かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 188 中国③

2023-02-18 10:51:23 | 短歌の鑑賞
  2023年度版 馬場あき子の旅の歌24(2009年12月実施)
    【向日葵の種子】『雪木』(1987年刊)124頁~
     参加者:K・I、N・I、Y・I、T・S、藤本満須子、
         T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・S 司会とまとめ:鹿取 未放


188 楊花散りて蘇州春逝く季に来つ濁れる運河一日下りて

       (レポート)
 かわやなぎの花。とくに白楊の種から白い綿毛がとぶ。「楊花茫々として人を愁殺す」(李白) (T・S)


     (まとめ)
 「君がみ胸に抱かれて聞くは 夢の船唄鳥の唄 水の蘇州の花散る春を 惜しむか柳がすすり泣く」とある「蘇州夜曲」の歌詞に似た場面で、陶酔的な歌である。写真で見ると楊の花は白くてふわふわした感じだが、その花の散る景色を濁った運河を行く船に乗って眺めているのである。芭蕉の「行く春を近江の人と惜しみけり」ではないが、蘇州の運河に楊の花の散る情景はいかにも春を惜しむ旅情をそそられそうだ。「あの春の蘇州は夢のように美しかった」と語った馬場の感慨が伝わってくる。(鹿取)

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