佐藤弘子・第一句集 『磁場』

2020-08-11 14:42:43 | インナーポエット

 

 

 

 

 

 

(新刊句集をご恵送賜りました)感謝🎶

 

 

 

 

病ひとつ古き日傘を盾として

 

すかんぽのどこを噛んでも母をらぬ

 

溢れ蚊を打つて感情線汚す

 

化粧水今年の頸をよく伸ばす

 

雪踏んでゆく八月の地獄谷

 

豚面皮(チラガー)の瞑目の吊されて朱夏

 

沖縄を思へゴーヤのこのぶつぶつ

 

からす瓜の花ほどいてもいいですか

 

啓蟄やまんぢゆう一人分足らぬ

 

雀の鉄砲揺れる父さん居ないから

 

狐火のやうに暮らしてをりました

 

この旅は家出のつもり帰り花

 

目まとひや前頭葉が磁場らしく

 

青柿やほろほろ崩えてゆく家族

 

牛の眸の無垢の六百青葉騒

 

靴箱の靴の歳月雲雀の巣

 

凌霄花母の鏡に燃え移る

 

枯蟷螂放置自転車のやうに

 

黙りこくるな青柿も福島も

 

愛想笑ひして人間でゐる暑さ

 

 

 

 

💬佐藤弘子さんは今は小熊座の先輩ですが、その俳句は加藤楸邨入門以降36年という、畏れ多い先達であります🙇「つくづくと蟻を見てをり楸邨忌」という、師慕の俳句も🐜

 

 

 

 

 

 

 


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