東京日和 素敵な暮らし for all women インテリアのレシピ

インテリアをとおして・・仕事、プライベート、子育て。色々なシーンでその場所をより楽しく過ごすエッセンスや情報を綴ります。

綺麗な情景

2015-06-07 | ストーリー
広尾の地下鉄の駅の階段を上がりきった出口のところにある

横断歩道の前で会社の人と待ち合わせをしていた。

夏も終わりを告げて、秋も深まり少し肌寒くなっていた。

秋に入って初めてトレンチコートを着た。

無事、会社の人とは会えた。彼も時間どおりにやってくる。

横断歩道を渡ろうと、赤信号を待っていると、

反対側の歩道に友だちと三人でいる彼の姿が見えた。

信号が青になり、一斉に人々が渡り始める。

私は咄嗟に、同僚の影に隠れた。

何故か会社の人といるところを彼に見られたくなかったし

連日の打ち合わせで疲れた顔も朝から見られたくなかった。

気づかないで。。。そう願ったが、後で「少し疲れた顔だったね。」と。

気づいてたんだ。意地悪な。。しかもなんでそんな時間に。

彼はたまにそんな悪戯?なことを仕掛けてくる。


朝の打ち合わせは無事に完了して、先ほどの横断歩道まで戻って来た。

会社の同僚が、駅の入口の脇のコンビニのイートインで

「コーヒーでも飲んで一服する?」と聞いてくる。

「いいですね。私、朝ごはん食べそこなちゃってるので。」

席は1つしか空いていなかった。心優しい同僚が席を譲ってくれる。

「ありがとうございます。」私がパンを1口、口に運ぼうとした時に

彼と目が合った。??「鈴木さん。もしかすると朝ごはんまだですか?

半分食べます?」彼は少しにこっとして受け取る。まるで、部活仲間みたい。

私の隣に座って、それを見ていた黒人の男性が

「良かったら、席どうぞ・・私はもういいので。」「どうも・・ありがとうございます。」

何だか優しい朝になった。


その日の夕方、また広尾でお客様と打ち合わせだった。

帰りに、打ち合わせに参加した取引先の人に車で家まで送ってもらうことになった。

広尾を抜けて、青山通りに出ると、綺麗なショーウインドやビルが立ち並び

夜の街はキラキラと輝いていた。本当に綺麗で美しい街だ。

しばらくその界隈で仕事をしていたこともあるが、青山の街は車で抜けた方が

より美しく感じた。

車の速度感が、まるで走馬灯のように、万華鏡のように街をキラキラさせた。

車は外苑沿いに進んで行った。外苑の緑を抜けて郊外へと。


私はあなたがいた郊外も好きだよ。秋になると虫の音が聞こえていたよね。

いろいろな情景が思い浮かぶ。暑い夏の日だったり、緑豊かな公園だったり。

その情景はね、どんどん変化していくんだと思う。

1枚、1枚、写真が増えて、1コマ1コマの画像が彩を変えていくように。

次は湘南の海かもしれないし、ひょっとしたらスペインの海岸やパリの凱旋門や

ロンドンのトラファルガー広場かもしれない。

思いはどんな場所にだって飛んでいけるの。

そんな想像してみると、ちょっとは楽しいでしょ。

時は流れて変化するものだけれども、明日は自分が作るから。

行こうと思いさえすれば行ける。そう思うから。

アルバムに写真が増えるのように、情景は心に増やしていける。

変化を恐れてはいない。

明日も輝くと思うから。






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