2003年3月に中央防災会議が公表した東海地震の想定被害額は最悪のケースで37兆円に上る。個人住宅の被害、企業施設被害、ライフライン被害等の直接被害が26兆円、生産停止による被害、東西間幹線交通被害等の間接被害が11兆円と予測している。ちなみに人的被害は死者9,200人と阪神淡路大震災を上回る。
個人住宅被害は最悪のケースで全壊棟数が26万棟と予測しており、そのうち22万棟は静岡県の全壊棟数である。2003年の総務省土地住宅統計によると静岡県の住宅は127万棟あり全壊率は17%となる。個人住宅の被害は半壊、一部損壊の棟数は予測していないため、全体の被害棟数はさらに大きなものとなることが推測できる。建築年代別では現在の耐震基準に満たないいわゆる耐震性が低いとされる1981年以前の住宅は50万棟あることからこれらの住宅に被害が及ぶことは確実だ。簡易的な試算をしてみた。50万棟から全壊棟数を差し引いた残りの28万棟に半壊、一部損壊が生じると仮定すると全体の被害額を推測できる。現在の平均建築価格は約20百万円といわれることから少なくとも約7兆円の被害額が計算できた。現在の耐震基準を満たした住宅でも地盤、地震エネルギーによっては倒壊する可能性もあり、また火災延焼は防ぐことができないことから住宅被害額はさらに大きなものとなることだろう。
間接被害である生産停止被害は3兆円と見積もられているが、直接被害の企業施設被害は詳細なデータが公表されておらず推測できない。各企業はBCPをすすめる上で、自社の被害予測を積極的に公開し被害軽減に向けた地震対策を推進すべきである。各企業は人的・物的被害の直接被害、生産停止等の地震発生後の間接被害を推測することにより、重点的でコストを考えた防災対策がとれるはずだ。前回述べたリスクファイナンスの動きはまだまだ中小企業までには浸透していない。
東海地震により確実に静岡県、愛知県等には被害が発生する。その被害を軽減する努力は個人、企業、政府、自治体が一体となって取り組む必要がある。政府、自治体は企業、個人に対し防災投資を行う環境をもっと政策面で支援することが重要である。未だに個人、企業が事前の防災投資をせず事後的な支援に期待しているとしたら、さらなる防災減税等を政策面で早く導入すべきである。(続く)
個人住宅被害は最悪のケースで全壊棟数が26万棟と予測しており、そのうち22万棟は静岡県の全壊棟数である。2003年の総務省土地住宅統計によると静岡県の住宅は127万棟あり全壊率は17%となる。個人住宅の被害は半壊、一部損壊の棟数は予測していないため、全体の被害棟数はさらに大きなものとなることが推測できる。建築年代別では現在の耐震基準に満たないいわゆる耐震性が低いとされる1981年以前の住宅は50万棟あることからこれらの住宅に被害が及ぶことは確実だ。簡易的な試算をしてみた。50万棟から全壊棟数を差し引いた残りの28万棟に半壊、一部損壊が生じると仮定すると全体の被害額を推測できる。現在の平均建築価格は約20百万円といわれることから少なくとも約7兆円の被害額が計算できた。現在の耐震基準を満たした住宅でも地盤、地震エネルギーによっては倒壊する可能性もあり、また火災延焼は防ぐことができないことから住宅被害額はさらに大きなものとなることだろう。
間接被害である生産停止被害は3兆円と見積もられているが、直接被害の企業施設被害は詳細なデータが公表されておらず推測できない。各企業はBCPをすすめる上で、自社の被害予測を積極的に公開し被害軽減に向けた地震対策を推進すべきである。各企業は人的・物的被害の直接被害、生産停止等の地震発生後の間接被害を推測することにより、重点的でコストを考えた防災対策がとれるはずだ。前回述べたリスクファイナンスの動きはまだまだ中小企業までには浸透していない。
東海地震により確実に静岡県、愛知県等には被害が発生する。その被害を軽減する努力は個人、企業、政府、自治体が一体となって取り組む必要がある。政府、自治体は企業、個人に対し防災投資を行う環境をもっと政策面で支援することが重要である。未だに個人、企業が事前の防災投資をせず事後的な支援に期待しているとしたら、さらなる防災減税等を政策面で早く導入すべきである。(続く)