「悪いのはわたし。素手で作業していた」刻みのり製造元が告白
東京・立川市の7つの小学校で、児童・教職員1,098人が嘔吐などの症状を訴え、給食の「刻みのり」から、ノロウイルスが検出された。
集団食中毒の原因となった刻みのりは、大阪市のメーカー「東海屋」が製造し、同じ大阪市内ののり加工業者が加工していた。
のり加工業者は、「東海屋」の下請けとして、のりの裁断などの加工・梱包作業を委託されていた。
ここの社長に話を聞くと、「申し訳ないという気持ちですよ。そりゃ当然です。当然すぎるくらい、当然です」、「悪いのはわたしです」などと語った。
反省の意思を示した業者の社長に、実際、刻みのりを作る過程を見せてもらった。
すると社長は、素手でのりをつかみ手際よく裁断機に入れていった。
のり加工業者社長は、「原料を入れる際に手袋を、本当は使えばいいんでしょうが、時間がかかってしょうがないので、手で触ったのが原因じゃないかと思う」と話す。
効率よく作業するために、「素手」で持ったのりを、裁断する機械へと入れていたという。
問題の刻みのりの作業をしていたのは、2016年12月。
その時の体調について、のり加工業者社長は、「ノロウイルス流行っていましたね。一応やっぱり、多少吐き気がした時期がありましたし」と話す。
ノロウイルスが疑われる症状があった時期に、素手でのりを触り、作業をしていたというのだ。
のり加工業者社長は、「たまたまノロウイルスの菌があったのが問題でね。なかったら、こんな事件生じないです。今までも同じやり方でやっていて問題は1回もないです。ノロウイルスって、はっきりわかっていたら、作りませんよ」と語った。
加工を委託したメーカー・東海屋も、のりは、高温で焼かれているため、ノロウイルスは、裁断・梱包段階で、作業員を介して混入したとみている。
のり加工業者社長は、「私ののりが原因で、そうなったと思うとね、そりゃとてもじゃないけど、普通の神経じゃいられません」、「人さまのせいになんか、とてもじゃないけどできなくて、やっぱり、わたしが悪いと思わざるを得ません」と語った。
ざるそばにカツ丼など、さまざまな料理に刻みのりを使うそば店も、困惑を隠せない。
「時期的に、食中毒はニュースで見るが、それが、のりが原因と知って、「はぁ!?』って感じ。驚きしかなかった、最初は」と語った。
もしノロウイルスに感染したまま、素手でのりの加工作業にあたった場合、感染はどう広がるのか。
北里大学・高橋 孝教授は、「素手となると、ウイルスが付着する可能性はある。のりを裁断していく途中で、ノロウイルスが飛び散る」と話す。
手にウイルスがついていれば、当然、のりに付着し、さらに裁断作業を通して、ウイルスが飛び散ってしまうおそれがあるという。
さらに、高橋 孝教授は「ノロウイルスは、4度という低温でも、2カ月ほど生き続けると言われている」と語った。
同じ刻みのりは、先週、集団食中毒が起きた東京・小平市の2つの小学校の学校給食でも使われていた。
炊き込みご飯などに使われていて、児童と教員95人が、2月23日から、嘔吐や下痢の症状を訴え、保健所は、給食室を立ち入り検査したという。
検査の結果が出るまで、1週間ほどかかる見通しで、小平市は、2校での給食の提供を一時、取りやめている。
影響が特に大きい学校給食における食材の衛生管理が、あらためて問われている。