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ツリオヤジのダイアリシスな日々 ~ 知れぬ事は知れぬまゝに、たやすく知れるのは浅い事 (葉隠 聞書第一0202)

文学と音楽 (1) ~ トルストイとイエス

2022-09-27 04:56:33 | 日々の雑感

戦争と平和」を読みながら、関連する作品などを調べていたところ、イエスの「錯乱の扉」がこの小説をモデルにしている、という記述がありました。そら知らなかった。

リレイヤーのライナーノーツを読んでみると書いてありました。

「"The Gate Of Delirium"は、トルストイの戦争と平和をおおまかに(loosely)ベースにしている」と書いてあります。

曲の途中にはいっているバトルシーケンスは、アラン・ホワイトとパトリック・モラーツのコラボだそうです。

というわけで、戦争を平和を読み終えて、あらためて錯乱の扉を聴いてみると、小説のイメージが明確に浮かんできます。

イントロの華やかな部分は出陣前でしょうか。アレクサンドル1世への閲兵式が浮かびます。その後の軽やかなメロディーで始まるボーカル、Stand and Fight we do consider.. からは、ヨーロッパを侵略するナポレオンに対して立ち向かう兵士の高いモチベーションが感じられます。As leaders look you attacking... には、一兵卒まで落とされたドーロホフが戦場で武勲を上げて将校へと位を上げていく様子が浮かびます。

7'00"あたりからのインストパートからOn to Hell...のボーカルは、バクラチオン将軍が最初にロシア軍とフランス軍の交戦した際、自ら前線に立ち自軍を鼓舞するシーンを想起させます。

そして8'00"あたりからが、ライナーノーツでも触れられている、Wild Battle Sequence です。これは、物語の中で一番の激戦、ボロジノ会戦でしょうか。砲弾が降り注ぐ戦場、軽騎兵、重騎兵、槍兵、さらには砲兵まで巻き込んだ戦場の混乱、まさに Delirium そのものが出現した音を感じます。

10'30"以降にスリリングなインストパートが続き、12'40"あたりからの展開は、モスクワを明け渡した混乱を感じます。あるいは、撤退するフランス軍とのパルチザン戦かもしれません、ひとつの山場を越えて、収束に向かう雰囲気です。

そして16'からのバラード、Soon。これは負傷したアンドレイ公爵が見上げた空が浮かびます。

というのはわたしの勝手な解釈^^;で、時系列もばらばらですが、ライナーノーツに書いてあるよう、looselyにベースにしているので、この曲を聴く人、さらに戦争と平和を読んだ人、それぞれ複数の解釈があって然るべきでしょう。

ここで言いたいことは、そのベースとしている文学を読むことによって、音楽を聴いたときのイマジネーションが何倍にも膨らむ、ということです。文学と音楽の相性はすこぶる良いのでしょう。

と、書いていて、他にもいくつか思い当たる関係が浮かぶので、この話題は続きます。

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