日々雑感

読んだ本やネット記事の感想、頭に浮かんでは消える物事をつらつら綴りました(本棚7)。

「絵が描きたくてたまらない」

2009-12-13 07:44:44 | エッセイ
永沢まこと著、講談社+α文庫、2006年発行

身を削る仕事をつづけていると、何かを造る仕事に憧れます。
仕事は変えられないけど、日々の生活の中で「何かを造りたい」と思うようになりました。
いろいろ探してみて、手軽に始められるのは「絵」ということに気づきました。
それもシンプルな鉛筆画。
「鉛筆」と「紙」があれば準備OKですからね。

そんなタイミングでこの本に出会いました。
デッサンの教則本はやはりちょっと敷居が高い。
イラストレーター(?)の著者は「もっと自由に、日常生活の延長で絵を描きましょう」と提案しています。

私たちは毎日「字」を書いています。
その特徴は十人十色。
絵画では「俳画」という分野がありますが、これは絵と字で一つの作品になっています。
シャープな絵には切れのある字。
やわらかい絵には丸っこい字。
・・・「字」も作品のうちなんですね。
これを「書画一体」と呼び、東洋的な考え方です。
そう指摘されて、なるほどなあ、と思うことしきり。

さて、永沢さん提唱の「絵が上手くなるための三つの法則」;
その1:何を描くときでも「実物」を見て描くこと 
その2:何を描くときでも「線」でかたちをとること
その3:「色」を塗るときは理性を捨て、心を開くこと

特徴は、「ペンで描くこと」。
つまり、「下書きなし」&「消しゴムで消せない」のです。
そのためには実物をじ~っと穴の開くほど見つめて頭の中にイメージを造り「空描き」し、そして紙に思い切って線を描く!
勇気がいる方法ですが、慣れるとできるようになるそうです。
コツは先入観を捨て「ポカンと口を開けて宇宙人になったつもりでしげしげと眺める」こと。

いわゆる「デッサン」は光と影を面で捉えます。
でも著者は線で捉えることにこだわります。
レオナルド・ダ・ヴィンチは「物体には、線など存在しない」といったそうですが、永沢さんは「しかし、線表現によって二次元上に翻訳することは可能である」と主張しています。

また、ペン書きの利点として
1.太さ細さが表せる
2.スピードが表せる
3.重さが表せる
などを挙げ、実例を示してわかりやすく説明しています。

次に色塗り。
「線」に「色」を施すことによって「線」がより美しく輝き、線と色とが分かちがたく一体化する、というのが線と色とが作り出すもっともよい関係とのこと。
色は実物の正確な再現でなくてもよく、自分がイメージする最高の色をめざしましょう、とも。
ウ~ン、深いですね。

あとはひたすら描いてセンスを磨くこと。
同じテーマで30~50枚を描いてみよう(5~10枚ではダメ)!


私は自然の写真を撮るのが好きです。
「下手な鉄砲も数打ちゃ当たる」でたくさん撮影してそのうち何枚かよいものがあれば満足。
でもヒット率が低いことが悩みです。

ある時、ターシャ・テューダーという絵本画家のスケッチを書店で見つけました。
動物たちの「あっ、この表情!」というかわいらしい瞬間が見事に捉えられているのです。
そうか、自分で見つけて描いて残せばいいのか・・・。

小学生の頃は写生が好きでした。
コンクールに入賞したこともあったような・・・。
この本はペン画&水彩画ですが、私はモノクロの鉛筆のみで描き始めてみようと思いました。


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