地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

東海地震に備えて(第二回)

2007-01-24 | 地震リスク
日銀が公表している最近の静岡県金融経済の動向(2007年1月10日)によると、静岡県内の景気は、着実に回復を続けており、公共投資は減少している一方、輸出が大幅に増加を続けている。また、企業収益が高水準で推移するなか、設備投資は引き続き増加している。雇用・所得環境も改善を続けており、そのもとで、個人消費が緩やかに回復しているほか、住宅投資も増加している。以上のような需要動向のもと、企業の生産は全体として増加基調にあるとの内容だ。このような状況で東海地震が発生したらどのような影響が予想されるのだろうか。

静岡県内の主要業種は自動車・同部品、二輪車・同部品、電気機器、一般機械、紙・パ、楽器等であるが、各代表企業の地震リスクの考え方、地震対策はどのようなものかを有価証券報告書を中心に調べてみた。

静岡県内に生産拠点が数多くある鈴木自動車は地震リスクについて次のように分析している。「当社グループの日本での主要生産拠点は東海地区を中心に点在し、生産活動を行っている。また、当社の本社をはじめとするその他の施設も主に東海地区に集中している。万一、東海地震や東南海地震などの発生があると業績に多大な影響を及ぼす可能性がある。このような災害による被害の影響を最小限に抑えるべく、建物・設備等の耐震対策、防火対策、業務復旧計画の策定、地震保険への加入等、様々な予防策を講じている。」

ヤマハ発動機は「当社グループの日本国内における主力生産事業所は、予想される東海地震の地震防災対策強化地域内に集中しているため、主要建築物の耐震補強工事、被災後の早期復旧を可能とするための体制整備等の対策を進めてきております。被害最小化及び早期復旧の観点からこれらの対策については継続的に見直しておりますが、当社グループの想定を超える規模の地震が発生する可能性があります。また、当社グループが保有する建築物、在庫等に対する損害をカバーする地震保険に加入しておりますが、地震による損害はこれらの保険の担保限度額を超える可能性があります。」と分析している。

はごろもフーズは東証二部に上場しているが、同社の有価証券報告書には「当社グループの本社・工場、また多くの製造委託先の工場が立地する静岡県・愛知県には東海・東南海地震の発生が予想されています。地震発生にともない交通・通信等の社会基盤の被災も予想され、企業活動の遂行に支障が生じる懸念があります。」と記載されている。

以上のように有価証券報告書には概要が記載されているのみで、詳細までは開示されていないが、静岡県に所在する企業はいずれも地震リスクとして東海地震を念頭に対策を講じている。(続く)