸公園の林縁のもの。
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