この物語を今は亡き名優・藤田まことさんに捧ぐ。
面白き 事も無き世を 面白く
格差、格差の野球界
熱き戦い仕立て上げ
闇の世界の仕立人
今宵も広島を駆ける...
「それで、新しい商工会議所ビルの建設費に市から補助金を出す話、何とかなるんだろうな?」
「民間企業を税金で補助するのには議会の抵抗があるのですぐにとは行きませんが、目障りな市民球場をぶっ壊してしまった後は反対派の市民連中も黙るだろうし、跡地公園整備のドサクサで何とかやりますので。」
「商工会議所と市のお偉いさん同士、”天下り”で繋がっている訳ですか。」
「だ...誰だお前!?」
「中区環境事業所の者ですが。」
「こんな夜中に環境が一体何の用だ?」
「市民からの通報で、”ドブネズミ”の駆除に伺ったのですが。」
「な、何だと!?」
「......峰打ちでござんす。」
「駿河さん、この間はご苦労様。」
「”おまきさん”も度々広島までいらして下さってありがとうございます。」
「宮島、駿河さんと最初に会ったところですよね、まだ何か見るところがあるの?」
「宮島は見どころが色々ありますよ、とりあえず船の方に行きましょう。」
「あれ? 行き止まりになってますよ。」
「ここは国道2号線です。 JR駅から桟橋に向かう歩行者が多くて車の通行に邪魔になるんでしょうね、歩行者はそこから地下に降りるんです。 昔はこんなフェンス無かったんですよ、でもそうすると外国人観光客がそれを理解出来なくて信号の無いところを渡るのでフェンスを設置して各国語の案内板も付けたと。 外国の人が理解出来ないのでも分かる通り日本だけじゃないですかね、車を通す為に人に地下を通れと強制する国は。 本来は逆ではないかと思うのですけどね、車の方が地下を通るべきですよ!」
「駿河さん、気持ちは分かりますけど熱くなり過ぎですよ。」
「地下道はこんな感じなんですね、ちょっと薄暗くて気持ち悪いかな。」
「ええ、無理に地下を通らせるのだから中を明るくして壁一杯に歴史を感じさせる壁画でも描けばいいのに。」
「まあまあ、駿河さんも熱くならないでね。」
「着きました、ここから船に乗りますよ。 あ、ちょっと待っていて下さい。」
「お待たせしました、残念だけど聞いたら紅葉はまだらしいです。」
「駿河さん、今親しそうに話していたおばちゃん、知り合いの人ですか?」
「母ですよ。」
「え...!? あの人が駿河さんのお母さんなんですか! ちょっと待って、近くで見て来ますから。」
「双子の兄弟じゃ無いんですから瓜二つなほど似てはいませんよ、いくら親子でも。」
「......きれいな人...ですよね。」
「そんな、無理してお世辞を言わなくてもいいですよ、もう歳で孫が2人も居るんですし。」
「いよいよ乗船、2回目だけどワクワクしますね。」
「船の旅はいいですよ、坂本龍馬にでもなった気分になれますし。 ここは5分程度の短い船旅だから船酔いも無くて快適ですよ。」
「今日はちょっと風が強いですね。」
「すみませんけど見せたいものがあるので展望甲板に上がってもらえますか。」
「あれ? 駿河さん、宮島の鳥居は反対側ですよ、みんなあっちに集まってますし。」
「こっち側は山を切り崩したところだらけの見苦しい景観ばっかり、でもあれが私の故郷ですから。」
「...そうですね、みんな故郷にそれぞれの気持ちがありますよ。」
「辛気臭くなってすみません、さあ! 宮島に着きますよ。」
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...異常です。 今回は最後なので三部構成にしました。
面白き 事も無き世を 面白く
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熱き戦い仕立て上げ
闇の世界の仕立人
今宵も広島を駆ける...
「それで、新しい商工会議所ビルの建設費に市から補助金を出す話、何とかなるんだろうな?」
「民間企業を税金で補助するのには議会の抵抗があるのですぐにとは行きませんが、目障りな市民球場をぶっ壊してしまった後は反対派の市民連中も黙るだろうし、跡地公園整備のドサクサで何とかやりますので。」
「商工会議所と市のお偉いさん同士、”天下り”で繋がっている訳ですか。」
「だ...誰だお前!?」
「中区環境事業所の者ですが。」
「こんな夜中に環境が一体何の用だ?」
「市民からの通報で、”ドブネズミ”の駆除に伺ったのですが。」
「な、何だと!?」
「......峰打ちでござんす。」
「駿河さん、この間はご苦労様。」
「”おまきさん”も度々広島までいらして下さってありがとうございます。」
「宮島、駿河さんと最初に会ったところですよね、まだ何か見るところがあるの?」
「宮島は見どころが色々ありますよ、とりあえず船の方に行きましょう。」
「あれ? 行き止まりになってますよ。」
「ここは国道2号線です。 JR駅から桟橋に向かう歩行者が多くて車の通行に邪魔になるんでしょうね、歩行者はそこから地下に降りるんです。 昔はこんなフェンス無かったんですよ、でもそうすると外国人観光客がそれを理解出来なくて信号の無いところを渡るのでフェンスを設置して各国語の案内板も付けたと。 外国の人が理解出来ないのでも分かる通り日本だけじゃないですかね、車を通す為に人に地下を通れと強制する国は。 本来は逆ではないかと思うのですけどね、車の方が地下を通るべきですよ!」
「駿河さん、気持ちは分かりますけど熱くなり過ぎですよ。」
「地下道はこんな感じなんですね、ちょっと薄暗くて気持ち悪いかな。」
「ええ、無理に地下を通らせるのだから中を明るくして壁一杯に歴史を感じさせる壁画でも描けばいいのに。」
「まあまあ、駿河さんも熱くならないでね。」
「着きました、ここから船に乗りますよ。 あ、ちょっと待っていて下さい。」
「お待たせしました、残念だけど聞いたら紅葉はまだらしいです。」
「駿河さん、今親しそうに話していたおばちゃん、知り合いの人ですか?」
「母ですよ。」
「え...!? あの人が駿河さんのお母さんなんですか! ちょっと待って、近くで見て来ますから。」
「双子の兄弟じゃ無いんですから瓜二つなほど似てはいませんよ、いくら親子でも。」
「......きれいな人...ですよね。」
「そんな、無理してお世辞を言わなくてもいいですよ、もう歳で孫が2人も居るんですし。」
「いよいよ乗船、2回目だけどワクワクしますね。」
「船の旅はいいですよ、坂本龍馬にでもなった気分になれますし。 ここは5分程度の短い船旅だから船酔いも無くて快適ですよ。」
「今日はちょっと風が強いですね。」
「すみませんけど見せたいものがあるので展望甲板に上がってもらえますか。」
「あれ? 駿河さん、宮島の鳥居は反対側ですよ、みんなあっちに集まってますし。」
「こっち側は山を切り崩したところだらけの見苦しい景観ばっかり、でもあれが私の故郷ですから。」
「...そうですね、みんな故郷にそれぞれの気持ちがありますよ。」
「辛気臭くなってすみません、さあ! 宮島に着きますよ。」
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...異常です。 今回は最後なので三部構成にしました。