かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 186,187 中国③

2023-02-17 09:57:24 | 短歌の鑑賞
  2023年度版 馬場あき子の旅の歌24(2009年12月実施)
    【向日葵の種子】『雪木』(1987年刊)124頁~
     参加者:K・I、N・I、Y・I、T・S、藤本満須子、
        T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・S 司会とまとめ:鹿取 未放


186 西安の路上に淡く味はひし人民の食(じき)楡の香のせり

       (レポート)
 作者は香にひどく惹かれるようだ。人民の食、楡の香。そうだここは西安の路上だと改めて実感する。(T・S)


      (当日意見)
★これは向日葵の種子の歌(向日葵の種子の香の息かすかなる西安の鸚
 鵡肩に置かまし)続きなのか?それとも屋台のようなところで何か簡
 単なものを食べたのだろうか?楡の香って、ちょっと分かりにくい。
    (藤本)


      (まとめ)
 路上の屋台で何か食べているのではなかろうか。その頭上には楡の若葉が茂っていたのだろうか?または、味わった素朴な食の味を感覚的に楡の香と受け取ったのかもしれない。(鹿取)


187 街衢曲れば窓しみじみと歪みたる西安民屋に夜は満ちてゐつ

      (まとめ)
 先月鑑賞した「紺」にも「暗き灯の一つを点し民屋は土間に据ゑたり一つのかまど」があった。ここも同じ場面だろうか。それとももう少し夜が更けた場面だろうか。少し細い路地へ曲がったところ歪んだ窓を持つ民衆の家があった。窓が歪んでいるくらいだから貧しい家である。一軒とも数軒とも書かれていないが、その一角には窓が歪んだ家々が連なっていたのかもしれない。「暗き灯の」の歌のようにぼんやりと暗い灯りが漏れていたのかもしれない。歪むの形容が「しみじみと」であるところで歌になった。上から目線ではない作者の嘆息がきこえるようだ。    (鹿取)


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