“子ども”を取り巻く諸問題

育児・親子・家族・発達障害・・・気になる情報を書き留めました(本棚4)。

「増える子供の生活習慣病にどう対処するか」(by 岡田知雄先生)

2017年01月09日 06時58分52秒 | 子どもの心の問題
NHKラジオ 毎日ライフ(2016年)より
お話:神奈川工科大学 特任教授・医学博士 岡田知雄先生


(岡田先生)


子どもの生活習慣病の大元は、まだお母さんのお腹にいる胎児期の影響が出生後の生活習慣より大きい、という衝撃的な内容でした。
近年、赤ちゃんの出生体重は減少しつつあり、なんとなく「小さく産んで大きく育てる」がよいというイメージがあります。
しかし、それは赤ちゃんにとってはマイナス。

胎児期に栄養が十分にもらえないと、赤ちゃんの体は必死にカロリーをためて自分の身を守る体質に変わってきます。
そして出生後もその体質が続き、栄養をがむしゃらに自分の体に取り込み続ける事になり、これが肥満につながるというのです。

栄養は多すぎても足りなくてもよくないのですね。
そして、子どもの肥満の責任は子ども自身にあるのではなく、周囲の大人や社会の問題であるという認識が必要なこともわかりました。

**********<備忘録>**********

■ 「子供の生活習慣病の現状」
□ 肥満の定義
・肥満:標準体重+20%以上
・高度肥満:標準体重+50%以上
近年のデータでは、11歳の9〜10%が肥満、2%が高度肥満

□ 肥満の問題点
・運動機能の低下
・睡眠時無呼吸
・寝不足
・いじめ、不登校
・大人肥満への移行しメタボリック症候群へ:思春期肥満の70%が持ち越す

□ 脂肪細胞の数は一度増えると減らない
軽度肥満も放置せずに対策を立てる必要がある

□ 小児肥満の原因として近年わかってきたこと
過食など生活習慣よりも
・胎内環境の影響
・新生児期〜乳児期の栄養が影響
が大きいことが指摘されてきた。

■ 「母親の胎内にいる時の影響」
□ 低出生体重児(2500g未満)の弊害
・やせた母親からやせた赤ちゃんが生まれることが多い
・胎児の栄養が不十分な状態が続くと、特殊な遺伝子がonになり、低栄養状態になれてしまう(順応)。
・出生後もその状態が続くため、ふつうの栄養状態でもインスリン分泌が多く肥満になりやすい。
・成人してもその状態が続くため、成人肥満〜メタボリック症候群につながる。
・その子どもが母親になるとその子どもにも同様の状況が受け継がれる。
・日本はOECDの中で低出生体重児が一番多く生まれる国。

□ 過体重児も肥満のリスクが高い。

■ 「乳幼児期の影響」
□ 新生児〜乳児期の過栄養・体重の急激な増加は肥満遺伝子がonになりやすい。
とくに低体重児にその傾向がある。
体重の急激な増加は脂肪がメインである。
母乳の脂肪は脂肪球という形で供給され、消化吸収に適切。人工乳は吸収されやすい形で共有され、肥満につながりやすい。
母乳の方が満腹中枢が働きやすく、人工乳にありがちな飲み過ぎが少ない。

□ 食事・運動療法に取り組んでも効果が上がらない肥満の小学生のからくり
胎児期・乳児期の問題が隠されていることを念頭に置く必要がある。

■ 「学童期の影響」
□ 動脈硬化は小学生期から始まる。

□ 小児のメタボリック症候群基準
・腹囲:80cm以上(中学生)、75cm以上(小学生)
かつ、以下の検査値を3つ以上満たす;
・中性脂肪:120mg/dl以上
・LDL-C:40未満
・血圧:125/70mmHg以上
・空腹時血糖:100mg/dl以上

□ 注意すべき生活習慣
・?(聞き逃しました)
・運動不足
・睡眠不足
・ストレス
・朝食を食べない:肥満児の朝食欠食は30%、非肥満児では10%未満
・孤食:食べたいものだけをたくさん食べる傾向、満足感が乏しいためたくさん食べる

■ 「社会環境と子供の肥満」
□ 昔は裕福な家庭の方が肥満が多かったが、現在は貧困家庭の方が肥満が多い。
・やせ妊婦が多い。
・学童期にファストフードを多く食する。

□ 子どもを取り巻く環境の影響
・群馬県の太田市から東京23区に転居した小学生が肥満&脂肪肝になった例
・東京23区に住んでいた小学生が、山形のりんご園に預けられて6ヵ月で肥満が改善した。
・東日本大震災の放射能汚染地域では、屋外で遊べない状態が続き、肥満児が急増した。

□ 子どもの肥満は子ども自身の問題ではなく、周囲の大人の問題に起因することを肝に銘じるべきである。

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