私が20代前半の頃、コーチとして東京都水泳協会主催の「新潟国体合宿」に豊山水泳部員を引率したときに、高校生の北島康介選手も参加していました。
私は北島選手の担当コーチである平井伯昌コーチと共に男子チームを担当致しました。
今から思えば指導者として大変貴重な時間を過ごさせていただいたと考えています。
今だに記憶に残っている北島選手のすごさを感じた練習は、100mのDIVE練習です。
当時、100m平泳ぎの世界記録が1:00台の頃、高校生だった北島選手は長水路で1:02秒台を連発していたのです。
KICKやPULLなどの基礎的な練習では特別に目立つということはなかったのですが、ここ一番の集中力が必要な場面では非常に高いレベルの練習をしていたのが非常に印象的でした。
その後高校1年生でインターハイ優勝、高校3年生の頃にはオリンピックをはじめとする世界の舞台で活躍する一流選手になったのです。
北島選手が「世界の北島」として羽ばたいていく練習を直接見ることができたのは大変貴重なことでした。
平井コーチと一緒に選手の補食の買出しに行ったり、夜のミーティングで色々とお話を伺ったこともよく覚えています。
当時は豊山水泳部にもユニークな選手が多くいたこともあり、平井先生もあの頃のお話をよくして下さいます。
例えば、先ほどの100mのDIVE練習をウォーミングアップもしないでノーブレで泳ぐ國府誠司というような記憶に残る選手がいたことがあるのかもしれません。
北島選手に新しくなった日大豊山高校のプールを使ってもらえるというのは大変うれしいことです。
選手として引退したわけですから本来は「北島康介さん」なのですが、私にとってはやはり「北島康介選手」なのです。
北島選手のこれからのますますのご活躍をお祈りしています。
竹村知洋