地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

防災省創設の必要性

2007-01-06 | 地震リスク
災害から国民を守る国の機関を調べてみた。

中央防災会議は内閣総理大臣を会長、防災担当大臣、閣僚、指定公共機関の長、学識経験者からなる会議で、「防災基本計画」、「地域防災計画」の作成及びその実施の推進、非常災害の際の緊急措置に関する計画の作成及びその実施の推進、内閣総理大臣・防災担当大臣の諮問に応じての防災に関する重要事項の審議(防災の基本方針、防災に関する施策の総合調整、災害緊急事態の布告等)、防災に関する重要事項に関し内閣総理大臣及び防災担当大臣への意見の具申についての役割を担っている。

内閣府防災担当には政策統括官を置き、防災総括担当、災害予防担当、災害応急対策担当、災害復旧・復興担当、地震・火山対策担当の参事官を置き活動している。

しかし、地震・防災担当の部署をもつ他省庁は意外に多い。

文部科学省には地震調査研究推進本部があり地震防災対策の強化、特に地震による被害の軽減に資する地震調査研究の推進の役割を担い、研究開発局が地震観測網を全国に展開する他、強い揺れに見舞われる可能性が相対的に高い地域の地震を対象とした重点的調査観測等を実施している。地震動予測地図は文部科学省地震調査研究推進本部で作成されていることになる。

総務省には消防庁防災課があり、地震・風水害等の災害対策の企画立案や災害対応、各地域の防災計画のサポートをはじめ、国民保護計画の作成、訓練の企画立案等、国民保護に関する事を行っている。災害現場活動をはじめ災害情報をタイムリーに公表しているのが消防庁である。

国土交通省は地震、水害等の災害から国民を守る使命を主要目標に掲げ総合政策局をはじめ住宅局、河川局で地震対策を展開している。また、気象庁は国土交通省の管轄だ。気象庁から発表される地震・火山情報は国民にとって一番馴染み深い。

財務省をみると大臣官房政策金融課が地震保険の国の再保険機能を担っている。地震保険は官と民間損害保険会社が一体となってできた制度で、国民の財産喪失による補填の役割をもつ。また地震保険商品自体の審査、民間保険会社の監督は金融庁が担っている。さらに財務省政策金融課には日本政策投資銀行、国民生活金融公庫を管轄しており各政策金融機関では災害時の貸付、防災格付融資等を展開している。

厚生労働省では医療、ライフラインである水道について担当し、最近では大規模災害時の水道復旧シミュレーションの研究を行った。経済産業省ではライフラインの電気・ガス事業者を管轄し、原子力災害について担当している。昨年は中小企業のリスクファイナンス研究会の報告書を公表した。

他にも地震防災に関係する省庁があり、先の内閣府防災担当とのつながり、防災担当の役割がなかなかみえてこない。

これまで首都直下地震、東南海地震等の国の被害想定について担当したことになるが、関係省庁との政策連携が薄いようだ。国の被害想定と文部科学省地震調査推進本部の地震動予測地図との連携もなく、内閣府が公表している資料での耐震化率と国土交通省、総務省の住宅・土地統計が発表している数字との関係も不明であり、内閣府が作成している資料の被災者に関する支援制度には財務省の地震再保険もなく、BCP推進を謳いながら中小企業の災害時のリスクファイナンスについては経済産業省が推進しており、内閣府防災担当が集中して計画・管理する組織にはなっていないようだ。すなわち縦割り行政が防災でも表れている。ひとつの例が新潟中越地震時の被害状況がホームページに掲載されたのは消防庁より遅かったことを記憶している。数字の整合性も十分とは言えない。内閣府防災担当の行政改革が必要だ。

官邸にも危機管理監があり、有事には危機管理センターが始動している。この際、防災省を新たに設置し一元管理する組織が必要ではないだろうか。






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