後ずさり
難易度 ★ ロッド適性 がまはえ長継5.4、がまへら4.8
竿の適正負荷以上の大物が掛かった際に、竿を後方に倒さずにやりとりする捕魚法。竿の破損は防げるが、手網が使えないというデメリットがある。なお、この技を使う場合は魚の頭が水面に現れてから繰り出さないとバラシを誘発する。また、竿が高反発過ぎてもバラシが多発する。
いなし
難易度 ★★ ロッド適性 弧空硬中硬改5.1、凌5.1、粋我硬調5.0
一時的パニック状態にある魚に対して、竿操作によってそれを落ち着かせるテクニックで一般的に膝、肘、肩のクッションを併用することが多い。
竿尻(バット)を魚に向けて押し込むようにすると、支点が手元に移動し、入力(インパルス)に対する竿(ロッド)の応答速度(レスポンス)が急激に低下する。それによって魚は一時的に刺激に対して無感覚となり、テンションが掛かっているにも関わらず平時の泳ぎ・姿勢に戻ろうとする。
このような竿と魚の性質を利用してハリス切れやバラシを防いだり、急流を泳ぎ越させたりする。
犬の散歩
難易度 ★★★★★ ロッド適性 凌5.1
予想外の大物が掛かった際に、泳がせ操作から瀬を遡らせ、そのまま後を着いていくことで体力を奪う技。途中で魚が急激に反転した時は返し抜きや暴走ユニックのチャンスである。
扇返し
難易度 ★★★★ ロッド適性 凌5.1
山女魚釣り独特の技で、故・細山長司さんの得意技として知られる。上流側に倒していた竿(カミ竿)を一気に下流側に反転させる(シモ竿)ことで魚を混乱させ、その隙に魚との間合いを詰めてしまう高等テクニックである。ただし、流速の強いポイントでこの技を使うと、扇返しの直後にハリスが切れてしまうことが多いため、これを繰り出すのは一種の賭けと言える。
陸走り
難易度 ★ ロッド適性 特になし
流れ下る魚に対して、河原を走って付いて行く技。釣り登りながらあらかじめ足場を確かめておくと良い。
泳がせ
難易度 ★★★★★ ロッド適性 凌、弧空硬中硬改、粋我硬調など
魚類は水中で常に姿勢を保とうとする習性を持つ。このため、一定方向からの負荷を持続的に与えると、魚はバランスを回復する方向に鰭を動かし続けることになる。これを利用すると魚の泳ぐ向きを竿操作でコントロールすることができる。つまり流れに対して下流からテンションをかければ、魚は上流に遡っていく。ただし針が魚の上顎を捉えていることが条件である(基本は立て竿)。鮎釣りでは糸の流水抵抗を用いて魚に負荷を与えるが、山女魚釣りでは直接竿の弾力で魚に負荷を与える。このため山女魚釣りの寄せには長手尻仕掛やソリッド穂先が特に有効である。
遠山川のような急流の釣り場では、オバセだけでかなりの抵抗があるため、ロッドテンションで遡らせるためには魚もある程度大きくないと無理である。流速と掛けた魚の大きさを判断して臨機応変に対処する必要がある。
参考:
2011年 渓流DVD (56:50より)
釣り人:細山長司さん(埼玉県荒川、使用ロッド:本流スーパーゲームロングスペシャルZB M95-100)
「竿がしなやかなので魚が引いたら引いた分だけ曲がる。この張りを保つ」。
(地味でさりげないのですが急流でこのやりとり!天下一品です。針もきっちり上顎をとらえています!)
返し抜き
難易度 ★★★ ロッド適性 凌5.1、星煌峰5.3、粋我硬調5.0
同名の技が鮎釣りにもあるが、山女魚釣りの場合はいったん下流に抜いてから上流に飛ばすことが多い。柔らかい竿を使っていると山女魚は空中にジャンプすることが増える。このジャンプの瞬間にそのまま抜きやすい方向に飛ばし、着水直前に改めて腰のタモ目がけて飛ばす。通常よりワンランク細い糸でも抜くことができるが、ジャンプしない養殖放流魚に対しては使えない技である。
空気を吸わせる
難易度 ★★ ロッド適性 金剛テンカラ、凌など
魚の頭部を水面から出すことで、新鮮な水が鰓に触れるのを阻害し、酸素の供給を絶って体力を奪うという技。ヘラブナ釣りなどでよく使われる。山女魚に対しては有効であるが、岩魚にはそれほど有効ではない。
くぐらせ
難易度 ★★★★★ ロッド適性 凌
魚を底から浮かせずに流心を越させる寄せの技法。竿を水面ぎりぎりまで倒し、流心の向こうにいる魚の頭部をまっすぐ上流に向くように誘導し、そのまま徐々に手前に泳がせてくる。成功すると釣り人が立っている位置の上流に魚が浮き上がる。針が魚の上顎に掛かっていることを確かめて魚が元気なうちに繰り出すこと。弱ってしまうと首を振りながら下って行くだけである。
成功すればワンランク細い糸で魚をキャッチできるが、小継先調子の竿でこれをやると穂先・穂持に過大な負荷が集中するため細糸でも折れる場合がある。また竿を水面に着けてしまった時も破損に繋がりやすい(頑丈な竿が必要)。
参考:
SHIMANO 2012 溪流 (16:18より)
釣り人:細山長司さん(釜無川)
「竿が水面に着く位の低い位置に構え、流れの速い処の下を潜らせる」。
郡上抜き
難易度 ★★★★ ロッド適性 郡上あまごレプリカ6.3、源流彩5.3
魚を掛けたらタメを作らずに引き抜き、腰に差したままの手網に入れるという捕魚法。手返しが良く、また場荒れしないため数を伸ばすことができる。通常よりワンランク太い糸を使わなくてはならないため高度な技術が要求される。強引に飛ばして受けるため魚へのダメージはやや大きい。
水面転がし
難易度 ★ ロッド適性 凌5.1、プロフォーステンカラ4.3
掛けた魚を浮かせ、水面を転がすようにして流心を越させる寄せ方。成功するかどうかは波の立ち具合による。ちなみに「水面転がし」という言葉が昔からあった訳ではなく、当ブログで便宜的に用いている呼び名である。強引に勝負を決めることができる反面、水面転がしを繰り出すと次の魚が食わなくなるという欠点がある。
ずり上げ
難易度 ★ ロッド適性 特になし
手網を使わずに河原に魚を引きずり上げる捕魚法。魚へのダメージは大きい。減点対象。
手繰り
難易度 ★★★★ ロッド適性 特になし
手尻が長過ぎて手網が届かない場合にやむを得ず行う技。右手と左手で交互に道糸を引いて魚を足元まで寄せることを言う。餌釣りよりもテンカラで良く使われる。途中で魚が急に走った場合はつまんでいた糸を手放すが、この時、竿が真っ直ぐになっていると糸が切れてしまう。道糸を充分に引き絞って竿を曲げたまま行うのがコツである。
踏鞴踏み
難易度 ★ ロッド適性 特になし
抵抗を見せ下流に走る隙を窺う魚に対し、水底を足で踏み鳴らして上流に走らせる小技。次の魚が釣れなくなるリスクがある。
タメを作る
難易度 ★★ ロッド適性 弧空硬中硬
その竿の弾力が最大限活かせる範囲内に魚が入るように釣り人が立ち位置を変えたり、竿尻を意図的に魚に向けたりすること。胴調子の竿ほどタメの利く範囲が広く、先調子の竿は狭い。
参考:
【いつでも釣り気分!】#109 戻りし好敵手を追う!長良川のサツキマス (24:37より※)
釣り人:細山長司さん
「慣れないうちは走っちゃってもいいから、…素早く、…タメの体勢を作る」。
※セメントマッチになるからなのか、肝心のタメのシーンがスキップされているような…。
手網入れ
難易度 ★★ ロッド適性 金剛テンカラ4.4、凌4.2、5.1
水中に入れた手網に魚を導く方法と、上からバサッと掬う方法とがある。どちらの方法で行くしても、下流を向いてシモにいる魚を掬おうとすると何故か失敗する確率が高く、抜かないで寄せる意味がなくなってしまう。
上流を向いて手網入れできるように体勢を整えるには泳がせを駆使する必要がある。手網入れした瞬間に竿を一気にフッと緩めると穂持を折ってしまうことがある。また、手網入れにあまりにも慎重過ぎるとバレるようである。釣果への影響は小さいとはいえ、巧拙の差が出やすい釣技である。
参考:
ダイワ『「釣れる!」新・渓流釣り4』
釣り人:白滝治郎さん
「最初にタモを突っ込んでおいてから、掬い上げる」。
旗包み
難易度 ★★★ ロッド適性 特になし
浅瀬に乗り上げた魚に対して、川虫採取タオルを投げ被せ身動きを取れなくする捕魚法。
練り
難易度 ★★ ロッド適性 凌、弧空硬中硬
抜ける魚でも泳がせて取り込むことで、淵にいる魚の活性を上げる方法。
参考:
オーナーばり公式チャンネル #002 陽春のいざない 渓流の山女魚を求めて (21:07より)
釣り人:天野勝利さん
「喰いを持続させるためには、ある程度、掛かった魚を泳がせることも必要」。
外し
難易度 ★★ ロッド適性 刀翠、星煌峰
意図せずニジマスが掛かってしまった際に水中で意図的に針を外す技。竿を徐々に前に倒し竿の粘りを殺す。
バス持ち
難易度 ★★★★ ロッド適性 金剛テンカラ4.4
文字通りブラックバス釣りのように下顎を掴む取り込み法である。タモがない時に使用する。指も痛く難易度の高い技であるが、鰓に手を回してしまうと病死のリスクが高まるため減点対象となる。ちなみに、ギンポやウツボとは異なり山女魚は決して人間には噛みつかない。
(加藤須賀雄『かげろうの釣り』1977年、つり人社)
引き回し
難易度 ★★★★★ ロッド適性 凌
ベタ竿で目印を頼りに仕掛を流れと並行にし(あるいは竿を平行移動させるように)魚を誘導する。胴調子の竿が有利。
参考:
[引き回しテクニックの例 1]
【いつでも釣り気分!】#079 渓流解禁が早春を呼ぶ 宮崎県・五ヶ瀬川のヤマメ (9:26より)
釣り人:細山長司さん(五ケ瀬川)
「竿がフワッと柔らかいんで、魚を騙して上に上げることができる」。
[引き回しテクニックの例 2]
2011年 渓流DVD (49:18より)
釣り人:細山長司さん(利根川)
「魚が大きくて寄って来ない時に」。
節を縮める
難易度 ★★ ロッド適性 仕舞寸70cm以下の竿
高弾性ロッドではバットを押し込むような竿操作ができず、全長が6 m以下の短竿ともなれば魚をアヤすのに充分な撓み量が足りていない(=曲がりが浅い)。魚が抵抗して暴れた際、竿を前に倒すと曲りの支点は手元に近づく。すると竿自体の強い反発力のため瞬間的に大きな負荷が針に掛かる。この時にハリス切れやバラしが多発する。
そこで、魚が抵抗して暴れるたびに手元から一節ずつ畳んで(仕舞って)衝撃を緩和させ、竿の角度(=曲がり)を極力キープするやり取りの技法である。増水時など、ダウンストリームの釣りになる場合も有効。
暴走ユニック
難易度 ★★★★ ロッド適性 郡上あまごレプリカ6.3
魚が急激に突っ走る瞬間に、先手を打って進行方向に竿を倒し、相手の力を利用して引き抜く荒技(新名啓一郎さん考案)。
帆掛け船
難易度 ★★★★ ロッド適性 弧空硬中硬、硬調など
急流を魚に付いて下る際に、仰向けになり体を浮かせ、転倒を避けつつ流れ下る技。倒れ込むときは後ろ向きになり沖合に頭を向ける。その後水底を蹴って足を下流に向ける。頭が下流を向いてしまうと溺死する恐れがある。また、怖くなってひざを曲げると脚を怪我することがある。なお、ウェーダーやドライアンダーを履いている時は絶対に行なってはならない。
ワイパー操作
難易度 ★★ ロッド適性 フジロイヤル絆4.5、凌4.2、プロフォーステンカラ4.3
魚に左右からテンションを掛け、首振りを防ぎつつ体力を消耗させる技(伊藤稔さん考案)。流速の緩いポイントで使用する。