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ブックメーカー以下の格付け機関に存在意義はあるのか?

2009年05月19日 12時59分48秒 | 俺のそれ
私は競馬なんかには何の興味もないが、世間のお父さんたちを熱狂させたりするものらしい。日本では競走馬の歴史が浅いので、文化としての競馬というのはまだ未成熟なのかもしれないが。そうではあっても、競馬新聞は駅スタンドなどで毎週売られているし、スポーツ紙の紙面を競馬が飾っていることは普通だ。それくらい人気がある、ということなのだろう。


競馬だけではなく、世界には各種ブックメーカーがあるらしくて、オッズの倍率なんかを設定しているわけだ。
本命には、低い倍率、大穴とかだと高倍率ということになっているのである。圧倒的に多くの人々が勝利を予想しているような場合であると、本命候補には2倍とかのオッズとなるのだ。もっと簡単に言えば、「手堅いよね」「事前の予想確率が高いよね」という場合だと低いオッズ、「一か八かだね」「滅多に来ない確率だね」という場合だと高いオッズ、ということになっているのだ。


さて、今度は借金の金利を考えてみよう。
ガイジンお得意の、「プライム層」と「サブプライム層」で比較すると、どちらが低い貸出金利となるだろうか?

 プライム―低い
 サブプライム―高い

となっているだろう、ということは判るでしょう。

プライム層の方が「手堅い」から低い貸出金利、サブプライム層は「ちょっと判らんね」ということで高い金利が適用されているのである。これらもあくまで事前の予想確率の問題でしかないはずだろう。一般的に言えば、借り手の信用度が高ければ低い金利となり、信用度が低くなるにつれて金利水準は高くなっていくのである。これは、競馬などのオッズが「お金が戻ってくる確率」と似ていて、高低が定められているのとほぼ同じようなものだ。従って、金利は借り手の信用力に左右されてしまうのである。


「お前を信用できないな」と貸し手が考えると、貸出金利は上昇するのだ。それが、金融危機の時に発生した資金コスト上昇だ。借り手の信用力に疑問がある、と考えられてしまえば、それは金利に反映される。だからこそ、LIBORなどの水準が上昇し、資金逼迫を招いてしまったのだからね。政府が債務保証をするとか、潤沢に資金供給を行って、ようやく金利水準は安定していった。金利が高いというのは、何の理由もなくそうなっているのではない。


25歳フリーターの青年がいるとしよう。彼が借金をする場合には、貸出金利が高いだろう。米国なんかだと、数十%もの金利を取られるかもしれない。けれども、彼がどれだけ借金しようとも、青年の借入は全て政府が保証します、ということになれば、青年に安心して貸し出せるようになるに決まっている。そうすると、より安全な貸出ということになるから、青年への貸出金利は大幅に下がるであろう、ということだ。金融機関の債務に対する政府保証というものは、そういうことだ。だから金融機関の調達金利は下がったのだ。銀行間取引の金利も同様だ。


次は、借金の一種である債券を考えてみよう。

ある「発行体X」が債券を発行して資金調達するものとする。
発行体の信用度に応じて金利水準は決まる。手堅い借り手であるなら、金利は低く、いかがわしい借り手ならば高くなりますよ、ということだ。で、次のようになっているものとしよう。

 発行体X ― 債券の金利 5%
 発行体Y ― 債券の金利 10%

同じ通貨でならば、YよりもXの方が借り手の信用度が高いであろう、ということが予想されているわけだ。それが「みんなの評価だね」ということである。競馬のオッズだって似ている。低い方が「信頼されているだろうね」ということが推測されるのである。

では、異なる通貨であるとどうなのだろうか?
1ドル=100円で1万ドル債券があるとして、1年後には10%の利息を受取れるとすれば、1年後には11000ドルとなる。同じく、日本円の100万円債券があって、1年後には5%の利息を受取れるなら1年後には105万円となる。この金利差があるということは、1年後の為替見通しがそうなっているよ、ということだ。もしも、10%金利のドル債券の方が有利だと判断されるならその債券は買われ、逆に日本円債券は売られるだろう。乗り換えた方がお得なのだからね。すると、債券価格がドル債券の方は上昇(=金利低下)、円債券は価格下落(=金利上昇)となって、「お得だ」というのが消える水準まで調整が進む。


だから、基本的に格付けなんてものは、「市場のルール」を無視した情報操作の類と言ってもいい。むしろ、情報優位な側の人間が無知な連中をコロッと騙すには大変都合のよいものなのだ。もしも本当に借り手の信用度に疑義を生じているなら、「借入金利が上昇する」という、目に見える形の変化を来たすのだからね。レストランガイドは、レストランを訪れたことがない人向けに、圧倒的に情報優位な専門の人たちが代わりに評価を下すことによって、「情報劣位の人の情報不足を補うことができる」というだけだ。市場で評価が出されているもの以上に正しく評価できるのか疑問なのに、妙な格付けとやらを持ち出してきて情報攪乱の役割を担っているだけなのは、一体どの機関か、という話だ。権威を傘にきて、その権威をバックにしていかにも「これが正しいのだ」というのは、何も金融の分野に限った話ではない。


ナベ●●女史あたりに槍玉に挙げられていた哀しき末路シナリオのアルゼンチンや、経済破綻危機に陥ったロシアや、高成長と所得水準ランキング上位となっていたアイスランドなんかを見れば、国の信用度というものがどうだったのかということがよくわかるはずだ。資金調達コストはべら棒に上昇し、日本なんかでは考えられないような金利を提示しないと「誰も貸してくれない」のだよ。JGBみたいに、2%を切る水準とか、そんな金利にはならないのだよ。借り手の信用度は、金利にある程度反映されているのだよ(信用度だけじゃないだろうけどね)。


例えばシティバンクが危機に陥った時、高金利を提示されてもヨソの銀行は資金を出さなかったんでしょう?元「トリプルA」のAIGとかだと、どうでしたか?資金調達の金利水準は上昇したのではありませんか?
つまり、ヘタな格付けなんか必要ないくらいに、市場は敏感に反応していたんじゃありませんかね?

日本国債の金利が低いのには理由があって、それは某格付け機関が気まぐれや悪巧みや嫌がらせなんかで流す情報なんかとは違うのだよ。市場というルール上で、市場の評価がそうなのだよ。いいか、市場には必ず「悪意の情報」や「捻じ曲げの情報」なんかが混入してくるのだ。それは、影響力の大きい連中ほど、活用してくるのさ。その影響力行使で金儲けを効率的に行う為にね。


たとえば某外資系の連中なんて、「日本は”人口が減少する”から」という理由で、ある企業の投資判断を引下げって、単なるこじ付けの屁理屈を出してくるんだから、恐れ入る。そんなことが理由になるなら、ほぼ全部の企業に当てはまるだろ。そんな理由で「衣料品が売れなくなる」というなら、日本に「H&M」や「Forever21」なんかがわざわざ出店しにやってくるわけないだろ。

要するに、ウソっぱちなのだ。
何とでも情報操作をやり、他人を陥れる為には手段を選ばず、自らの金儲けの為にハメるわけだ。これが、金儲け亡者たちのやり口なのだ、ということ。そういうことに、多くの人々は気付かないのだな。そうして、日本人の懐から金が毟り取られてゆく、ということさ。


日本の実務家たちは、これまで誰も面と向かってそういうことを指摘してこなかったのだ。同じ経済ナントカの土俵にいながらにして、向こうの傍若無人な振る舞いや言説には、何らの有効な反論をしてこなかったんだ。だからこそ日本はハメられたのだろ。それは「気付かないボケが悪い」という、単純な理屈だ。常に、言い負けてきたんだ。同じ日本人の中からでさえ、悪魔崇拝者ならぬカブレ者とか信奉者たちが誕生してきて、そいつらが矢鱈と張り切って「工作員乙」(笑)をやるもんだから、余計に不利な状況となってしまったのだ。

腐ってるな、この世界は。