【北京時事】中国の国会に当たる全国人民代表大会(全人代)の傅瑩報道官は4日午前、北京で記者会見し、今年の国防予算の伸び率について「7%前後になる」と明らかにした。これで今年の国防予算は初めて1兆元(約16兆5500億円)の大台に乗ることが確実になった。
具体的な額は5日に開幕する全人代で公表される。昨年の国防予算は前年実績比7.6%増の9543億5400万元(約15兆8000億円)だった。これに基づき計算すると、今年の国防予算は1兆200億元程度になる。
中国の国防予算は1989年以降、2010年を除いて2桁増だったが、経済成長の鈍化により昨年は6年ぶりの1桁増にとどまった。傅氏は、今年の国防予算は国内総生産(GDP)の1.3%前後だと語った。
伸びが鈍化しているとはいえ、日本の17年度の防衛予算案5兆1251億円と比べ、3倍以上の水準だ。また、中国の国防費の内訳は明らかにされていない。兵器の研究開発などの費用は国防予算から除外されているとされており、実質的には公表されている額の2~3倍に上るとの見方もある。
トランプ米政権は国防費を約9%増やす方針を示しており、今後、アジア・太平洋地域で軍拡競争が激しくなる可能性がある。北京の軍事専門家は「トランプ政権の対応に中国軍は懸念を強めており、経済成長率を超える国防費の増加は今後も続く」と予想する。
3日に行われた国政助言機関・全国政治協商会議(政協)の開幕式後、王洪光・元南京軍区副司令官は記者団に12%以上の国防費増加が必要だと指摘。2月28日付の中国共産党機関紙・人民日報系の環球時報も社説で「多くの新たな戦略の不確実性が出ている」として、10%以上の増加を求めていた。