居心地

相棒のワンコとの暮らしの風景
他愛ない日常のあれやこれ

読書覚え書き  千日紅の恋人 他

2008年04月05日 | 
【千日紅の恋人】

著者 帚木蓬生
新潮社

バツ二の時子は父が残した小さなアパート扇荘を
母に代わって管理している。
ケアハウスで介護のパートの傍ら
悠々自適に暮らす母の付き添いでカラオケ教室にも足を運ぶ
 
ひと癖ある住人が住む扇荘にある日一人の男性 有馬が越してくる
格安アパートの住人らしからぬ青年は
アパートの片隅に花壇を作り始め
時子もいつしか有馬が気になり始めている...

帚木蓬生と言えば「アフリカの蹄」や「ヒトラーの防具」「閉鎖病棟」など
社会派が得意な作家だと認識していた。

が今回は生きるのに不器用だが実直な二人を
ケアハウスや扇荘の仲間達との日常を通して
実に柔らかく描いている
文中何度もカラオケで歌われる「サイゴン・スコール」が
最後にはまるで実在する曲の様にメロディに乗ってくる


こんな帚木蓬生もあるのだとちょっと意外な一冊





【銀座開化 おもかげ草子】

著者 松井今朝子
新潮文庫


訳あって身を隠すように暮らしていた元士族の宗八郎
兄の手引で銀座に住まうようになったのは
御一新直後の明治初年

急速に西洋を真似る銀座に戸惑いつつも
煉瓦街での住人と親交を持って行く

四民平等とは名ばかりの様々な騒動に巻き込まれながら
自分としての筋を通して生きて行く宗八郎

これに先立つ「幕末あどれさん」と
この後の「果ての花火 銀座開化おもかげ草子」も是非読みたい。





【赤と黒】

著者 スタンダール
光文社
野崎歓 訳

ナポレオンを表立っては語れなくなった
1830年前後のフランス
片田舎で育った貧しいが賢い青年ジュリアン
ラテン語を操れる事を見込まれて
地方成金レナール家の家庭教師に抜擢されるが
その家には外界から遮断された様に暮らす
美しい夫人がいた...

若く野心家で異常にプライドの高いジュリアン
しかし根底では常に身分の低さを憂いている
野心家ではあるが傲慢になりきれず
そのプライドは傷付きやすい

顔は正面を見据えているつもりでも
人の評価が気に掛かり邪心が蠢く
気高い振る舞いに憧れを持つと同時に劣等感も抱いている

今の若者にも共通する点が多々あるのかも...
と、この年ならではの読後感

言わずと知れた世界の名作
何故今になって「赤と黒」だったのか?
実は宝塚で上演されるので姫1と一緒に読む事に
同じ本を娘と語れる事はまた嬉しい






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2 コメント

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Unknown (てん)
2008-04-06 22:33:18
6(* ̄_ ̄*)ムーン・‥…
赤と黒 しか読んだことがないです

同じ本でも 読む年齢 時期 が違うと
感じることも違いますよね?
もう1回 読んでみようかな・・・
返信する
Unknown (dekochin)
2008-04-07 18:10:31
確かに年齢によって感じる事は違って来ますね。
映画やドラマも同じですよね。
ただ、古典は新訳とは言え表現がまどろっこしい
正直、だから?と突っ込みを入れたくなる箇所が
多々ありました...
返信する

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