皆さん、“シンデレラ体重”ってご存じですか?
私は先日、初めて知りました。
女性で「BMI18の体重」のことを指すそうです。
この体重は、いろいろ体に不調が出てくる体重レベルです。
とくに月経異常。
中には生理が止まってしまうこともあり、
これが長く続くと骨粗しょう症のリスクも上昇します。
このことを扱った記事を紹介します。
医大職員女性を対象とした検討で、約17%がシンデレラ体重に相当し、
エネルギー摂取量、各種栄養素、タンパク質・炭水化物の摂取量が、
押しなべて不足している事実が明らかになりました。
医大職員ですから、看護師も多く含みます。
医療関係者でさえ、この数字なので、
一般市民層ではより問題は深刻化している可能性を指摘しています。
ただこの検討では栄養状態の評価にとどまり、
月経異常や骨粗鬆の評価はしていないようですね。
また、調査対象年齢が20~30歳代であり、
思春期女子の現状も知りたいと思いました。
▢ “シンデレラ体重”がもたらす健康リスク~モデル体型指向、低体重若年女性に潜む栄養障害
(2023/07/20:今滿 仁美=日経メディカル)より抜粋;
若年の低体重女性はビタミン欠乏などの栄養障害に陥りやすいことが明らかとなった。藤田医科大学臨床栄養学講座教授の飯塚勝美氏らのグループが報告した(Iizuka K, et al. Nutrients. 2023;15:2216.)。
近ごろ、若年女性の間で“シンデレラ体重”という言葉が流行している。これはBMIが18kg/m2となる体重を指し、「モデルのようで理想的」とされている。しかし、BMI 18.5kg/m2未満は医学的には低体重に当たり、不妊や骨粗鬆症、免疫力の低下といった痩せ過ぎによる健康リスクが指摘されている。一方で、その根底にあると考えられる栄養学的な影響については、実態が明らかになっていなかった。
近ごろ、若年女性の間で“シンデレラ体重”という言葉が流行している。これはBMIが18kg/m2となる体重を指し、「モデルのようで理想的」とされている。しかし、BMI 18.5kg/m2未満は医学的には低体重に当たり、不妊や骨粗鬆症、免疫力の低下といった痩せ過ぎによる健康リスクが指摘されている。一方で、その根底にあると考えられる栄養学的な影響については、実態が明らかになっていなかった。
そこで飯塚氏らのグループは、健康診断データを用いて、同大の教職員を対象とした後ろ向き研究を実施した。2022年8~9月に健康診断を受けた20~30歳代の女性1457人(平均年齢28.25歳)のうち、低体重(BMI 18.5kg/m2未満)の割合は16.8%、普通体重(BMI 18.5kg/m2以上25kg/m2未満)は75.2%、肥満(BMI 25kg/m2以上)は8.0%だった。
・・・
◆ 同じ低体重でも若年の方が、蛋白質やビタミンの不足が目立つ
次に、BMI 17.5kg/m2未満の低体重だった20~30歳代の女性44人(若年群、平均年齢27.34歳)を対象により詳細な栄養評価を行った。対照はBMI 17.5kg/m2未満の40歳代以上の女性12人(中高年群、平均年齢51.00歳)とし、同じ低体重でも年齢により栄養状態に差があるかを検討した。
両群併せた56人の背景は、BMI 17.02kg/m2、20歳時のBMI 17.6kg/m2、体脂肪率22.16%、骨格筋指数(SMI)7.12kg/m2、HbA1c 5.48%、総コレステロール180.93mg/dL、プレアルブミン 23.73mg/dLなどで、いずれも群間差を認めなかった。なお、ヘモグロビン12g/dL未満の貧血と判断された割合は、若年群15.9%、中高年群8.3%と若年群で多い傾向にあった。
これらの対象者に食事摂取頻度調査を行ったところ、全体としてエネルギー摂取量が約1600kcalと少なく、ハリス・ベネディクトの推算式から求められる基礎エネルギー消費量と同程度だった。また、大半の対象者は食物繊維、鉄、カルシウムの摂取量が不足していたのも特徴的だった。特に、蛋白摂取量が不足していた(50g未満)割合は若年群32%、中高年群17%、炭水化物摂取量が不足していた(256g未満)割合は若年群89%、中高年群58%と、いずれも若年群で有意に高率だった。
葉酸摂取量が不足していた(240μg未満)割合は、若年群80%、中高年群33%と若年群で有意に高く、これに一致して、血清濃度4ng/mL未満の葉酸欠乏と診断された割合も若年群14%、中高年群0%と若年群で高い傾向が見られた。ビタミンDについても、摂取量が不足していた(8.5μg未満)割合が95%と高かった若年群の方が、ビタミンD欠乏症と診断された割合は98%と有意に高かった。ビタミンB12については、摂取量が不足していた(2.0μg未満)割合は若年群で20%だったものの、中高年群の8%と比較すると高い傾向があった。なお、ビタミンB1摂取量が不足していた(1.1mg未満)割合は、両群ともに85%程度と高率だった。
両群併せた56人の背景は、BMI 17.02kg/m2、20歳時のBMI 17.6kg/m2、体脂肪率22.16%、骨格筋指数(SMI)7.12kg/m2、HbA1c 5.48%、総コレステロール180.93mg/dL、プレアルブミン 23.73mg/dLなどで、いずれも群間差を認めなかった。なお、ヘモグロビン12g/dL未満の貧血と判断された割合は、若年群15.9%、中高年群8.3%と若年群で多い傾向にあった。
これらの対象者に食事摂取頻度調査を行ったところ、全体としてエネルギー摂取量が約1600kcalと少なく、ハリス・ベネディクトの推算式から求められる基礎エネルギー消費量と同程度だった。また、大半の対象者は食物繊維、鉄、カルシウムの摂取量が不足していたのも特徴的だった。特に、蛋白摂取量が不足していた(50g未満)割合は若年群32%、中高年群17%、炭水化物摂取量が不足していた(256g未満)割合は若年群89%、中高年群58%と、いずれも若年群で有意に高率だった。
葉酸摂取量が不足していた(240μg未満)割合は、若年群80%、中高年群33%と若年群で有意に高く、これに一致して、血清濃度4ng/mL未満の葉酸欠乏と診断された割合も若年群14%、中高年群0%と若年群で高い傾向が見られた。ビタミンDについても、摂取量が不足していた(8.5μg未満)割合が95%と高かった若年群の方が、ビタミンD欠乏症と診断された割合は98%と有意に高かった。ビタミンB12については、摂取量が不足していた(2.0μg未満)割合は若年群で20%だったものの、中高年群の8%と比較すると高い傾向があった。なお、ビタミンB1摂取量が不足していた(1.1mg未満)割合は、両群ともに85%程度と高率だった。
◆ 低体重に伴う栄養障害は医療者にも
以上の結果から、飯塚氏は「若年の低体重女性は、蛋白質、炭水化物、葉酸、ビタミンB12、ビタミンDなどの摂取量が少ないのが特徴的で、栄養障害に陥りやすい」としている。その原因として、「40歳代以上と比較して、20~30歳代では一人暮らしで自炊をしていない人が多く、ビタミンB12やビタミンDを多く含む魚類、食物繊維や葉酸を多く含む野菜の摂取がおろそかになってしまうからではないか」と飯塚氏は推測する。
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「低体重は健診で見逃されることが多い」と飯塚氏。肥満に関連した健康リスクが注目されがちな現代だが、「低体重に関連する健康リスク、食品の多様性を意識した食事についての啓発が、今一度必要だろう」と指摘する。
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「低体重は健診で見逃されることが多い」と飯塚氏。肥満に関連した健康リスクが注目されがちな現代だが、「低体重に関連する健康リスク、食品の多様性を意識した食事についての啓発が、今一度必要だろう」と指摘する。