<マレーシア>北朝鮮の姜哲大使、国外追放と発表
マレーシア外務省は4日夜、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム)氏(45)がクアラルンプールの空港で殺害された事件を受け、北朝鮮の姜哲(カン・チョル)・駐マレーシア大使を「ペルソナ・ノン・グラータ(好ましからざる人物)」として国外追放すると発表した。6日午後6時(日本時間同日午後7時)までの退去を求めている。
事件をめぐっては、姜大使が「マレーシアの捜査は信用できない」などと批判。マレーシア政府が駐北朝鮮大使を召還したほか、北朝鮮国民のビザ(査証)なし渡航を中止していた。今回の国外追放はそれに続くもので、両国関係の悪化は決定的なものになった。
マレーシア外務省によると、2月28日に北朝鮮代表団と公式協議し、事件に関する姜大使の発言に文書での謝罪を要求。しかし、期限の同日夜を過ぎても回答はなかった。マレーシア外務省は4日夕に姜大使を呼び出したものの姿を見せなかったため、文書で国外追放を通告したという。
姜大使は2月17日、金正男氏の遺体をマレーシア政府が司法解剖したことに対し、「我々の許可や立ち会いもなく解剖を強行した」「人権侵害の極みだ」などと批判。解剖結果を受け入れない考えを示した。その後もマレーシア政府や捜査当局への批判を繰り返し、マレーシアのナジブ首相が「外交的に無礼だ」などと強く反発していた。
マレーシアのアニファ外相は4日の声明で「マレーシア政府は自国に対するいかなる侮辱や名誉を汚す行為にも厳しく対応する」と強調。国外退去などの一連の措置は「北朝鮮との関係見直しの一環だ」と述べ、さらなる対応の可能性も示唆した。
◇書記官に警告
マレーシア政府関係者によると、事件の重要参考人として行方を追っている北朝鮮大使館のヒョン・グァンソン2等書記官に対しても6日に外務省に出向くよう求めた。応じなければ姜大使同様に国外退去処分にするとしている。
解決の道が見えない