デンマンのブログ

デンマンが徒然につづったブログ

ナールトウェイクから

2023-10-17 02:05:21 | アクセス解析の面白い...

 

ナールトウェイクから

 


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ケイトー。。。 ナールトウェイクというのは初めて聞く名前だけれど、オランダにある地名なのォ~?


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そうです。。。よく解りましたねぇ~。。。

だってぇ~、トップに出てきた写真は典型的なオランダの風景じゃない。。。。

うん。。。確かにそうです。。。

。。。で、タウンハウスの前に立っている女性がナールトウェイクからバンクーバーに住んでいるケイトーに会いにやって来たというわけぇ~?

そうです、と言いたいところなんだけれど、実は、そうじゃないんですよ。。。

だったら、おもわせぶりに可愛い女の子の写真など貼り出さないでよゥ。。。誤解を生むだけじゃない。。。いったい、どういうわけで写真を貼り出したのォ~?

実は、写真の女性は埼玉県熊谷市出身の中本友梨佳(なかもと ゆりか)さんです。。。僕のブログの常連さんですよ。。。ちょっと次のリストを見て下さい。。。

 


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『拡大する』


『アダムとイブはバナナを食べた』


 



これはライブドアの僕の「徒然ブログ」の日本時間で10月13日の午前1時31分から午前3時49分までのアクセス者の記録です。。。赤枠で囲んだ箇所に注目して欲しい。。。



10月13日の午前2時35分に アダムとイブはバナナを食べた を読んだのねぇ~。。。



そうです。。。日本時間はオランダ時間よりも7時間進んでいるので、オランダ時間では10月12日の午後7時35分ですよ。。。中本友梨佳(なかもと ゆりか)さんは、国際司法裁判所があるハーグの近くのナールトウェイクに住んでいるのです。。。

 


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ナールトウェイクは、けっこう大きな町なのねぇ~。。。



日本の町と比べると、それほど大きな町ではありません。。。日本でも、ひところ自治体の合併がブームの時があったけれど、実は、2004年にナールトウェイク (Naaldwijk)は、デ・リール (De Lier)、ス=グラーヴェンザンデ (s-Gravenzande)、モンステル (Monster)、ワーテリンゲン (Wateringen) と合併してウェストラント(Westland)という町になったのですよ。。。それでも、5つの町を合わせても人口は 10万人ほどです。。。

。。。で、友梨佳さんは、この町で何をしているのォ~?

この町で下宿しながら10キロ離れたハーグにあるハーグ応用科学大学に通っているのです。。。。

何を勉強しているのォ~?

人文学部でヨーロッパ史を専攻しているのですよ。。。

 


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友梨佳さんは、旧約聖書でも勉強しているのォ~?



なんで、旧約聖書を勉強していると思うわけぇ~?

だってぇ~、アダムとイブがリンゴを食べたのは旧約聖書の創世期の有名なエピソードじゃない。。。ケイト―は、リンゴじゃなく、バナナを食べたと思っているようだけれど、友梨佳さんも、アダムとイブは何を食べたのか? リンゴなのか? バナナなのか? それともイチジクなのか?…友梨佳さんも、そのことを調べようとしたのではないのォ~?

なるほどォ~。。。友梨佳さんが専攻しているヨーロッパ史は、確かにキリスト教徒は切っても切れない縁があるから、タイトルにつられて読んだんでしょう。。。

。。。で、記事のどこに注目したのォ~?

次の箇所を読んで、友梨佳さんもアダムとイブはリンゴじゃなくてバナナを食べたと納得したのですよ。。。

 




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あのねぇ~、聖書の中に紛らわしい言葉を初めて書いたのは、現在“聖ヒエロニムス”と呼ばれているおっさんなんですよ。。。この人は紀元340年にダルマティアで生まれた。 両親はキリスト教徒だったけれど、彼自身はキリスト教に興味がなかったのですよ。 ローマに留学したのも修辞学と哲学の勉強のためだった。



その人がどうして聖書にかかわるようになったの?

あのねぇ~、ギリシア語を習得し、ガリアやアナトリア半島をめぐって古典の研究に没頭していたのだけれど、373年頃、アンティオキアで重病にかかってしまった。 それで神頼みをする気になって神学の研究に生涯をささげることを決意したのですよ。 それからはシリアの砂漠で隠遁生活を送ってヘブライ語を学んだのです。 そして以前からあったさまざまな聖書のテキストをラテン語に統一しようというプロジェクトに没頭することになったのですよ。 上の本には次のように書いてある。

 


教皇に命じられ、ローマで行われたヒエロニムスのこの翻訳作業が契機となり、聖書はより多くの人に読まれるようになった。
それから600年のあいだに、ほかの言語でも聖書が翻訳されはじめる。
その後、1455年、ヨハネス・グーテンベルクが活版印刷を考案してから、聖書は初めて大量に印刷されるようになった。
グーテンベルク聖書は、千年前に編まれたヒエロニムスのラテン語訳を忠実に写したものである。

英語と同じようにラテン語も、音は似ているが意味が異なる同音異義語の多い言語である。
エデンの「善悪」の果実というヘブライ語を訳すとき、ヒエロニムスは“malum”というラテン語を当てた。
聖書考古学者のシュネイア・レヴィンによれば、それはむしろ「悪意ある」という意味にちかいそうだ。
その一方で、“malum”は「リンゴ」と訳すこともでき、もともとはリンゴを意味するギリシャ語の“melon”から派生した言葉であるという。
グーテンベルク聖書を読んだルネサンス時代の画家たちは、その単語がリンゴを指すと解釈し、エデンの園の絵にリンゴを描き入れるようになったのだ。


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ルーカス・クラナッハ(父)の「アダムとエバ」、1526年。
ここに描かれるべき果実はバナナだったかもしれない。




23-25ページ 『バナナの世界史』
著者: ダン・コッペル 訳者: 黒川由美
2012年6月3日 第1版第2刷発行
発行所: 株式会社 太田出版


 



つまり、「善悪」の果実というヘブライ語を訳すとき、ヒエロニムスは“malum”というラテン語を当てたのね。 それをグーテンベルク聖書を読んだルネサンス時代の画家たちは、その単語がリンゴを指すと解釈し、エデンの園の絵にリンゴを描き入れるようになったのね。



そういうことなのですよ。

。。。で、いったい誰が初めてリンゴを描き入れたのォ~?

フーゴー・ファン・デル・グース (Hugo van der Goes)が次の絵を描いたのが最初だと言われているのですよ。

 


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フーゴー・ファン・デル・グース

(Hugo van der Goes)

(1440年頃 - 1482年)


初期フランドル派の画家。
1467年、彼はヘントの聖ルカ組合に加入した。
のち組合の長老となった。
長老の間、ブルゴーニュ公シャルル勇胆公とマーガレット・オブ・ヨークの結婚を祝う、ゲントの町の装飾を担当し、公爵夫妻から雇われることとなった。
彼の絵のモデルとなった、ブリュッセルにあるジェリコのバラ聖母修道会の尼僧エリザベートとの関係からおそらく精神病を病み(彼女がモデルを務めたフレスコ画『ダヴィデとアビガイル』は現在失われている)、1478年頃彼は自己の憂鬱に打ち勝つには修道院で生きるほかないと、他の修道院に隠遁した。
彼は修道院内で俗人扱いであったとみられる。
ファン・デル・グースは1480年頃自殺を図り、2年後に死んだ。

彼の最も有名な作品は『ポルティナーリの三連祭壇画』(1475年。ウフィッツィ美術館蔵)で、ブルッヘにおけるメディチ家の代理人、銀行家トマッソ・ポルティナーリが依頼した、フィレンツェのサンタ・マリア・ヌオヴァ教会の背障である。




出典: 「フーゴー・ファン・デル・グース」
フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


 



つまり、このフーゴー・ファン・デル・グースのおっさんがリンゴを描きいれたために、アダムとイブがバナナではなくリンゴを食べたということが絵を見る人とオツムに焼き付いてしまったのですよ。 それ以来、画家は誰もが『アダムとイブ』の絵にリンゴを描き入れるようになったのですよ。

 



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ADAM AND EVE by ヤン・ホッサールト
Jan (Mabuse) Gossaert (1478-1532)


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Adam and Eve by ルーカス・クラナッハ
Lucas Cranach the Elder (1472-1533),
the German Renaissance painter.


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ADAM AND EVE by ハンス・バルドゥング
Hans Baldung Grien (1484-1545)


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ADAM AND EVE by ティントレット
Tintoretto (1518-1594)
The Fall of Man, c. 1550
Canvas, 150×220 cm
Galleria dell’Accademia, Venice


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ADAM AND EVE by ヘンドリック・ホルツィウス
Hendrik Goltzius (1558-1617)


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ADAM AND EVE by ピーテル・パウル・ルーベンス
Peter Paul Rubens (1577-1640)


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ADAM AND EVE by ハンス・トマ
Hans Thoma (1839-1924)


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ADAM AND EVE by モーリス・ドニ
Maurice Denis (1870-1943)


 



1532年に亡くなった ヤン・ホッサールト (Jan Mabuse Gossaert) から 1943年に亡くなった モーリス・ドニ (Maurice Denis) まで 400年以上『アダムとイブ』の絵にリンゴを描き加えてきた。 今でもほとんど変わらない。



。。。で、誰がバナナだと言い出したのよ。

次の写真のおっさんですよ。

 


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あらっ。。。 これはスウェーデンの100クローナのお札じゃないのォ~?



あれっ。。。 シルヴィーにはよく判ったねぇ~。。。

だってぇ、私はスウェーデンに妹と旅行した時に、このお札を使ったことがあるもの。。。でも、このおっさんの名前は知らないのよ。 一体このおっさんは誰なのォ~?

シルヴィーも名前を聞けばすぐに分かると思うよ。 博物学者のカール・リンネ (Carl Linne: 1707-1778) ですよ。 “現代分類学の父”と呼ばれて世界的に有名ですよ。

高校の生物学の時間に、名前は聞いたことがあるわ。。。で、このおっさんがリンゴじゃなくてアダムとイブが食べたのはバナナだと言い出したわけ? 

あのねぇ~、反論してバナナだとローマ法王に抗議したかどうか知らないけれど、リンネは敬虔なキリスト教徒だった。 自分の仕事は、神の創造物に関する完璧な目録を作ることだと決意していたのですよ。 しかも、リンネはエデンの存在も、そこにバナナがあったことも信じていた。 本には次のように書いてある。

 


甘く黄色いバナナには、善悪を知る知恵の木にちなんで「知識」を意味するラテン語から“Musa sapentium”という学名を与えた。
また、青いバナナ(料理用として利用されている“プランテーン”のこと)は“Musa paradisiaca”すなわち「楽園のバナナ」と名づけた。

リンネがつけた属名“Musa”は、バナナを示すアラビア語“mauz”から来ている。
アラビア語で書かれたイスラム教の聖典、コーランにも聖なる園にバナナが登場するので、この解釈が納得がいく。
コーランでは、エデンの禁断の木は“talh”と呼ばれ、これは通常、「楽園の木」と訳されるアラビア語である(あるいはもっと直接的に「バナナの木」と訳される場合もある)。
このイスラム教の聖典によると、その木は「長く生い茂った葉の陰で、果実は重なるように実をつけ……季節を選ばず、その実りが途絶えることはないだろう」と記されている。
確かにこの描写は、房になった同心円状のバナナが次々と実っていくさまと符合している。


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24-26ページ 『バナナの世界史』
著者: ダン・コッペル 訳者: 黒川由美
2012年6月3日 第1版第2刷発行
発行所: 株式会社 太田出版


 



なるほどォ~。。。 コーランには聖なる園にバナナが登場するのねぇ~。。。?



そうですよ。 イスラム教もキリスト教も、さかのぼって行くと旧約聖書にたどりつきますからね。。。 それに、もう一度『アダムとイブ』の絵を見て欲しいのですよ。

 


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アダムとイブはイチジクの葉で大切なところを隠しているのですよ。



そうだわね。。。 たいてい上のようにイチジクの葉で隠してあるわよね。 それが、どうだと言うのォ~?

どうして「イチジクの葉」なのか? シルヴィーは不思議に思ったことない?

 


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大切なところを隠すのに、ちょうど手ごろな大きさだったからじゃないのォ~?



でもねぇ~、よく見ると「イチジクの葉」ってぇ、隙間(すきま)が開(あ)いてるのですよう。 チラチラ見えてしまう。

それはケイトーが目を凝(こ)らして見ようとするからよう! うふふふふふ。。。

別に見ようとしなくても「イチジクの葉」に目をやれば隙間(すきま)から見えるのですよ。 リンゴの木からリンゴを食べて、急に恥ずかしくなって大切なところを隠すのであれば、リンゴの木の葉で隠すのが自然でしょう! それなのに「イチジクの葉」で隠している。 不自然だとシルヴィーは思わない?

言われてみればリンゴを食べたのだから、そばにあるリンゴの枝から葉をもぎ取って隠すのが手っ取り早いわけよねぇ~。。。 でも、リンゴの葉っぱじゃあ隠すのに小さすぎるわよう。

じゃあ、どうしてイチジクの木がリンゴの木のそばにあったわけ。。。?

偶然にリンゴの木のそばにイチジクの木があったわけよ。

あのねぇ~、実は、古代の世界ではバナナは“イチジク”と呼ばれていたのですよ。

マジで。。。?

上の本にそう書いてある。 その証拠にあの有名なアレクサンダー大王がインドで初めてバナナを見た時に「イチジク」と書いて先生のアリストテレスに書き送っている。

 


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それに、新世界に渡った探険家のスペイン人たちもをバナナを見て「イチジク」と記録した。



でも、古代に“イチジク”がバナナを意味したなんて信じられないわ。

あのねぇ~、決定的な証拠が古代ヘブライ語にある。 古代ヘブライ語ではバナナは“イチジク”と呼ばれていた。 そして禁断の果実ははっきりと次のように書かれている---「イブのイチジク」と。。。 つまり、イブはバナナを食べてアダムにもバナナを食べさせたのですよ。 そうであるならば、「イチジクの葉」とはバナナの葉なんだから、これは大切なところを隠すのには充分すぎるほど大きいのですよう。

 


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『アダムとイブはバナナを食べた』より
(2022年8月26日)





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【ジューンの独り言】


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ですってぇ~。。。

あなたも、上の記事を読んで、アダムとイブはリンゴじゃなくてバナナを食べたと納得しましたかァ~?

ええっ。。。 「そんなことはどうでもいいから、もっと楽しいことを話せ!」

あなたは、そのように強い口調で私にご命令なさるのですかァ~?

分かりましたわ。

シルヴィーさんが出てくる面白い記事は たくさんあります。。。

次の記事の中から面白そうなものを選んで読んでください。

 


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『サイバー戦争』

『エロくて、ごめんね』

『モバイル社会とガラケー』

『元老のアメリカ』

『ケネディ家の呪い』

『欧米を敵に回す』

『ソフィアからこんにちわ』

『ドイツが原爆をロンドンに』

『いまだに謎』

『さらば大前研一』


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『空飛ぶスパイ』

『愛情はふる星@ベトナム』

『ヒラリーと塩野七生』

『ケネディ夫人@インドネシア』

『究極の大前研一批判本』

『フェルメールの謎』

『女に文句を言う女』

『あなたの祖国』

『宮沢りえ@韓国』

『正しい戦争』

『ゴールデンシャワー』

『死刑廃止』


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『かまびすしい』

『今、新たな戦前』

『クレオパトラ@アラビア』

『政府は嘘をつく』

『犬と人間と戦争』

『未来予測』

『知られざる悲劇』

『量子活動家』

『アンネの運命』

『10次元の世界』

『ポーランドの犬』


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『熟女ヌード@デンマン』

『ロッキード事件の真相』

『政府と役人と嘘』

『ジュンガル』

『地球温暖化は避けられない』

『国際平和連合』

『鬼島』


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『悪徳サイト』

『あげつらう』

『過ちを犯す』

『三島由紀夫の謎』

『ヒラリートランプ現象』

『ノーパン@CIA』

『未開人と文明人』


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『オセロの失敗』

『サン・ラザールの裏路』

『「夜と霧」を観た?』

『虫酸が走る』

『大空に乾杯』

『ターバンを巻いた少女』

『美しい日本語を探して』

『アダムとイブのバナナ』

『宮沢りえ@サンタフェ』


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『ネットの主要言語』

『中国人がアメリカを発見した』

『2000年前の光通信』

『習近平皇帝』

『プーチンの復讐』

『ペンタゴン・ペーパー』

『習近平皇帝の危機』

『モナリザエロ』

『ノース人アメリカ発見』



とにかく、今日も一日楽しく愉快に

ネットサーフィンしましょう。

じゃあね。 バーィ。


(hand.gif)



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ィ~ハァ~♪~!

メチャ面白い、

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Jagel - Soft Japanese Bagel
(bagel702.jpg)

■ "JAGEL - Soft Japanese Bagel"


(linger65.gif)

『センスあるランジェリー』

■ 『ちょっと変わった 新しい古代日本史』

■ 『面白くて楽しいレンゲ物語』


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■ 『軽井沢タリアセン夫人 - 小百合物語』

■ 『今すぐに役立つホットな情報』



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他人の不幸は…

2023-10-17 01:16:22 | 日本人・日本文化・文学論・日本語
他人の不幸は…

 


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『鑓の権三重帷子』

(やりのごんざかさねかたびら)



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あらすじ

鳥取藩士の笹野権三は、若殿の祝言で茶を点(た)てることを命じられた。
権三は「鑓の権三」と異名をとる遣い手だったが、太平の世に剣術では出世できない。
そこで、茶道役での出世を狙う。

しかし、この手前は格式の高い「真(しん)の台子(だいす)」で行わなければならない。 ... これは茶道指南役・浅香市之進から伝授を受けたものしか扱えず、権三はまだ伝授を受けていなかった。
しかも市之進は現在、江戸詰めで鳥取にはいない。
そこで権三は、市之進の妻おさゐから、真の台子の伝授を受けようと考えた。

権三が目指す祝言の茶道役を彼の同僚・川側伴之丞も狙っていた。
権三は伴之丞の妹・お雪と縁談を進め、本来なら伴之丞と親しく付き合えるはずだったが、権三は、嫌味な性格の伴之丞が好きになれず、伴之丞も権三をライバル視し、やはり真の台子の伝授を受けようと、おさゐに近づいた。
伝授を望む権三の来訪を、おさゐは喜んだ。 美男の誉れ高い権三で、娘の夫になってもらいたいと、おさゐは権三に伝え、もし承知してくれれば伝授すると約束した。
権三は悩んだ。 自分にはすでに許婚(いいなずけ)がいる。 ここは恋を取るか、出世を取るかの選択となった。

悩む権三の姿を見て、おさゐはいらつく。 権三には許婚がいるのを知っていた。 権三が締めていた帯も許婚が贈ったもの。
このままでは権三が取られてしまう。
おさゐは忌々(いまいま)しい帯をを権三から取り、私のを締めればいいと自分の帯を解いた。 すると、この状況を伴之丞が目撃する。

伴之丞は夜這(よば)いをして、おさゐから伝授を得ようと企(たくら)んでいた。
しかし、権三に先を越されたと早合点し、二人の帯を持ち去り、それを証拠に不義密通を訴え出た。

権三とおさゐは、二人で鳥取から逃げ去るが、逃亡先の京伏見で、おさゐの夫・浅香市之進の手に掛かる。

ここを観て聴いて

二人に不義密通の事実はなかった。
しかし、解かれた帯を証拠にされては、もう言い逃れは出来ない。
権三はもう、武士が廃(すた)ったと切腹を覚悟するが、おさゐはそれを押し止め、そして権三に懇願する。
私の夫・浅香市之進は妻の不義で恥をかき、その上、不義相手を討ち果たす妻敵討(めがたきうち)が出来なければ恥の上塗り。
それでは妻としてあまりに不憫なので、「どうせ死ぬのなら夫に討たれてください!」。
理不尽とも思えるこの願いを権三は受け入れる。
これも出世を望み、許婚を捨てようとした罰か……。

印象的なラストシーン

二人は、おさゐの夫・浅香市之進以外の者に斬られないように国を出た。
その二人を見つけ手に掛ける市之進。
権三は何の弁明もせずに討たれるが、おさゐは夫に真実を告げたかった。
しかし市之進は何も聞かずにおさゐを斬った。

この後、刀をじっと見つめてから捨てた、市之進役の人形遣いがいた。
今までに見たことのない演出だったが、妻を斬った苦しさ、武士の空しさが痛いほどよく判った。

赤字はデンマンが強調のため。
読み易いように改行を加えました。
写真はデンマン・ライブラリーより)




102-103ページ 『名作文楽50』
著者: 高木秀樹
2005年7月1日 初版第一刷発行
発行所: 株式会社 世界文化社





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デンマンさん。。。あんさんは古臭い文楽などに関心がありますの?


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あきまへんか?

あっかァ~ん!と言うつもりはないんやけど、どないなつもりで文楽など持ち出してきやはったん?

あのなァ~、めれちゃんは文楽が古臭いというけど、この『鑓の権三重帷子』は、『堀川波鼓(ほりかわなみのつづみ)』と『大経師昔暦(だいきょうじむかしごよみ』と共に近松門左衛門の三大姦通劇と言われて現在でもよく知られてるゥ。 実際、1986年には映画化されてるのやでぇ~。。。

 


鑓の権三

 


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近松門左衛門原作の世話浄瑠璃『鑓の権三重帷子』の映画化で、1986年に作られた。
「卑弥呼」の富岡多恵子が脚色。
監督は「瀬戸内少年野球団」の篠田正浩。
撮影は同作の宮川一夫がそれぞれ担当。

あらすじは世話浄瑠璃『鑓の権三重帷子』とほぼ同じだが
おさゐは「どうせ冥土へ行くのなら、権三と夫婦の契りをかわしてから」と、旅篭(はたご)で激しく愛しあう。

宇治の川岸にかかる橋の上で、ふたりはついに市之進と出会った。
そして、彼の刀に倒れるのだった。
一件落着し、浅香家では遺児・虎次郎が亭主となり、茶を立てている。

配役:

郷ひろみ (笹野権三)
岩下志麻 (市之進女房・おさゐ)
火野正平 (川側伴之丞)
田中美佐子 (伴之丞妹・お雪)
加藤治子 (お雪の乳母)
津村隆 (浅香市之進)
水島かおり (市之進娘・お菊)
嶋英二 (市之進伜・虎次郎)
浅川奈月 (市之進娘・お捨)
大滝秀治 (岩木忠太兵衛)
三宅邦子 (忠太兵衛女房)
河原崎長一郎 (忠太兵衛伜・甚平)
竹中直人 (権三の同僚・文右衛門)
浜村純 (道具屋の主人)
小沢昭一 (船頭)




篠田正浩監督作品

『乾いた花』 『鑓の権三』





 



デンマンさん。。。あんさんは上の映画を観やはったん?



もちろんやァ。 『堀川波鼓』は1707年2月15日に、大坂竹本座で初めて演じられた。 1706年に起きた、鳥取藩士が妻敵(めがたき)を討った事件を基にして近松門左衛門が書いたものなのやァ。 そやから、『鑓の権三重帷子』も、実際に起きた事件を基にして近松が書いたものやと思うねん。

つまり、実際に起きた事件を基にして近松のおっさんが書いたものやさかいに、あんさんは観る気になりはったん?

そうやァ。。。そやけどなァ~、次の箇所はドラマチックにするために付け足したと思うねん。


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おさゐは忌々しい帯を権三から取り、

私のを締めればいいと自分の帯を解いた。

すると、この状況を伴之丞が目撃する。




この場面はあまりにも不自然やと思うねん。



どうして。。。?

このような見え見えの事をするかいな! これでは、「私たちが不義をしている所を見て!見て!」と宣伝しているようやないかいなァ! アホらしくて、観ているわての方が恥ずかしくなったでぇ~。。。

なにも、あんさんが恥ずかしくなることはおまへんがなァ~。。。

とにかく、観客の目に不自然やと思われるような事はせ~へんこっちゃ!

。。。で、あんさんは、その事が言いたいために、わざわざ『鑓の権三重帷子』を取り上げはったん?

ちゃうねん。。。そのような些細な事で記事を書くかいなァ!

そやったら、どないな理由で『鑓の権三重帷子』を取り上げはったん?

あのなァ~、このような不義密通をテーマにした作品は“姦通物(かんつうもの)”と呼ばれておるのやけど、戦後、姦通罪が無くなったのに、どうして未だに人気があるのか? その事をわては考えさせられたのやがなァ。

それで、記事のテーマにしようと思いはったん?

そうやァ。 江戸時代から太平洋戦争まで、この姦通罪は、不義をした妻と、その相手の男だけに適用されて、この二人が罰せられた。 つまり、夫が妻以外の女と浮気をしようが2号さんを持とうが罪とはならへん。

それは男女同権に反しますやん。

そやから、戦後、姦通罪は廃止されたのやがなァ。 それにもかかわらず、未だに『鑓の権三重帷子』が上演されたり 1986年には映画にもなった。 つまり、人気が続いているねん。

『忠臣蔵』が未だに人気があるのと同じ理由やと、わたしは思うわァ。 つまり、吉良上野介を悪者にして、悪い奴をみなで懲らしめはるゥ。 そういう場面を見て日本人は気分良く日常生活に戻ってゆきはる。 気分がすっきりして癒されますねん。

なるほどォ~。。。言われてみれば分かるような気がする。 そやけどなァ、『鑓の権三重帷子』の場合はちょっと違うと思うねん。

どないに。。。?

実は、日本の家庭の主婦は、多かれ少なかれ「おさゐ」さんのような中年女性が多いと思うねん。

伝授を望む権三の来訪を、おさゐは喜んだ。

美男の誉れ高い権三で、

娘の夫になってもらいたいと、

おさゐは権三に伝え、

もし承知してくれれば伝授すると約束した。


つまり、たいていの主婦は打算的で、スーパーならば人よりも良い物を安く手に入れたいと思う。 夫に失望している妻は、せめて娘だけには夫よりも有望な若者を探して見合いでもさせたいと思うてる。 しかも、最悪の状態になっても、諦め切れない未練がましい気持ちにとらわれる。 そやから映画のような状況に共感する。

 


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おさゐは「どうせ冥土へ行くのなら、

権三と夫婦の契りをかわしてから」と、

旅篭(はたご)で激しく愛しあう。


 



つまり、このような願望を日本の中年主婦が持っていると、あんさんは言わはるのォ~?



夫に失望している妻ならば、当然やろう?

そうやろか?

そやけどなァ、おさゐも権三も殺されてしまうのや。 それを見定めて観客の中年主婦は、きっと次のように思うねん。

 


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ああ~  思えば、わたしだってぇ、

同じような状況であれば、

同じような事をするかも。。。

駄目な夫と生活しているけれど、

殺されるよりは

生きて旨い物でも食べていた方がええわァ。


ここで初めて常日頃不満タラタラの家庭の主婦は蜜の味を感じるのやァ。

 

“他人の不幸は蜜の味”

 
 


あんさん!。。。、これはかな~り性格の悪い解釈ですぇ~。。。



さよかァ~。。。?




初出: 2012年1月8日



【レンゲの独り言】


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ですってぇ~。。。
デンマンさんは近松門左衛門の作品にハマっているようですわ。
かつて『心中天網島』(しんじゅうてんのあみじま)について次の記事を書きました。


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『心中と切腹』

(2010年11月25日)


同名の人形浄瑠璃は1721(享保5)年に、大坂竹本座で初演されました。
実際に1721年に起きた、紙屋治兵衛と遊女小春の心中事件を基にして書いた作品です。
愛と義理がもたらす束縛が描かれており、近松の世話物の中でも、特に傑作と高く評価されています。
また、道行「名残の橋づくし」は名文として知られています。
後に歌舞伎化され、今日ではその中から見どころを再編した『河庄』(かわしょう)と『時雨の炬燵』(しぐれのこたつ)が主に上演されています。

とにかく、次回も興味深い話題が続くと思います。
あなたも、また戻ってきてくださいね。
じゃあ、また。。。


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ィ~ハァ~♪~!

メチャ面白い、

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こんにちは。ジューンです。

『堀川波鼓(ほりかわなみのつづみ)』も

近松門左衛門の三大姦通劇の一つですが、

この人形浄瑠璃は1707年2月の初演以来、

上演が途絶えていたのです。

それが1964年にNHKで復活しました。

これを映画化したものが今井正監督による『夜の鼓』です。

新劇では俳優座が『つづみの女』として上演しました。

鳥取藩士小倉彦九郎の妻・たねは、

夫が江戸詰めで国許を留守にして間に、

酒席で飲みすぎて、そのはずみで

鼓師・宮地源右衛門と褥(しとね)を共にしてしまいます。

そして不義の子を身ごもるのです。

その噂のために、妹のお藤(ふじ)の縁談は

破談になってしまいます。

隠しきれなくなったたねは、

夫への忠節を示すため自分の胸を突き、

非を詫びながら夫の手で絶命します。

たねの妻仇(めがたき)を討つべく、

彦九郎は復讐に燃える妹らを連れて

宮地宅へ討ち入り、本懐を果たすという物語です。

ところで、卑弥子さんが面白いサイトを

やっています。

興味があったら、ぜひ次のリンクをクリックして

覗いてみてください。


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『あなたのための笑って幸せになれるサイト』

とにかく、今日も一日楽しく愉快に

ネットサーフィンしましょう。

じゃあね。バーィ



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