あおり遡行
難易度 ...
文字通り先行者を煽るように釣り登って行くこと(きっと職場か家庭がうまくいっていないんだろうね)。対策としては、その日の釣果は潔く諦め、後行者を下流に見ながら遡行を続け、写真を撮りながら沢歩きを楽しんだ方がよい。日を改めて釣行を重ねれば、チャンスはいずれ巡ってくるはずである。
頭ハネ
難易度 ...
自分より先に川に降りていた人(=先行者という)がいた際に、知らんぷりをし先回りして上流に降り立つ行為で、先行者にとっては深刻なダメージとなる。特に罰則はないが一般的にはマナー違反である。あまりにも悪質な場合は、知人に頼んで上下を封鎖してもらうという対抗策がある。
反対に、時間をあけて釣り登って行くことを「二番川を釣る」という。ちなみに、入渓点の目立つ場所に石積み(ケルン)をし、濡らしたり青葉を挟んでおくと後から入渓する人へ合図することができる。
アワセ
難易度 ★
針が理想的な位置に理想的な角度で刺さるように瞬間的に仕掛けを上げること。①手首で合わせる;②肘を引くように合わせる;③腕を伸ばしながら合わせる;④送り込んで合わせる;⑤軽く仕掛けを張り、手にゴツゴツ来てから合わせる(聞き合わせの項参照);⑥誘いと反対方向に合わせる;⑦シモ(下流)に向かって合わせる;などがあり、なかなか掛からない時/バラシが多発する時/大物が食ってきた時/針先がなまっている時などに有用だが、他の釣りと比べ渓流釣りではドリフトとあしらいのウェートが高く、合わせの巧拙はさほど重要でない。
イマージング
難易度 ★★★★ ロッド適性 粋我硬調5.0、がま渓流アマゴ4.5
しばた和さん考案のFFテクニックを応用した釣り方。積極的なリグ操作を行い、食い気のない日中の群れ山女魚に地合い到来と錯覚させる一連のドリフトテクニックで、亜成虫のハッチ演出を志向したもの。5〜6投以内でヒットさせるのは難しく、最低でも10投以上の正確なドリフトが必要である。非常に効果的である反面、途中で失敗するとむしろ魚をスレさせてしまう。仕掛けを水面からピックアップする操作にコツがあり軽く短く穂先の柔らかいロッドが必要。細糸使用もわりと効果がある。刀翠ZEのように穂先の硬い竿を使う場合は手尻を長くして対処(60cm〜1m)。
ハミ場の見極めとストーキングにも技術が要求されることから、熟練者向けの技法である(川底に溜まった砂を目安に)。餌は通常のヒラタやピンチョロで良く、回転しないように装餌する。
浮かせ釣り
難易度 ★★ ロッド適性 弧空硬調改5.1
餌を魚の泳層まで沈めず、表層・中層に誘い出して掛ける釣法。コンディション良好な個体だけを選んでテンポよく釣ることができ、1投目から来ることも多い。習得が容易な割には効果も高い。餌の水面への落とし方にコツがあり、オーバーヘッドキャストでは4.5m竿が限界。サイドキャストの場合、オモリから着水することになるが、ガン玉さえ大き過ぎなければ影響はない。胴ぶるいのない穂持の強いの竿(4.8〜5.1m)が有効で、手尻は短め(竿の長さプラス10cm程度)。ガン玉をやや大きめ(4〜2号)とし、その分空気抵抗の大きい目印(レジ袋など)にすることでオモリを垂直に着水させる。穂先がチューブラーだとビシッと振り止めた際に反動が仕掛に伝わるためやりづらい。瀬に産卵に来るコカゲロウ、ヒラタなどのスピナーのパターンと考えられるが、針に付ける餌は通常のヒラタやオニチョロで良い(急流では小さめ、淵では中くらい)。瀬では白泡、淵では男波の芯を狙う。良型が食ってくるため水中糸もやや太めとする。
ちなみに、東北地方にも同名の釣法があるが、こちらは現在エサテンカラとして知られるものと同様である。
オモリワーク
難易度 ★★★ ロッド適性 がま渓流シルバー、フジロイヤル煌
流速や水深に合わせてオモリの大きさを変え、底波や食い波に同調させること。竿の反発力が高くなればなるほど、こまめな調整が必要となる。反対に、低反発な竿や竹竿であれば、極端な話、オモリ交換なしでも釣りになる。
聞き合わせ
難易度 ★★★ ロッド適性 がま渓流シルバー5.4、フジロイヤル絆4.5、フジロイヤル輝5.4
本合わせを行う前に、軽く糸を張って魚の喰い方を伺うこと。糸を張り過ぎてしまうと、魚が餌を吐き出してしまうというリスクがある。なお、聞き合わせの瞬間に喰ってくることもあるが、低弾性カーボンの竿であれば向こう合わせでフッキングする。魚の活性が低い場合、チューブラー穂先では失敗することがある。
逆引き
難易度 ★ ロッド適性 特になし
流れに逆らって上流に仕掛を引く誘い方のこと。
誘う
難易度 ★ ロッド適性 誘い方に依る
さまざまな誘い方があるが、基本は動こうとしない魚を動かし、あるいは口を使いたがらない魚に口を使わせること。これによって男波の手前で食わせたり、中層で掛けたりする。また本アタリを出させるのにも使う。最小限の手数で的確に繰り出す必要があり、誘いを多用すると魚は学習してしまう(ルアーフィッシングと同じだね)。
サビく
難易度 ★ ロッド適性 旭仙翠硬調5.4、フジロイヤル煌5.4
底近くを水平に、あるいは水面に向かって餌をデッドスローで引いてくる操作。初心者でも魔法のように大型が釣れるため反則に近い釣法であるが、餌が回転してしまうとむしろ逆効果となる。またニジマスやウグイなど外道がヒットする確率も高くなる。キックポイントのある竿と大オモリ、太めのハリス、ゲイプ幅の狭い針が向く。
水面撫で
難易度 ★★ ロッド適性 粋我硬調50
軽いガン玉を使用し、鏡になった水面を1秒程度通してから入り波に入れる。道糸の角度もすごく重要で、軽い仕掛を遠くに飛ばせる竿を使用する必要がある。竿の要求スペックとしては①穂先が柔らかいこと;②張りが強過ぎないこと;③仕掛の飛びが良いこと;以上が挙げられる。
脱皮後のヒラタ終齡ニンフが流下するパターンを模しているのではという気がしている。
ストーキング
難易度 ★★★ ロッド適性 特になし
ポイントに近づいていくこと。かつて渓流釣りでは背中を丸め、身をかがめて接近することが永らく推奨されてきた。ところが、不思議なことに、この従来の歩き方では魚は本来の着き場で捕食しない(ヒットゾーンがずれるだけで食わなくなるわけではない)。このため足音を極力立てないようにし、武道のすり足の要領で間合いを詰め、岸辺にいるカワネズミの姿を間近に見られる状態が理想である。
ソラ釣り
難易度 ★★★ ロッド適性 刀翠5.6、流翔6.5
アップストリームのこと。刀翠ZEのような仕掛の良く飛ぶ長めの竿が必要である。必然的に底流しの釣りとなり、亜成虫のハッチやスピナーの産卵を演出する釣り方とは併用できない。また流速の速いポイントにも不向きである。ソラ釣りではテンカラ竿にブドウ虫という組み合わせも有効である。→フットバシの項を参照。
立ち込む
難易度 ★★★★
水の中に立ち位置をとること。音を立てないことと上半身の動きを最小限にすることが求められる。また水際にいる稚魚やジャミを驚かさないことも重要。
チョウチン
難易度 ★ ロッド適性 旭仙翠硬調、マグナ渓流STATE
全長1〜3メートル程度の短い仕掛、および釣り方。バレやすいため、返しの付いた大きめの針を使用する。高弾性ロッドの方が操作感が高く快適な釣りができるが、折れやすいため注意が必要である。
鉄砲水
危険度
川の水かさが急に増すこと。同時に濁りも入るため、徒渉するのはほとんど不可能である。鉄砲水が来る前には、急に落ち葉が流れてきたり、水面が泡立ったりするので、これらの兆候を察知したら早めに退却する。また土砂降りに遭うと、斜面が川のようになるのでヤブこぎできるルートが少なくなるし、落石も多発する。8月や5月の蒸し暑い日、特に晴天ほど要注意である。
ドブ釣り
難易度 ★★★★ ロッド適性 ドブ竿、磯竿など
鮎のドブ釣りそのままである。アタリが非常に小さく難易度は高いが、地域に依ってはかなりの釣果を上げる。リールと飛ばし浮きを使うものを特に鬼怒川釣法と呼ぶ。鮎も釣れてしまうため、管轄漁協によっては禁止されているところもある。
止め釣り
難易度 ★ ロッド適性 旭仙翠硬調など
大きめのオモリを使用し落ち込みなどに仕掛を投入し、流さずにアタリを待つ釣り方。餌はミミズやブドウ虫で良い。大型狙いに向く。流水の抵抗を浮けても回転し辛い針を使用すること。
ドリフト
難易度 ★★★ ロッド適性 フジロイヤル煌、輝、絆、粋我硬調
車のドリフトはきついコーナーを速く走るための走法だが、渓流釣りのドリフトはきつい流れで仕掛をゆっくり流す一連の技術である。さまざまなドリフト方法があり、それぞれ一長一短があるが、上体をぶれさせない・竿を揺らさないことが基本となる。これができるようになると竿の善し悪しが分かってくる。
一般的に、竿は穂先先端が細ければ細いほどドリフト精度が上がり小針・太糸でもナチュラルに流せる。感度の向上と持ち重りの低減を狙い#2〜3節の斜繊維量を抑制した機種では竿先の追従性が低くドリフト中に想定したラインを外れることが多くなる。このような場合に蛇口に重めのヒモを取り付けるなどして自重アップを図るチューニングがよく行われる(いくらかキャスト性能は犠牲になる)。ちなみに、ドリ竿で小さめの餌が好んで用いられるのは、餌が大きいとグリップ力が増大しドリフトさせにくいためである。
二番川を釣る
先に誰かが攻めた区間を釣ること。釣れる自然河川が年々減っている昨今では当たり前に見られる光景。水量が豊富な区間であれば、1時間もすれば小型から瀬に出てくるケースが多いようである。従って、好ポイントでデキ(当歳魚)しか食ってこないのであれば、もう少し時間を空けた方が良い。ちなみに、渓魚は釣り人が徒渉した場所には寄り付かないため、先行者がルアー・フライの場合は素直に別な区間への移動を考えた方が得策である。
ノリ
難易度 ★★★★★ ロッド適性 フジロイヤル絆、紋
前アタリの一種。おそらくホバリング時の胸びれの動きと推測されるが、竿先に「カサカサ」という感触があり、その後本アタリが来る。その際目印の流れ方がゆっくりになることが多い。竿が長過ぎると手にこの「カサカサ」が来ない。
ノリはヒラタ、オニチョロ、ブドウ虫、毛鉤での特有の前アタリであり、ミミズ餌の時のかじるような前アタリとは異質である。
渇水期はこの「ノリ」で終わってしまい、本アタリがないケースが多い。竿の感度は意外に重要ではなく、むしろ長さの方が決定的である。できれば3.6〜4.2mの軽い軟調子竿が望ましい。
ハゼ釣りに「モタレ」と「ノリ」があり、今では同義とされているようだが、本来別のアタリだったと思われる。「ノリ」に言及しているのは二階堂清風さん著『攻めの山女魚釣り』ぐらいであり、このアタリで掛けるには高度な技術が要求される。
ノリはヒラメがワームを咥えた時のアタリとよく似ている。従って、この時にシェイクを入れてフッキング率が上がるかどうかが注目される。これまでの渓流竿ではガサツ過ぎてシェイクが逆効果となることは明らかである。一昔前の渓魚ならスッと送り込んでパッと合わせれば十中八九掛かってくれた。近年のスレた渓魚にどんな攻略が有効なのか、今後の課題である。
這わせ釣り
難易度 ★★ ロッド適性 —
目印を水深の1.5倍程度取り、ガン玉を小さくして底波の反転流に乗せる釣り方。糸は0.15〜0.2号の通し仕掛けにする。狙うポイントは水底の砂利のたまり具合を目安にする。
ピストンしゃくり
難易度 ★★★ ロッド適性 フジロイヤル煌、粋我硬調
食い波に同調させた仕掛を小刻みにしゃくり、捕食動作を促す誘魚法。急流や大岩の向こうなど、釣り人側が有利になる位置で掛けなければ獲れない場合に使う。ソリッド穂先が有効である。
百回流し
難易度 ★★★★ ロッド適性 凌、弧空硬中硬
文字通り何度も同じ筋を打ち返すだけの技法。ダンやスピナーのパターンでスイッチが入らない場合に最終手段として使用する。時間は非常にかかるが、食い気のない魚に口を使わせたり、川虫が採れない場合などに活用できる。もちろん餌交換はするが、必ず同一種の餌を使用し、全く同じ筋を一定のリズムで全く同じように流すのがコツである(渓魚の日常的な捕食行動に『予測』が組み込まれていることの証左だろうか)。餌釣りではキャスト性能とドリフト性能を併せ持つ竿が理想。毛針釣りでもルアー釣りでも有効だが、案外諸刃の剣的なテクニックで、ちょっとしたドリフトミスや側線への刺激で失敗することが多い。
フォーリング
難易度 ★ ロッド適性 粋我硬調50
ガン玉の大きさをいろいろと変え仕掛が馴染むまでのスピードを調整しアタリを出していく釣り方。穂先は柔らかい方がやりやすい。空中糸はやや太めの方がアタリがはっきり出る。
フケる
難易度 ★★★★ ロッド適性 粋我硬調50
食い上げアタリのこと。活性の高い渓魚は前方にホップして餌を咥えた後、そのまま反転せず針を吐き出す食い方をすることがある。食った瞬間は目印がふわっと動いたり、糸が弛んだりする。比較的フォーリング中に目印がフケることが多いが、慣れないと非常に分かりにくい。こういう魚は活性が高い割にガツガツしていないため、見落とすと次のアタリはない。穂先がチューブラーの方が針を吐き出す際の動きが目印に大きく出る(感度が良いと錯覚しやすい)が、合わせが遅いため結局バレてしまうことが多い。1節がソリッドで2〜3節が低反発な竿であれば、フケた瞬間に軽く聞くと手にガツンと来るのでそのまま合わせれば良い。
フットバシ
難易度 ★★ ロッド適性 金剛テンカラ4.4、刀翠5.1
オモリの付いていない長い仕掛を使う釣法。専用の竿が必要である。投餌法はオーバーヘッド、スリークォーターまたはボーアンドアローキャストである。梅雨以降に非常に有効な釣り方で、餌にはバッタ、ブドウ虫など陸生昆虫を使うことが多い。
穂先を削る
難易度 ★★★ ロッド適性 ...
急流攻めの登竜門であり、自分好みのドリ竿を作る上で欠かせない技術である。例外的なケースでは穂先削りせずにドリ竿を作るレシピもある。
横ターン
難易度 ★★★ ロッド適性 粋我硬調5.0、フジロイヤル絆4.5
U字を描くように餌をターンさせる誘魚法。本来ミミズ餌で使用するテクニックである。ガツンと来た時にハリスが切れることがあるため、胴に乗る竿が有効である。
落石
危険度
足元をよく見てガレ場、特に真新しい石が落ちている区間は早めに通過する。もし頭上で変な音がしたら、すかさず逃げること。サルが小石を落としてくることもある。急なスコールに出会った場合は周囲をよく見て安全な場所に避難すること。菅笠をかぶることも有効。