【2016.02.03(wed)】
★長~く待った本
・昨晩フィットネスからの帰り、車を運転中のことです。
何か眼の調子がおかしく暗闇を見ながら目を動かすと視界に光が飛び交う感じがしたのです。
昔も一時そんなことがあり、疲れなのか又はトレーニングマシンで力を入れ過ぎて毛細血管が切れたのか?などと思っていました。
・一晩経った今朝、症状は変わって視野の中に黒いゴミのようなものが飛散し、眼球の動きに呼応するかのようにその場所を変えて居座っています。眼科で診て頂いた結果は “飛蚊症” の疑いとのこと。まさに実感と一致する病名で笑ってしまいました。
・加齢により自然発生するものらしく、医師曰く歳をとると皮膚にしわが寄るのといっしょですよと…
取り敢えずは経過観察ですが、眼の組織までもが酸化するとは…驚きました。
調子がおかしくなって初めて、普通であることの有難さが分かります。
You never miss the water till the well runs dry.
・眼科は9年ぶりの受診で様子が分からず、受診時間よりかなり早い時間帯から並んで待ちましたが、
おかげで長時間本が読めました。又吉直樹さんの<火花>です。
・前評判が高く、大方の予想どおり?昨年の夏に第153回・2015年上半期の芥川賞を受賞した作品。
初出は「文學界2015年2月号」でしたので、この雑誌と単行本を合わせて2館にリクエストしたのですが
凄まじい数の順番待ちでした。
・この本読みたい!と思われた方の多くは既に読まれたことでしょう。
私は7か月間待ってやっと読んだ処です。
・20才になる駆け出し漫才師徳永が主人公。
相方の山下とお笑いコンビを組んでいる。その名も「スパークス」
彼は4歳年上の先輩漫才師神谷に出逢い、独特な笑いのセンスに魅了される。
神谷は徳永を弟子にするかわりに自分の伝記をかけと命じます。
・こんな風な物語の始まりです。この本が即ち神谷の伝記なのかな?とも思えました。
・序盤は文章表現が硬い感じがしました。
敢えて難しい漢字を使うのは新人作家だから仕方ないのかなぁと思いながら読んでいました。
中盤以降は文章がこなれてきた感じで、読み手としても徐々にこの著者の文体に慣れてきますから没頭できました。関西弁の話し言葉は生き生きとしており、情景の描写もよく伝わってきます。
二人の会話が火花を散らすと言うことか? スパークス=火花なのか?
・どうしても主人公の徳永を、又吉さん本人と重ね合わせて読んでしまいます。
又、神谷の破天荒な生き方にしたって、著者の頭の中では容認されているんでしょうね。
・お話は後半に畳み掛けるように盛り上がります。スパークスは相方、山下の申し出を機に解散。
事務所ライブで最後の漫才を披露するスパークス。このシーンは実に良く書けていると思いました。
感動しました。
・真摯な文章でデリケートな感覚がよく描かれていて、この世界に身を置く人でないと書けない話であることと、著者がセンシティブな面をお持ちなのがよく分かります。
・この本に関連して話題になった「いとしこいし漫才の世界」を参考に読みました。
鍋を巡ってのやりとりは確かに類似していますが、このレベルのことをあえて問題視する必要があるのかな?と思いました。
・そしてエンディング。神谷は話の流れからして亡くなるのかと想像していましたが、
全然予想外れの衝撃的な展開。何とも滑稽で切ない終わり方ですが、その先に明るさが感じられ救われます。非凡な発想でここに又吉さんの文才を見ることが出来ました。
・お笑いの世界に疎い私は、全面的に共感をおぼえるまでには至りませんでしたが、
少なくともこの本で人を笑わせる商売の奥深さは教えてもらったように感じています。
・芥川賞受賞作品として単行本の発行部数で歴代1位を記録。近々映像化もされるらしい。
何とか頑張って1日で読みました。まだ私の後ろにも多くの人が並んでいるので、本は早々にお返しします。
See you.
I.O
★長~く待った本
・昨晩フィットネスからの帰り、車を運転中のことです。
何か眼の調子がおかしく暗闇を見ながら目を動かすと視界に光が飛び交う感じがしたのです。
昔も一時そんなことがあり、疲れなのか又はトレーニングマシンで力を入れ過ぎて毛細血管が切れたのか?などと思っていました。
・一晩経った今朝、症状は変わって視野の中に黒いゴミのようなものが飛散し、眼球の動きに呼応するかのようにその場所を変えて居座っています。眼科で診て頂いた結果は “飛蚊症” の疑いとのこと。まさに実感と一致する病名で笑ってしまいました。
・加齢により自然発生するものらしく、医師曰く歳をとると皮膚にしわが寄るのといっしょですよと…
取り敢えずは経過観察ですが、眼の組織までもが酸化するとは…驚きました。
調子がおかしくなって初めて、普通であることの有難さが分かります。
You never miss the water till the well runs dry.
・眼科は9年ぶりの受診で様子が分からず、受診時間よりかなり早い時間帯から並んで待ちましたが、
おかげで長時間本が読めました。又吉直樹さんの<火花>です。
・前評判が高く、大方の予想どおり?昨年の夏に第153回・2015年上半期の芥川賞を受賞した作品。
初出は「文學界2015年2月号」でしたので、この雑誌と単行本を合わせて2館にリクエストしたのですが
凄まじい数の順番待ちでした。
・この本読みたい!と思われた方の多くは既に読まれたことでしょう。
私は7か月間待ってやっと読んだ処です。
・20才になる駆け出し漫才師徳永が主人公。
相方の山下とお笑いコンビを組んでいる。その名も「スパークス」
彼は4歳年上の先輩漫才師神谷に出逢い、独特な笑いのセンスに魅了される。
神谷は徳永を弟子にするかわりに自分の伝記をかけと命じます。
・こんな風な物語の始まりです。この本が即ち神谷の伝記なのかな?とも思えました。
・序盤は文章表現が硬い感じがしました。
敢えて難しい漢字を使うのは新人作家だから仕方ないのかなぁと思いながら読んでいました。
中盤以降は文章がこなれてきた感じで、読み手としても徐々にこの著者の文体に慣れてきますから没頭できました。関西弁の話し言葉は生き生きとしており、情景の描写もよく伝わってきます。
二人の会話が火花を散らすと言うことか? スパークス=火花なのか?
・どうしても主人公の徳永を、又吉さん本人と重ね合わせて読んでしまいます。
又、神谷の破天荒な生き方にしたって、著者の頭の中では容認されているんでしょうね。
・お話は後半に畳み掛けるように盛り上がります。スパークスは相方、山下の申し出を機に解散。
事務所ライブで最後の漫才を披露するスパークス。このシーンは実に良く書けていると思いました。
感動しました。
・真摯な文章でデリケートな感覚がよく描かれていて、この世界に身を置く人でないと書けない話であることと、著者がセンシティブな面をお持ちなのがよく分かります。
・この本に関連して話題になった「いとしこいし漫才の世界」を参考に読みました。
鍋を巡ってのやりとりは確かに類似していますが、このレベルのことをあえて問題視する必要があるのかな?と思いました。
・そしてエンディング。神谷は話の流れからして亡くなるのかと想像していましたが、
全然予想外れの衝撃的な展開。何とも滑稽で切ない終わり方ですが、その先に明るさが感じられ救われます。非凡な発想でここに又吉さんの文才を見ることが出来ました。
・お笑いの世界に疎い私は、全面的に共感をおぼえるまでには至りませんでしたが、
少なくともこの本で人を笑わせる商売の奥深さは教えてもらったように感じています。
・芥川賞受賞作品として単行本の発行部数で歴代1位を記録。近々映像化もされるらしい。
何とか頑張って1日で読みました。まだ私の後ろにも多くの人が並んでいるので、本は早々にお返しします。
See you.
I.O