カエル粘液にウイルス殺傷能力見つかる…マウスで確認 インド
インフルエンザの流行シーズンは過ぎたが、世界最大の抗ウイルス薬使用国である日本にとって、薬が効かない薬剤耐性ウイルスは脅威そのもの。新しい抗ウイルス薬の開発が急がれるなか、米エモリー大学の研究グループは、南インドのカエルの粘液成分に、薬剤耐性のある新型ウイルスを殺す効果があることを発見した。
免疫学の専門誌『イミュニティ』に掲載された論文によると、エモリー大学ワクチンセンターのジョシー・ジェイコブ研究員らは、インド南部ケララ州に生息するオレンジ色の体をしたカエル(Hydrophylax bahuvistara)の皮膚から分泌される粘液に含まれる、アミノ酸が結合したペプチドが、H1型のインフルエンザウイルスを物理的に殺す(バラバラにする)効果があることをマウスの実験で確かめた。
1934年から現代まで発見された全種類のウイルスで試したところ、既存の抗生剤が効きにくいH1型など、数十種類のウイルスに対する効果を確認。このペプチドを、カエルの生息地で古代に使われていた剣の名にちなんで「ウルミン」と名付けた。
研究チームは、捕獲したたくさんのカエルに弱い電気ショックを流したり、皮膚に特殊な粉末をこすりつけたりして粘液を回収。32種類のペプチドのうち、4つに抗ウイルス力があることがわかった。
ジェイコブ氏は「このペプチドをそのまま抗ウイルス薬にすることはできないが、新薬開発の有力な候補になるでしょう」と述べて「カエルは生息地によって異なるペプチドを分泌します。それらをすべて調べることで、ほかの感染症の治療薬候補が見つかるかもしれません」と期待を寄せている。