東京日和 素敵な暮らし for all women インテリアのレシピ

インテリアをとおして・・仕事、プライベート、子育て。色々なシーンでその場所をより楽しく過ごすエッセンスや情報を綴ります。

花散らしの雨

2014-10-22 | ストーリー
その日、桜は満開だった。

中野駅から、北に続く大通り。桜の季節ともなると

その立派な桜並木の桜は一斉に花を咲かせ、たいそう美しい。

夜ともなると、その大通りの街灯のライトが

まるでライティングでもしたかのように

夜の闇に桜を浮かび上がらせて、それはそれで美しい。

夜風が爽やかな春の夜だった。

私は友達と別れ、帰路に着くためにバスを待っていた。

微かな風は桜の花びらを散らしていた。

桜吹雪。。。「綺麗・・・」

私は1本の桜の下でその木を見上げて、目をみはった。

「わぁ~。」桜ってこんなにも綺麗だったんだ。

誰もいない夜の桜の木の下で、ぽっかりと桜を見上げている自分って?

誰かとこの瞬間を見れたら良かったのに。


「じゃあさ。ノートルダム寺院の前で待ち合わせね。」

「ノートルダム寺院?パリのってこと?」

「そう。パリのノートルダム寺院。3年後に!!」

「3年後?それで、なんでノートルダム寺院なんだよ。」

「だってわかりやすいでしょ。みんな知ってるし。迷子になりようないもの。」

「3年後?」

「そう。だって、そのくらい時間、必要でしょ。前で持ち合わせして、

そのあと、教会のイエス様にお祈りするの。」

「なんて?」

「あなたの幸大からんことを。って。」

「なんだよ。それ?」

「いいの。どうでも。とにかく、お祈りするから。」

「へんな奴。」


その後、この話はそこで終わった。3年後のいつは決めてない。

桜の木の下で、「そのうち決めようね。」と、あなたに呟いた。

何度も、もうだめかも・・と思った。だめ、頑張れない・・と。

その都度、「そんなことないよ。大丈夫だよ。だからここにいろよ。」と。

あなたは言った。

苦しかったかもしれない。そのうち感覚が麻痺した。

ちょっと顔をしかめて、せつなそうにする眼差しに、

私はぽろぽろと泣いた。うん、多分、大丈夫。乗り越えるから。


ねえ。私、あなたの役に立ったかな?だと、いいけど。。

多分、ふたりが渡っていた、夜になると光るあの綺麗な橋。

どこに続いていたのかな?夜空に浮かぶ橋みたいだったね。

下から見上げているあなたを見た時、びっくりしたの。

気付きていたと思ってなかったんじゃないかな?

わかってたよ。私はすぐにあなたを見つけるから。

でも、今はもう探さないの。

だって、あなたもう前に進んだから。いないのわかっているから。


大丈夫。あの橋がまぼろしみたいなものだったとしても

ちゃんと、心は受け取っているから。

優しい思いや心配してくれてることは私の力になってるから。


今日は、花散らしの雨が降っていた。

今日の桜が散ってしまったとしても、桜はまた来年も咲く。

花の下で笑顔であなたを見送れたらいいなあと思った。

ううん。今も笑顔でほほえんでるよ。

そして、あなたに負けないくらいに前に進む!!そう決めたよ。


今思うに、そんなふうに時間は流れていくものだと。

人が人の力になると。

大切なあなたに。ありがとう。。。






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