これは、槍沢ロッジの生ビールである。
なかなかいい泡を立てるお嬢さんだ。
実はこいつが飲みたくて、山に通っていると言っても過言ではない。
山小屋に着けば先ずは、体が冷える前に、ビールをぐびぐびっと。
ぷはああああーーーー、たまらん、この瞬間。
どこで飲むビールが一番旨いかって、そりゃ決まっている。
山だ。
それで、そのビールをさらに美味しくするために、ビール飲みは午後になったら一切の水とか、食べ物とか、飴ちゃんとかを口にしない。
お客さんが、何か美味しそうなものをくれると言っても
「いや結構です」
と、クールに断る。
渇望感こそが、ビールを最高の味に仕上げるからだ。
いくら喉が渇いても我慢する。
体の中の水分が減れば減るほどあたまのなかはビールのことで満たされていく。
そして、飲むビールはまさに至福のいっぱいになるのだ。
だがこれ、医者に言わせると非常に危険な事なのだそうだ。
解ってますって。
だが、愚かなビール飲みはこの悪しき習慣が止められないのだ。
確信犯的に。