未だに、ばかばかしい話を真剣に語る人たちがいるようだ。
製造業の海外移転は、
原発が停止→電気料金値上げ→コスト増加で海外移転
みたいな、風が吹けば桶屋が儲かる論法のような話らしい。
こういうことを心の底から真剣に言う人の気持ちが、全く理解できない。
>http://www.huffingtonpost.jp/iwao-yamaguchi/post_6688_b_4624919.html
この記事を書いている山口厳とかいう人は、「電気料金が上がれば国内製造業の海外逃避が加速する」と断言しているようだ。しかも、脱原発は知的怠惰ということらしい。
こういう輩がいるからこそ、根拠に乏しい言説が堂々と拡散されてしまうのである。
H23年の「企業の管理活動等に関する実態調査」の結果から考えてみることにしよう。あくまで推測ですが。
まず、製造業ではどれくらいの電気料金がかかっているのか?
これが他の産業と比べてどうなのか、ということが問題意識である。コストに占める電気料金の割合が高い場合には、値上げの影響度は割合の低い業種に比べて大きくなるであろう、ということが予測される。
産業分野の分類は、調査の分類による。一般販管費に占める電気料の割合は以下の通り。
・輸送用機械器具製造業 0.24%
・情報通信機械器具製造業 0.34%
・電気機械器具製造業 0.43%
・電子部品,デバイス,電子回路製造業 0.48%
・業務用機械器具製造業 0.24%
・生産用機械器具製造業 0.24%
・はん用機械器具製造業 0.24%
・紙,パルプ製造業 0.24%
・化学工業 0.24%
・鉄鋼業 0.53%
・非鉄金属製造業 0.49%
・金属製品製造業 0.94%
さて、上記分類というのは、所謂日本の製造業のクリーンナップというか稼ぎ頭のように言われる、自動車、電子電気、機械、金属といった業種が大体入っているはずであろう。それら業種では、販管費のほぼ1%未満しかないということが分かるわけである。原材料費などの原価部分はこれには含まれない。そうすると、総コストに占める割合は更に低下することが予想されるわけであり、売上高に対してならばもっと低下するはずであろう(大幅赤字ではない限り、だが)。
具体的に示すことにする。
①製造原価 80
②販管費 20
③売上高 105
④利益 ③-(①+②)=5
非常に単純化して書けば、こうなる、ということ。販管費には人件費などの経費が含まれている。赤字ならば売上がコストより少ない場合もあるだろう。
ただ、②に占める電気料金の割合というのが、主要な製造業では1%未満である、ということだ。金属系以外の自動車、電気電子や機械類であれば、約0.5%以下が殆どということになるわけである。とりあえず1%の場合と0.5%の場合で考えることとする。
ア)1%の場合→0.2
イ)0.5%の場合→0.1
電気料金が20%値上げになった場合にはいくらになるか?
ウ)1%の場合→0.24
エ)0.5%の場合→0.12
総コスト100のうち、0.04と0.02の部分が上昇するので、それぞれ0.04%と0.02%分の経費増加となる。本当に、これが「価格転嫁できないので、海外移転」の理由になると?(笑)
輸送用製造業において、仮に電気料が2倍になったとしても、販管費に占める割合は0.48%に過ぎず、他業種ほどの影響度を受けるわけではないだろう。
金属系や鋳造系の業種であると、確かに電気代がかさむと苦しいというのはあるだろうが、製造業が海外移転をしなければならない程のインパクトを持つとは考えにくい。
仮に販管費の6割が人件費だとすると、20×0.6=12となり総コストに占める割合は12%だ。給料引き上げで人件費が1%上昇すると0.12増加だし、2%引き上げなら0.24となるわけで、それは電気料金の値上げよりも圧倒的にインパクトが大きい。そうならないのは、人件費割合が販管費の10%(総コストの2%)以下くらいでしかない場合だろう。
世の中には、色々な経営者たちがいる。
>http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20120614/Jinzainews_hrn_article_98eff6348af3e10a1e1370f2879b61c5.html
2012年6月14日 07時00分 (2012年6月21日 23時42分 更新)
経済同友会が四半期ごとに実施している景気定点観測アンケート調査によると、電気料金の値上げによって減益を予想し、生産拠点の海外移転を検討する製造業の経営者が多いことが分かった。
6月の調査結果によると、電気料金の値上げによる懸念を聞いたところ、製造業は「販売価格に転嫁できず減益を余儀なくされる」が53.1%で半数を超えた。
次いで「先行きの不透明さから、企業マインドを慎重化させる」(37.5%)、「生産拠点等の海外移転を検討せざるを得なくなる」(31.3%)、「追加の設備投資が必要となる」(29.7%)、「取引先の海外移転により、事業展開にネガティブな影響がでる」(21.9%)となっている。
非製造業では「先行きの不透明さから、企業マインドを慎重化させる」(37.2%)が最も多い。
製造業では半数を超えている「販売価格に転嫁できず減益を余儀なくされる」が非製造業では26.4%、製造業では6.3%の「電気料金の値上げは、節電のみで対応する(大きな懸念はない)」が非製造業では33.1%となっており、電気料金の値上げが製造業に与える影響の大きさがうかがえる。
日本の政治状況がビジネス上のリスクになると考えている経営者が7割近くに上っており、その理由として「政策の一貫性がないことによる、ビジネス展開における予見可能性の低さ」が製造業、非製造業ともに最も多く、製造業では「FTA・TPP等の取り組みの遅れによる競争条件の悪化」、非製造業では「財政問題から派生する金利の上昇」を上げる経営者が多かった。
調査は5月30日~6月8日に実施し、経済同友会会員ら288人の経営者から回答を得た。
=========
さすが、経済同友会。
日本の経営者というのは、相当おかしい連中が大勢いる、ということであろう。普通の算数もできないらしい。これで経団連なんかが「人件費を引き上げます」なんていうわけであるが、本当かね?
製造業では経営者の多くが、計算もできない程度の能力の持ち主か、政治情勢に合わせてウソ八百を並べる卑怯な連中、ということなのであろうか。
製造業でも、中小零細企業においては、電気料金値上げのコスト増加は苦しいということはあるだろう。ならば、それは大企業に負担させるべきなのだ。
そもそもが、円安になって最も苦しむのは、国内企業である。当然に中小零細企業ほ圧倒的多くがそれに該当する。輸入コスト増加の影響を受けてしまうわけで、輸出企業は自分たちだけが利益を独り占めしているのだ。
電気料金値上がりよりも、円安による原材料費の値上がりの方が断然大きい。単位当たり3ドルの輸入原材料があるとして、1ドル80円の時には240円のコストだが、ドル円が100円になれば同じ価格であっても300円に上がっている。25%増の原価押し上げ要因ということだ。
電気料金値上げがどうとか批判する前に、アベノミクスこそ中小零細企業を苦しめる要因ではないのか。何故、たった70兆円しか輸出しない企業に利益を与え、GDPの大半を稼ぐ国内企業に多大な損失を与えるのか、考えてみよ。輸出企業の発言力こそが、日本経済を長き停滞へと沈めた原動力となったのだよ。
因みに、電気料の販管費に占める割合が高いのは、ドメスティックな業種なのだ。特に、対個人サービスの業種では、製造原価のようなコストが殆ど少ない分、販管費割合が高くなりがちであり、そこに占める光熱費も製造業に比べて多くなるのである。
・農業 2.18%
・各種商品小売業 3.94%
・飲食品小売業 3.06%
・その他小売業 3.04%
・宿泊業 3.36%
・飲食業 3.49%
・娯楽業 2.98%
製造業なんかに比べれば、電気料の影響は圧倒的に大きい。自動車産業や情報通信機器なんかに比べて、10倍くらいのウェイトがある。金属系企業の3倍以上だ。国内企業は泣きごとを言わないようにさせられているのに、何故輸出の多い大企業だけが文句ばかり言うのか?
電気料金値上げや、アベノミクスによる円安や消費税増税の最も大きな影響を受けるのは、国内産業であるということだ。それは、海外移転などほぼあり得ない業種が殆どであり、一部輸出企業の為に全国民が我慢を強いられているのと同じである。
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d34f217852de22b9a9cea8d33f2d08bb
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fb53d51b4f521f72a5b422c7b34d6cfc
前にも言っておいたはずだが、経団連がどうしても原発が欲しくて欲しくて仕方がない、というのなら、経団連が買い取れ。そして、加盟企業が自分たちで民間会社として運営し、全責任を負えばいいだけなのだよ。”安い電気”(汚い電気?)を自分たちで使って、全ての処理を自分たちで行って、費用も自分たちで賄え。それこそが、民民の関係なんだろう?
だったら、自己責任で全部やってみろ。他人の金を勝手に使うな。
TPPで競争条件が、云々言う前に、大企業の連中が日本国民のカネを搾取してるに等しいということを自覚せよ。
製造業の海外移転は、
原発が停止→電気料金値上げ→コスト増加で海外移転
みたいな、風が吹けば桶屋が儲かる論法のような話らしい。
こういうことを心の底から真剣に言う人の気持ちが、全く理解できない。
>http://www.huffingtonpost.jp/iwao-yamaguchi/post_6688_b_4624919.html
この記事を書いている山口厳とかいう人は、「電気料金が上がれば国内製造業の海外逃避が加速する」と断言しているようだ。しかも、脱原発は知的怠惰ということらしい。
こういう輩がいるからこそ、根拠に乏しい言説が堂々と拡散されてしまうのである。
H23年の「企業の管理活動等に関する実態調査」の結果から考えてみることにしよう。あくまで推測ですが。
まず、製造業ではどれくらいの電気料金がかかっているのか?
これが他の産業と比べてどうなのか、ということが問題意識である。コストに占める電気料金の割合が高い場合には、値上げの影響度は割合の低い業種に比べて大きくなるであろう、ということが予測される。
産業分野の分類は、調査の分類による。一般販管費に占める電気料の割合は以下の通り。
・輸送用機械器具製造業 0.24%
・情報通信機械器具製造業 0.34%
・電気機械器具製造業 0.43%
・電子部品,デバイス,電子回路製造業 0.48%
・業務用機械器具製造業 0.24%
・生産用機械器具製造業 0.24%
・はん用機械器具製造業 0.24%
・紙,パルプ製造業 0.24%
・化学工業 0.24%
・鉄鋼業 0.53%
・非鉄金属製造業 0.49%
・金属製品製造業 0.94%
さて、上記分類というのは、所謂日本の製造業のクリーンナップというか稼ぎ頭のように言われる、自動車、電子電気、機械、金属といった業種が大体入っているはずであろう。それら業種では、販管費のほぼ1%未満しかないということが分かるわけである。原材料費などの原価部分はこれには含まれない。そうすると、総コストに占める割合は更に低下することが予想されるわけであり、売上高に対してならばもっと低下するはずであろう(大幅赤字ではない限り、だが)。
具体的に示すことにする。
①製造原価 80
②販管費 20
③売上高 105
④利益 ③-(①+②)=5
非常に単純化して書けば、こうなる、ということ。販管費には人件費などの経費が含まれている。赤字ならば売上がコストより少ない場合もあるだろう。
ただ、②に占める電気料金の割合というのが、主要な製造業では1%未満である、ということだ。金属系以外の自動車、電気電子や機械類であれば、約0.5%以下が殆どということになるわけである。とりあえず1%の場合と0.5%の場合で考えることとする。
ア)1%の場合→0.2
イ)0.5%の場合→0.1
電気料金が20%値上げになった場合にはいくらになるか?
ウ)1%の場合→0.24
エ)0.5%の場合→0.12
総コスト100のうち、0.04と0.02の部分が上昇するので、それぞれ0.04%と0.02%分の経費増加となる。本当に、これが「価格転嫁できないので、海外移転」の理由になると?(笑)
輸送用製造業において、仮に電気料が2倍になったとしても、販管費に占める割合は0.48%に過ぎず、他業種ほどの影響度を受けるわけではないだろう。
金属系や鋳造系の業種であると、確かに電気代がかさむと苦しいというのはあるだろうが、製造業が海外移転をしなければならない程のインパクトを持つとは考えにくい。
仮に販管費の6割が人件費だとすると、20×0.6=12となり総コストに占める割合は12%だ。給料引き上げで人件費が1%上昇すると0.12増加だし、2%引き上げなら0.24となるわけで、それは電気料金の値上げよりも圧倒的にインパクトが大きい。そうならないのは、人件費割合が販管費の10%(総コストの2%)以下くらいでしかない場合だろう。
世の中には、色々な経営者たちがいる。
>http://www.excite.co.jp/News/economy_g/20120614/Jinzainews_hrn_article_98eff6348af3e10a1e1370f2879b61c5.html
2012年6月14日 07時00分 (2012年6月21日 23時42分 更新)
経済同友会が四半期ごとに実施している景気定点観測アンケート調査によると、電気料金の値上げによって減益を予想し、生産拠点の海外移転を検討する製造業の経営者が多いことが分かった。
6月の調査結果によると、電気料金の値上げによる懸念を聞いたところ、製造業は「販売価格に転嫁できず減益を余儀なくされる」が53.1%で半数を超えた。
次いで「先行きの不透明さから、企業マインドを慎重化させる」(37.5%)、「生産拠点等の海外移転を検討せざるを得なくなる」(31.3%)、「追加の設備投資が必要となる」(29.7%)、「取引先の海外移転により、事業展開にネガティブな影響がでる」(21.9%)となっている。
非製造業では「先行きの不透明さから、企業マインドを慎重化させる」(37.2%)が最も多い。
製造業では半数を超えている「販売価格に転嫁できず減益を余儀なくされる」が非製造業では26.4%、製造業では6.3%の「電気料金の値上げは、節電のみで対応する(大きな懸念はない)」が非製造業では33.1%となっており、電気料金の値上げが製造業に与える影響の大きさがうかがえる。
日本の政治状況がビジネス上のリスクになると考えている経営者が7割近くに上っており、その理由として「政策の一貫性がないことによる、ビジネス展開における予見可能性の低さ」が製造業、非製造業ともに最も多く、製造業では「FTA・TPP等の取り組みの遅れによる競争条件の悪化」、非製造業では「財政問題から派生する金利の上昇」を上げる経営者が多かった。
調査は5月30日~6月8日に実施し、経済同友会会員ら288人の経営者から回答を得た。
=========
さすが、経済同友会。
日本の経営者というのは、相当おかしい連中が大勢いる、ということであろう。普通の算数もできないらしい。これで経団連なんかが「人件費を引き上げます」なんていうわけであるが、本当かね?
製造業では経営者の多くが、計算もできない程度の能力の持ち主か、政治情勢に合わせてウソ八百を並べる卑怯な連中、ということなのであろうか。
製造業でも、中小零細企業においては、電気料金値上げのコスト増加は苦しいということはあるだろう。ならば、それは大企業に負担させるべきなのだ。
そもそもが、円安になって最も苦しむのは、国内企業である。当然に中小零細企業ほ圧倒的多くがそれに該当する。輸入コスト増加の影響を受けてしまうわけで、輸出企業は自分たちだけが利益を独り占めしているのだ。
電気料金値上がりよりも、円安による原材料費の値上がりの方が断然大きい。単位当たり3ドルの輸入原材料があるとして、1ドル80円の時には240円のコストだが、ドル円が100円になれば同じ価格であっても300円に上がっている。25%増の原価押し上げ要因ということだ。
電気料金値上げがどうとか批判する前に、アベノミクスこそ中小零細企業を苦しめる要因ではないのか。何故、たった70兆円しか輸出しない企業に利益を与え、GDPの大半を稼ぐ国内企業に多大な損失を与えるのか、考えてみよ。輸出企業の発言力こそが、日本経済を長き停滞へと沈めた原動力となったのだよ。
因みに、電気料の販管費に占める割合が高いのは、ドメスティックな業種なのだ。特に、対個人サービスの業種では、製造原価のようなコストが殆ど少ない分、販管費割合が高くなりがちであり、そこに占める光熱費も製造業に比べて多くなるのである。
・農業 2.18%
・各種商品小売業 3.94%
・飲食品小売業 3.06%
・その他小売業 3.04%
・宿泊業 3.36%
・飲食業 3.49%
・娯楽業 2.98%
製造業なんかに比べれば、電気料の影響は圧倒的に大きい。自動車産業や情報通信機器なんかに比べて、10倍くらいのウェイトがある。金属系企業の3倍以上だ。国内企業は泣きごとを言わないようにさせられているのに、何故輸出の多い大企業だけが文句ばかり言うのか?
電気料金値上げや、アベノミクスによる円安や消費税増税の最も大きな影響を受けるのは、国内産業であるということだ。それは、海外移転などほぼあり得ない業種が殆どであり、一部輸出企業の為に全国民が我慢を強いられているのと同じである。
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/d34f217852de22b9a9cea8d33f2d08bb
>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/fb53d51b4f521f72a5b422c7b34d6cfc
前にも言っておいたはずだが、経団連がどうしても原発が欲しくて欲しくて仕方がない、というのなら、経団連が買い取れ。そして、加盟企業が自分たちで民間会社として運営し、全責任を負えばいいだけなのだよ。”安い電気”(汚い電気?)を自分たちで使って、全ての処理を自分たちで行って、費用も自分たちで賄え。それこそが、民民の関係なんだろう?
だったら、自己責任で全部やってみろ。他人の金を勝手に使うな。
TPPで競争条件が、云々言う前に、大企業の連中が日本国民のカネを搾取してるに等しいということを自覚せよ。