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風馬牛

2020-06-23 01:49:17 | 日本人・日本文化・文学論・日本語
風馬牛 6月22日 ジュンコ

 

風馬牛

 


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デンマンさん。。。 質問があるのですけれど。。。


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「風馬牛」の意味が分からないのですか?

なんとなく意味は分かっているのです。。。「関係ない」というような意味でしょう?!

そうです。。。

でも、どういうわけで風馬牛が、そういう意味になるのですか? 風と馬と牛の3文字は、その意味とは全く「関係ない」と思うのですけれど。。。

だから、「関係ない」という意味になったのですよ。。。うへへへへへへ。。。

それは、ダジャレでしょう!? 私は真面目にデンマンさんに尋ねているのですわ。。。

分かりました。。。僕が知っている範囲でジュンコさんの質問に答えますよ。。。ところで、どこで風馬牛に出くわしたのですか?

「青空文庫」で芥川龍之介の次の作品を読んでいたら出てきたのですわ。。。

 




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藤左衛門と忠左衛門とは、顔を見合せて、笑った。復讐の挙が江戸の人心に与えた影響を耳にするのは、どんな些事(さじ)にしても、快いに相違ない。

ただ一人内蔵助だけは、僅に額へ手を加えたまま、つまらなそうな顔をして、黙っている。――藤左衛門の話は、彼の心の満足に、かすかながら妙な曇りを落させた。と云っても、勿論彼が、彼のした行為のあらゆる結果に、責任を持つ気でいた訳ではない。

彼等が復讐の挙を果して以来、江戸中に仇討が流行した所で、それはもとより彼の良心と風馬牛なのが当然である。しかし、それにも関らず、彼の心からは、今までの春の温(ぬくもり)が、幾分か減却したような感じがあった。

事実を云えば、その時の彼は、単に自分たちのした事の影響が、意外な所まで波動したのに、聊(いささか)驚いただけなのである。が、ふだんの彼なら、藤左衛門や忠左衛門と共に、笑ってすませる筈のこの事実が、その時の満足しきった彼の心には、ふと不快な種を蒔く事になった。

これは恐らく、彼の満足が、暗々の裡(うち)に論理と背馳(はいち)して、彼の行為とその結果のすべてとを肯定するほど、虫の好い性質を帯びていたからであろう。勿論当時の彼の心には、こう云う解剖的な考えは、少しもはいって来なかった。彼はただ、春風の底に一脈の氷冷(ひれい)の気を感じて、何となく不愉快になっただけである。

 

(注: 赤字はデンマンが強調。
読み易くするために改行を加えています。
写真はデンマン・ライブラリーより)




4ページ 『或日の大石内蔵助』
著者: 芥川龍之介
大正六年八月十五日
発行所: 青空文庫


 



また、ずいぶん古い作品を読んだのですねぇ〜。。。ジュンコさんは歴史に関心があるのですか?



特に歴史に興味があるというわけではありませんけれど、大石内蔵助は私が知っている歴史上の有名な人物の一人なので読む気になったのですわ。。。

。。。で、かいつまんで言うと、どういうストーリーなのですか?

あの有名な討ち入りを果たして吉良上野介の首をゲットしたあとで、四十七士はいくつかのグループに分けられて、はっきりとした処分が決まるまで、いくつかの藩の藩邸にお預けになるのです。。。大石内蔵助はメンバーのうちの年配の人たちと一緒に江戸の細川藩邸にお預けになるのですけれど、その時の「ある日」のことが書いてあるのですわァ。。。

なるほどォ〜。。。上の部分を読めば、初めて「風馬牛(ふうばぎゅう)」という言葉にお目にかかる人でも、前後の文脈から「関係ない」というような意味だろうと、想像がつくはずです。。。

デンマンさんは知っていたのですか?

僕は「歴史オタク」だから、けっこう歴史小説、時代小説を読んでいるのですよ。。。中里介山の『大菩薩峠:24 流転の巻』を読んだ時に次のような用例にお目にかかりましたよ。。。

 


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白雲はまだ風馬牛ではあるが、

その耶蘇の教えと並んで、

西洋文明の血脈をなしているという

ギリシャ系統の学問についても…




(これを分かり易く言い直せば)

白雲はまだ自分とは全く関係ないと

関心を示さない
けれど、

そのキリストの教えと並んで

西洋文明の流れに組み込まれている

ギリシャ系統の学問についても…


 



でも、風と馬と牛が合わさると どういうわけで そういう意味になるのですか?



確かに、初めて出くわすと意味は前後の文脈で 何となく分かるけれど 何も知らなければジュンコさんのような疑問を持つと思います。。。僕も初めて出くわした時には、不思議に思ったものですよ。。。そして辞書で調べたら、バカバカしいと思いました。。。

どういうところがバカバカしいのですか?

あのねぇ〜、この「風」は動物の「発情期」のことなのですよ。。。つまり「風す」とはメスとオスがサカリがついて求め合うということなのです。。。

でも、サカリがついてメスとオスが求め合うと、どうして「無関係になる」のですか?

だから、説明を読むと、そこがバカバカしいのですよ。。。つまり、サカリがついたメスとオスがお互いに求め合っても、遠く隔たっていたら どうすることもできないだろう。。。それで、「自分とは全く関係がないという態度を取る」という意味になったというのです。。。

でも、「風馬牛」を文字通りに解釈すれば、「サカリのついた馬と牛」で、どこにもサカリのついた馬と牛が「遠隔地に居て、離ればなれになっている」という文字が入ってないじゃありませんか!

そうですよ。。。だから、僕はバカバカしいと思ったのですよ。。。

でも、マジでバカバカしいのであれば「死語」になっているはずなのに、どういうわけで有名な作家が小説の中で使っているのですか?

「死語」になりつつありますよ。。。ジュンコさんだって、初めて上の作品の中でお目にかかったのでしょう?

そうです。。。それまでに見たことも聞いたこともありませんでした。。。

僕も、最近の作家の作品の中に見たことがないですよ。。。僕は司馬遼太郎の作品が好きで かなりの作品を読んでいるのだけれど、彼の作品の中で一度として「風馬牛」を見たことがない。。。少なくとも僕の記憶にはない。。。司馬さんは大正生まれ。。。芥川龍之介も中里介山も明治生まれです。。。おそらく、大正生まれの作家からは使わなくなったのですよ。。。

どうしてですか?

僕の考えでは、漢詩や漢文と関係があると思います。。。要するに、明治時代には漢詩や漢文は、重要な科目だった。。。夏目漱石などは漢詩が得意で、中国人が読んでも素晴らしいと認める漢詩を作ったというのですよ。。。

「風馬牛」がどういうわけで漢詩や漢文と関係あるのですか?

あのねぇ〜、「風馬牛」という言葉は中国で生まれた慣用句なのですよ。。。日本には、なかった熟語なのです。。。そもそも、「風馬牛」は『春秋左氏伝』の中に出てきたものが慣用句として中国で使われ、それが日本に伝わったのですよ。。。

その『春秋左氏伝』というのは、どういうものですか?

 


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孔子が編纂したものと伝えられている歴史書『春秋』というのを注釈した書物で、紀元前700年頃から約250年間の魯国の歴史が書かれているのです。



それほど古い書物の中に「風馬牛」が出てくるのですか?

そうらしいのですよ。。。僕は見たことがないけれど。。。(微笑)。。。その慣用句が江戸時代には寺子屋や私塾や藩校で、明治時代には「漢文」の授業で教えられたわけです。。。でも、最近では学校で教えないから、知らない人がほとんどですよ。。。20年もしないうちに「死語」になりますよ。。。



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【ジューンの独り言】


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ですってぇ~。。。

あなたは、「風馬牛」という言葉を今までに見たことがありますか?

わたしは、もちろん見たことも聞いたこともありません。

あなたは、いかがですか?

ええっ。。。 「そんなことはどうでもいいから、他に何か面白いことを話せ!」

あなたは、そのように わたしにご命令なさるのですかァ~?

分かりましたわ。。。 じゃあ、面白い動画をお目にかけますわ。。。

ワンワンちゃんが人間の言葉をしゃべります!

 


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ええっ。。。? 「そんな馬鹿バカしい動画など、どうでもいいから、何か他に面白い話をしろ!」

あなたは、また そのような命令口調で わたしに強要するのですか?

わかりましたわァ。。。

では、たまには日本の歴史の話も読んでみてくださいなァ。

日本の古代史にも、興味深い不思議な、面白いお話がありますわァ。

次の記事から興味があるものをお読みくださいねぇ~。。。


天武天皇と天智天皇は

同腹の兄弟ではなかった。


天智天皇は暗殺された

定慧出生の秘密

藤原鎌足と長男・定慧

渡来人とアイヌ人の連合王国

なぜ、蝦夷という名前なの?

平和を愛したアイヌ人

藤原鎌足と六韜

古事記より古い書物が

どうして残っていないの?


今、日本に住んでいる人は

日本人でないの?


マキアベリもビックリ、

藤原氏のバイブルとは?



ところで、他にも面白い記事がたくさんあります。

興味のある方は次の記事も読んでみてくださいね。

 


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『宮沢りえと床上手な女』

『MH370ミステリー』

『なぜ死刑廃止?』

『真犯人はそこにいる』

『MH370ミステリー裏話』

『お裁きを信じますから』

『ジャルパックと国際化』

『古代ローマのセックス』


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『エロいローマ再び』

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『えろあくにめ温泉』

『エロいけれどためになる』

『地球上のネット普及率』

『原発はダメだったのに』


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『スカートをはいた兵隊』

『行田シンドローム』

『幻の暴走機関車』

『CIA@NOパンツ』

『エリュトゥラー海案内記』

『伊藤若冲 ランブータン』

『知的快楽』


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『女性の性欲@ラオス』

『美学de愛と性』

『女の本音』

『にほん村からの常連さん』

『日本初のヌードショー』

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『アルゼンチンから』

『潮吹き』

『ヨッパライが帰ってきた』


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『後家殺し』

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『下女のまめは納豆』

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『サリーの快楽』

『ラーメン@ゲブゼ市』

『安心できない@病院』

『ブルマー姿@自転車』

『女性の性欲研究』

『頭のいい馬』


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『トランプ@マラウイ』

『きれじ』

『コッペパン』

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『大蛇が破裂』

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『博士の異常な愛情』

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『村上春樹を読む』

『パクリボット』

『露出狂時代』

『露出狂と反戦』

『オナラとサヴァン症候群』

『検疫の語源』

『共産党ウィルス』

『馬が合う』

『オックスフォードの奇人』


とにかく、今日も一日楽しく愉快に
ネットサーフィンしましょう。
じゃあね。バーィ。


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『スパマー HIRO 中野 悪徳業者』

 


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ィ~ハァ~♪~!

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