地震リスク delphis manta blue

身近な地震リスク 減災を目指して

<復興を願い 2011.3.11東日本大震災>
<未曾有の巨大災害 記録>

東海地震に備え(第一回)

2007-01-21 | 地震リスク
先週、「元静岡銀行行員が銀行金庫から大規模災害用備蓄現金2,000万円を盗む」の不祥事ニュースを聞いて、元行員の犯罪は別にして静岡銀行の事前のしっかりした大規模地震対策を垣間見ることができ関心した。同行発表のニュースリリースおよび新聞記事によると同行伊東支店の金庫内のキャビネットから東海地震等の大規模災害時の大量預金払戻に備え用意してあった備蓄金の一部を盗んだとのこと。

同行の地震対策はCSRレポート2006をみると災害時への対応として、①災害時の制度融資、②預金払出の便宜扱、③SEAS(緊急時移動店舗)、④BCPセミナー、地域防災への協力として地域防災組織への防災資機材の貸与・提供をすすめている。

日銀で7月に開かれた高度化セミナーのオペレーショナルリスクシナリオ分析WSで発表された「東海地震を想定したリスク分析と対応」によると同行の東海地震発生により想定される損害は「ポートフォリオへの影響」、「物的損害の発生」、「人的損害の発生」に区分される。「物的損害の発生」、「人的損害の発生」の削減を目的に「実行的なリスク管理」を実施し、年2 回の頻度で全行レベルで30 項目以上に及ぶ防災訓練を実施し、「営業店窓口における現金支払訓練」、「市場部門における資金繰り訓練」の実施、想定震度に応じた耐震補強工事、建替え工事、システム資産に対する対策として「免震・制震施設の導入によるシステムの保護」と「バックアップ体制による業務継続の確保」を行っている。「ポートフォリオへの影響」としてストレステストを実施し「非常時のリスク」をストレステストでシミュレーションし、バッファー資本として確保する金額の目安としている。これは「非常時のリスク」である東海地震のリスクを5 つのリスクカテゴリーに分類し、それぞれのリスクカテゴリー毎にストレステストを実施して合計額をバッファー資本の目安とし計算している。同行の試算では予想損失額は1,000億円程度と同行には大きな影響とはなっていない。同行は引き続き健全な銀行経営を確保することであろう。東海地震に備えBCPをさらに推進していただきたい。

静岡県の企業は東海地震に備え資金準備、工場・設備の耐震化、免震化等の対策が必要だ。昨年、日本政策投資銀行が調査した静岡県の企業調査は必見だ。(続く)