漢方学習ノート

漢方医学の魅力に取りつかれた小児科医です.学会やネットで得た情報や、最近読んだ本の感想を書き留めました(本棚3)。

「粗食のすすめ」

2008年08月25日 22時30分02秒 | 養生
幕内秀夫著、1995年、東洋経済新報社発行.

食物アレルギーのアンケートを保育園・幼稚園対象に行った際に某園長さんから教えていただいた講演の演者が幕内さんでした.残念ながら私は所用により聴講できず、当院スタッフの栄養士さんに聞いてきてもらいました.たいそう感銘した様子で報告を受け、私も興味を持って幕内さんの本を読んでみました.

著者は管理栄養士であり、病気の食事療法を指導する一方で、学校給食等への提言等、広く活動している方です.
私は民俗学も好きでたまに本を読みますが、宮本常一関係の本にも幕内さんが出てきたので驚きました.
また、帯津良一さんの本にも登場します.なんだか、切っても切れない縁がありそうです.

本の内容は「戦前の米を中心とした日本食の方が日本人の体には合っている」という意見です.
戦後の食生活欧米化は日本人を健康にはしないと.
また、アメリカの経済政策や研究者のいろいろな思惑が食生活の指針を見失わせているという警鐘も鳴らしています.

自分のことを顧みると、10代、20代、30代までは西洋かぶれの食生活を送っていましたが、40歳を過ぎると和食に戻りつつあります.
血が滴るようなステーキよりは味わい深い和食の方が胃が喜ぶのですね.
メタボ街道まっしぐらだった体型が、ここ数年で少ししぼんできました.

著者はその土地の旬のものを丸ごといただくのが基本だと書いています.
この「丸ごと」がポイントです.
エスキモーはトナカイ、アザラシの生肉を中心とした食生活で、野菜等は手に入らず口にすることはできません.
しかし、ビタミン不足になる訳ではない・・・その秘密は内蔵が野菜の成分と似ているそうです.
おいしいところだけを取り出して食べるのではなく、「命を丸ごといただく」のがよいと.

私が日々診療している「アトピー性皮膚炎」の食事療法は症状を誘発する食材を避ける「除去食療法」ですが、それに終始すること無く、「食養生」という考え方を導入していくべきなんだな、と考えさせられました.
現在、私は漢方医学に興味を持って勉強中ですが、漢方医学の究極は食養生・薬膳ですから、自分の将来の方向性にヒントを与えてくれた本でもあります.

この本を読んでから、パン食中心だったお昼が米に変わりました.数kgまた痩せました.



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