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本当に「ヤバいTPP」~4

2011年12月01日 16時42分00秒 | 外交問題
(続きです)

○基本原則 7:最高水準の知的財産権保護を取り入れた協定であること

TPP が協定として成功するためには、全ての加盟国にとって経済成長、雇用、成功の重要な牽引力である知的財産権を保護するものでなければならない。知的財産権に依存する産業は米国経済の全分野に及んでおり、米国の競争力を高めるためにも、TPP 協定にはソフトウェア、IT、音楽、書籍、映画といったものから医薬品、食品、消費財、生産財に至るまで、米国法における措置と同レベルの最先端の知的財産権保護措置を盛り込む必要がある。TPP 協定は、米国がTPP 加盟国との間で締結している既存の自由貿易協定や現在米議会で承認待ちのKORUS に定める知的財産権保護措置を踏まえつつ、その内容を下回るものであってはならない。


この項目は、極めて重要。最高水準の知財保護を求めるそうだ。つまり米国は、特許権・特許料ビジネスで稼ぎたい、ということである。
この影響を最も受ける分野が、日本では医薬品と医療材料・機器ということになるであろう。この分野における日本の市場規模は、将来的に有望であるから、だ。確実に増加してゆく、成長産業分野となるからである。

特許権が最高水準で守られた場合、薬価低下はこれまでと全く異なることになる。米韓FTAの内容を詳しく知らないので何とも言えないが、仮に医薬品特許期間が最長に設定されると、それまでゾロ品(ジェネリック薬)投入は認められなくなり、薬価は高いまま維持される期間が長くなる。欧米系の製薬会社は大きく儲かる、ということになるわけである。これは、その他の医療材料、医療機器類でも同様。
いうなれば、特定商品について独占的市場を認めてあげる、ということになり、経済学の理屈には反している(笑)な。

他には、著作権関連でもご意見があったりする。>http://internet.watch.impress.co.jp/docs/special/fukui/20111031_487650.html

日本としては、参加すると確実にデメリットが大きくなるだろう。多分参加しないこと以外には、回避する方法はない。


○基本原則 8:対内投資と対外投資を促進し保護する協定であること

TPPが協定として成功するためには、米国の対外投資が米国の輸出増大につながり、米国における経済活動の活発化と賃金の上昇を促す内容である必要がある。したがって、TPP には強力な投資保護規定が盛り込まれ、さらに米国法下の強力な財産保護規定およびデュープロセスの原則と一貫性があることが求められる。すなわち、対外投資を行う企業が安心でき、予測可能かつ非差別的な法的環境が確保される必要があるということである。さらに、TPP の投資条項は、TPP 参加各国に新たな外国資本を呼び込み、雇用を創出し繁栄をもたらすものでなければならない。TPPは、米国がTPP 参加国と締結している既存の貿易協定に定められている投資保護規定を踏まえつつ、これを下回る水準であってはならない。


この項目も、極めて重要。はっきり述べられているように、
「対外投資が輸出増大、経済活動活発化、賃金上昇」をもたらすものである必要がある、ということだ。特に、グリーンフィールド投資よりも、「クロスボーダーM&A投資」を、もっと促進せよ、と。

『M&A による対内直接投資が明確にグリーンフィールド投資と同様の経済的恩恵をもたらすという十分な証拠があるにもかかわらず、日本のビジネスリーダーや政策立案者の間には、依然としてM&A による対内直接投資に対する偏見が見られる。』

この悪しき偏見をなくせ、すなわち「もっと買わせろ」ということに他ならないわけである。で、買収を促進する為に、税制や投資補助もやれ、と。

『日本のTPP への参加を、外国と日本の企業間の「友好的」かつ戦略的なM&Aを通じた新たな外国資本誘致に確実につなげるためには、買収防衛、クロスボーダーM&A に係る課税、そして株主に対する説明責任に関する新たな改革が必要となる。日本への投資にかかる高いコストを補う税制上のインセンティブやその他補助などより強力で体系的な措置も導入されるべきであろう。』

日本企業が果たして買収防衛ができるのか、というと、かなり厳しいと考えるべきだろう。


○基本原則9:透明性を高め汚職・腐敗を減らす協定であること

TPP が協定として成功するためには、政府の透明性を求めると同時に、国内外の贈収賄を処罰の対象としている米国の既存のFTA と同様の強いコミットメントを加盟国から取りつけ、その内容を盛り込む必要がある。こうした拘束力のあるコミットメントは米国の本質的価値観を広め、米国の農業従事者、製造業者、サービス提供者にいっそう対等な競争の場をもたらすための一助となるであろう。


この項目は、まあ妥当。途上国でありがちな「ワイロ」等の問題である。なので、日本への要求は特にない。


○基本原則10:オープンで平等な調達機会を推進する協定であること

TPP が協定として成功するためには、オープンで透明性が高く非差別的で効率的な政府調達プロセスが確保され、業者間の競争の最適化と政府資金のより効果的な活用を促すものでなければならない。TPP 交渉国はネガティブリスト方式の実現可能性など、「WTO 政府調達協定」および既存のFTA が抱える弱点を克服するための代替手段を模索する必要がある。


あまり重大な論点は含まれないが、早い話が「日本の政府調達は少なすぎだぞ、このヤロー」ということ。もっと増やせ、と。
国内問題としての、随意契約がおかしいんじゃねえか、ということで、「ガイアツを利用しようとする改革勢力」への配慮がなされているのがポイントである。


○基本原則 11:公正な競争と対等な競争条件を促進する協定であること

TPP が協定として成功するためには、競争政策上の手続きの透明性やデュープロセスに関する厳格なルールによって競争プロセスを確保・促進し、対等な競争条件を確保しなければならない。また、国有または国が出資、優遇する業界においても、外国企業を含めた民間企業と対等な条件で競争が行われるようにしなければならない。


これが懸案の日本郵政問題である。しかも、これだけでは済まない。『国有または国が出資、優遇する業界』というのは、日本の場合多岐に渡る。独法なんかがモロに該当してしまう。これを守ろうとすると、別な被害を生じる可能性がある。
例として挙げられているのが、次の部分だ。

競争政策関連の行政手続き関する、透明性やデュープロセスの改善に向けた追加措置などが挙げられる

軽く述べられているけれども、協定の本文でも「~については、当該国政府同士で追加的措置について協議する(協議する場を設けなければならない)」」みたいに、後から解釈変更が可能な条文を置かれたりすると、日本はまんまと引っ掛かってヤラレる、ということを警戒すべきである。
追加的措置は、日米2国間で協議せよ、ということにできるとなれば、後日「日本郵政の存在が競争阻害になっている、完全民営化するか、競争阻害の被害について補填するか、どちらか選らべ」みたいに”協議”に持ち込まれると、日本の一方的負けがほぼ確定することになる。日米関係では、国内で大騒ぎする従米派どもが多いので、「言われた時点で負け」確定、みたいなもんだな。日米双方の話し合いでどうにかできる、なんてのは、ただの妄言だったことを忘れるべきではない。


○基本原則 12:価格を引き下げ、消費者の選択肢を増やし、競争力を高める協定であること

TPP が協定として成功すれば、輸入関税などの貿易・投資障壁が撤廃されるため、米国や他のTPP 加盟国の広範な品目の消費者価格が大きく下がり、8カ国(現在は9 カ国)全てにとってプラスになる状況が実現される。その上、米国の製造業者はより費用対効果の高い材料にアクセスできるようになり、国際競争力の向上につながる。消費者にとっても商品の選択の幅と入手機会が広がる。そしてTPPの成功によって、商品の信頼性と安全性強化に向けた企業や政府による対応も促進されるであろう。


例の「消費者利益」(笑)の話だな。特にはないが、日本は「食い物高すぎ」と指摘されている。エンゲル係数が途上国みたいに高い、ということか?
平均的世帯で食費が27%にも達する(知らなかった、マジで?)ので、高すぎる、という話である。農産物輸入を解禁すれば、もっと下げられるよ、と。


○基本原則13:既存の協定で約束した市場アクセスの確保について後退を禁止する協定であること

TPP の交渉において、参加国は既存の自由貿易協定上の義務を遵守・実行の上、既存の改革を確実に遂行しなければならず、また、他のTPP 加盟国からの物品・サービスに対して、市場アクセスや投資および知的財産保護を後退させるような政策を採ってはならない。


これが所謂「ラチェット条項」ね。後退は許さんぞ、と。
このように、あっさりと述べられていますが、恐るべき威力を秘めた条項である、ということです。


残りの、14と15は、大した話ではありません。
参加国追加の為の柔軟性、法の統治・労働者保護ということです。ただ、留意点はあって、14で

TPP 協定にモニタリング体制や協力体制なども盛り込み、加盟国間の障壁を撤廃し、新たに生じる問題にも対処できる機能の強化に加盟国が共同で取り組めるようにする必要がある

となっているので、後から「お前の国は、まだ開き方が足りない、だから、もっと改革推進して大胆に開放しろ」と事後的に強要されうる可能性があるかもしれない、ということである。
新たな「イジメ形式」が可能になるかもしれない、ということかな。

周囲に円陣、中央に日本クン、で、「オラオラ、もっと開放しろよ~、泣いてんじゃねーぞ、オラ」状態で、周りからド突かれる、と。番長アメリカなら、そういうことを平気でやりそう(笑)。


以上、ざっと概観してみました。



本当に「ヤバいTPP」~3

2011年12月01日 16時37分53秒 | 外交問題
シリーズの続きです。

環太平洋経済連携協定(TPP)日本参加への実現に向けて
>http://www.usjbc.org/TPP%20-%20Final%20USJBC%20White%20Paper(J)_June%202011.pdf


各論について、もう少し書いておくことにする。


米国TPPコアリションにおける、TPP の「成功」とは、

・「米国の農業従事者、製造業者、サービス事業者のために市場を開放し、新たな顧客を獲得すること

・「米国民のために米国の輸出と経済的機会を増大させ、米国民の雇用を支え、創出し、また貿易ルール執行手段を強化すること

・「アジア太平洋全域の安全、安定、繁栄を促進すること」

である。従って、米国民による、米国民の為の、TPPである。
日本に利益があるなどという幻想を抱くべきではない。

日本の甘ちゃんたちには思いもつかないかもしれないが、麻雀で言うところの「通し」をされると、少数派は敗北する。共通のカモをまず設定し、その獲物を皆で分け合うという戦略が可能だということは肝に銘じるべきである。
交渉というのは「多国間だから」といった甘えは通用しないと考えるべきである。
例えば、アメリカが「賛成してくれれば、お宅の国には侵害しない、その代りに、一緒にジャパンを食いませんか」と持ちかけると、その他国々が妥協しないとは限らない、ということである。

カモというのは、だから「カモ」なのだ。交渉ルールというのは、互いの手が見えているわけではないので、強力な国が多数派工作を実施した場合にでも対抗できるかどうかを考えておく必要がある。国際交渉の場においては、「通し」は違法とかルール違反ということにはならないだろうから、それは「ある」と思って臨むべきである。弱小国の場合、かりに食われても「大したことがない」上に(当事国ではまあ小さくもないかもしれないが、限りがある)、食う側もあまり「うまみがない」ので、そこまで追い込むのは得策とは考えない。

喩えて言えば、サメにとっては小魚を食べても食べなくても大勢に影響がないから、「小魚をわざと逃がして、大型魚を食べる」方がうまみが大きい、ということだ。小魚はサメの「おこぼれ」にあやかれる、となると、コバンザメ戦術に賛成することになる。こうして、サメ&コバンザメ連合側が勝利する。特定の大型魚は喰われるだけとなる。ここで言う大型魚が、日本ということにならない保障などない、と考えるべきである。



(再掲)

○基本原則1:包括的協定であること

TPP が協定として成功するためには、農業、物品、サービス、電子商取引、知的財産等、貿易と投資に関するすべての要素を網羅する必要があり、商品別、分野別に例外を設けるべきではない。例外分野を設けると、米国の農業従事者、製造業者、サービス提供者が新たな市場を獲得し、事業を拡大し、米国民の雇用を支え創出する機会が制限されることになる。


例外は認めない、と宣言されている。特に、日本の農業分野について、事細かに述べられている。日本の農業には指摘されている問題があるのだが、その解決策としてTPPを用いる必然性はない。
こういう時にこそ、「ティンバーゲンの定理」(笑)だとかを言うべきだろう。農業問題には、その政策手段を割り当てろ、ということになる。交易ではない。

TPP参加については、
日本の真剣さを示すには、特にコメの減反制度および兼業農家の補助金制度の廃止に向けた具体案とタイムテーブルを示すことが求められる
とされており、これを提示できないのであれば、TPPに参加する意思を有しているとはみなし難い、とことになるだろう。


○基本原則2:商業的意義の大きい協定であること

TPP が協定として成功するためには、既存の協定や、現在米国議会批准待ちの協定に定められている参加国の市場開放コミットメントを土台にして、新たに大きな市場開放機会とビジネスチャンスが米国の農業、消費者、製造業、サービス業および投資家にもたらされる協定でなければならない。TPP は物品に関して、約定期日までに関税・非関税障壁の完全撤廃を求めるものでなくてはならない。また、サービスと投資に関しても同様に約定期日までにすべての業種において「ネガティブリスト方式」による市場開放を求めるべきでる。さらに、知的財産に関しては、議会の批准待ちのKORUS FTA や既存の貿易協定を土台にしたものでなければならない。


基本的には、米韓FTAや既存(批准待ち含む)協定を踏襲するもの、ということだ。知財も同様。
ネガティブリスト方式と言われているのであるから、政府は「ネガティブリスト」をまず国内で提示するべきである。これがないのに、口約束だけで「守るべきは守る」というのは通用しない。「守るべき」に該当するリストをまず作れ、それを見せてみろ、というのは正当な要求である。
日本に対しては、最も重大な非関税障壁としての「差別的産業政策」をやめろ、ということを求めている。非常に抽象化して簡単に言うとすれば、過去にあった「通産省的産業政策」というようなものであろう。


○基本原則3:2011 年内に最終合意に至ること

世界各国で米国を除外した新しい協定が発効されたり交渉が行われたりしており、米国の企業と労働者は遅れをとっている。高水準な協定であるTPP の協議や発効が早ければ早いほど、米国およびTPP 交渉参加国が得る経済メリットも大きくなる。したがって参加国は、APEC 首脳会議で米国が議長国を務める2011 年11 月までに交渉を終結させるべきである。また、交渉を前倒しで進めることで、今後短期間のうちにアジア太平洋地域内の他の諸国が新たにTPP に参加する可能性も高まる。


これは既に過ぎた。先日の「大枠合意」という玉虫色の発表がそうだった、ということである。他の参加国の可能性というのが、加、墨、フィリピン?等みたいな話である。最終合意を急ぐのは、それだけ切羽詰まっている、ということなのか、アジア圏での貿易協定で先手を取りたい、ということがあるのだろう。


○基本原則 4:貿易を簡素化し、競争力を高める協定であること

数多くの貿易協定が交渉される中、それぞれの協定で定められたルール並びにそれぞれから得られる恩恵に大きな違いがあることから、各企業、とりわけ中小企業は海外事業計画の策定が困難になっている。したがってTPPが協定として成功するためには、その内容を簡素化し、さらに効果的で一貫性のあるルールを打ち出し、その上で、安全かつ確実、なおかつ相互に恩恵をもたらす貿易を促進する必要がある。目標を共有する国々とTPP という新たな地域的枠組みを構築することは、貿易や投資の足かせになる煩雑な手続きや高い取引コストといった問題に直接取り組む絶好の機会である。今後TPP に参加する国々も同様に貿易を促進する新たなTPP モデルを導入することになるため、複雑化の一途をたどる地域・二国間協定の波に歯止めをかけられるであろう。


これは、言いたいことは分かるし、気持ちも分からないでもない。が、発想が「番長(ビフ)的、ジャイアン的」ということでもある。大国の立場であると、こうなる、ということだな。
簡単に言うなら、米国にとってチマチマ貿易協定を締結するのが”面倒くさい”ということ。2国間協定が増えてしまって、手間暇も大変(コストのロス)だし、似たような話を何度もしなけりゃならず、それでいてルールも似てるが、部分的に違うのが多数あったりして、「分かり難い、だから、統一ルールにしてくれや」ということだ。ゴルフやトランプなんかの「ローカル・ルール」が多すぎて、多国籍企業にとってはいちいち現地の法律を確かめたり、手続き関係を調べたり、面倒なことこの上なし、ということであろう、恐らく。

なので、番長ビフであるところのアメリカ君としては、「今後、ローカル・ルールは禁止な、オレ様ルールに統一するから、それでやれ」と。



○基本原則 5:貿易を促進し、生産力とサプライ・チェーンを強化する協定であること

TPP が協定として成功するためには、参加各国が、重複していて、貿易歪曲的で、無駄な障壁を取り除くとともに、国境を越える物理的な結びつきを強化する必要がある。同時に、地域・国際両レベルでの規制に関するベストプラクティスに関するコミュニケーション、連携、普及状況を改善し、TPP 加盟国間の貿易の促進に寄与する内容としなければならない。


これも要望としては、判らないではない。「サプライ・チェーン」を邪魔しないでくれ、移動障壁になるものはなくせ、ということだ。移動障壁は、貿易関連の各種手続きや運輸等である。
簡単に言えば、広島県と熊本県で部品を作り、佐賀県と兵庫県で組み立てて、福岡県と大阪府から出荷させろ、みたいな場合、国境という障壁が存在しないと物品の移動は簡単だが、国ごとで貿易手続きが発生すると面倒だ、ということである。なので、県外移動みたいな制度になっている方がいいよね、という話だ。一理あるのでダメじゃないが、だとすると、ブロック圏内だけではなく世界的に統一する方向に行くのがいいのでは。

また、特定の国々なんかでは、通関の度に所謂「袖の下」を要求されたり、嫌がらせで手続きを遅らせられたり、というのがあるのだろう。確かに、こういうのを防げるようになる効果は期待できるかもしれない。


○基本原則6:規制の一貫性を高める協定

TPP が協定として成功するためには、加盟各国が透明性・実効性・拘束力を備えた一貫性のある規制体系を維持すること、そしてその規制体系はリスクベースかつ科学的根拠に基づくと同時にグローバル・ベストプラクティスにも準拠していること、さらに加盟国政府間およびステークホルダー間のハイレベルな協調が担保されていることで、加盟国間の物品・サービスの移動が促進され、その結果各加盟国の経済成長が促進されるものでなくてはならない。加えて、たとえば技術選択に関するパスファインダーやデジタル繁栄に関する作業など、APEC ですでに完成している作業成果を活用する機会がTPP 協定によって提供されることになる。


ルール作りについては、一貫性と透明性が必要だ、と。これも分からないではない。日本でも、例えば「消費者庁が思いつきで規制策を導入」みたいな部分(雰囲気)があるから、である。
ある事業に進出した企業が、事後的にこうした法規制を実施される場合、将来の「予測可能性」が脅かされる、従って事業の収支予測や成功条件変更などの具体的損害が想定される為、そういう不確実性を事前に排除したい、という企業側の気持ちが分からないではない、ということである。
この最近の例が、上限金利規制問題(貸金業法改正)であった、と向こうでは受け止められているであろう、と。例えば、麻薬規制に関して、ベストプラクティス準拠とか科学的根拠という話になれば、極端に重い規制がある国ではどうするか、といった問題が浮かび上がるかもしれない。

将来時点において、国内法で新規規制を行う際には、導入以前に活動(存在)している外国企業があれば、それを問題とされる可能性があるだろう。


(つづく)