政府は皇族数減少の対策として、女性皇族に結婚後も公的な役割を与えて公務を継続する案の検討に入った。結婚後も女性皇族が皇室に残る女性宮家の創設は当面先送りする。皇室典範などの法改正をしなくても閣議決定で対応できる。天皇陛下の退位を実現する特例法案が成立後、世論の動向を踏まえて判断する。

 退位に関する政府の有識者会議が4月に公表した最終報告は「皇族数の減少に対する対策について速やかに検討を行うことが必要」と明記。秋篠宮家の長女眞子さま(25)が婚約されることになり、民進党は女性宮家の検討を安倍政権に迫る。政権も何らかの対策が必要と判断した。首相周辺は「皇籍離脱された後に公務をサポートさせるのがいい。閣議決定でできるので、首相の判断次第だ」と話す。

 野田政権が2012年10月に公表した論点整理は、女性宮家創設のほか、女性皇族が結婚後に皇族を離れた後でも国家公務員として公的な立場を保持して公務を継続する案も記された。いずれも天皇の子と孫の「内親王」を対象とした。

 政府関係者によると第2次安倍内閣の発足後、公務継続案が一時検討された。14年10月の高円宮家の次女千家典子さん(28)の結婚時期と重なり、対象を内親王から広げるかを議論したが結論に至らなかった。典子さんは大正天皇のひ孫にあたる「女王」だった。眞子さまは天皇陛下の孫で内親王だ。案が実現すれば結婚後に一般国民になった後も公務を委嘱でき、眞子さまも対象になる可能性がある。

 安倍晋三首相の支持層である保守派も公務継続案には賛同する。日本会議国会議員懇談会が15年3月、菅義偉官房長官に要望した。ポイントは女性皇族が一般国民になるため、父方が天皇の血筋ではない女系天皇の誕生につながらないことだ。ただし、公務の担い手確保にはなるが、安定的な皇位継承の解決にはつながらない。一時しのぎの策だ。

結婚後も、緊張の時間ですね。ちょっとかわいそう