ジューンさんとあたしとデンマンさんの3人で居るときには、あたしはいつもつまはじきでしたよ。
そんな事はないですよ。あなたとは毎日顔をつき合わせている。話をしている。だから、ジューンさんがやってくれば、どうしてもジューンさんと話をする事が多くなりますよ。それはあなたをつまはじきにしている事ではないんですよ。
そうでしょうか?
とにかく、僕はあなたに言われてから、少し反省して次の晩からあなたにお休みのキスをするようになりました。
でも、なんだかとってつけたようなキスでしたわ。。。
フレンチキスをするわけにはゆきませんよ。
どうしてですか?
どうしてって。。。不倫が始まってしまうからですよ。
でも、デンマンさんはあたしを愛していると。。。
もちろんそう言いましたよ。でもね、あなたが期待している“愛”とは違いますよ。
どう違うのですか?
あなたの愛は、分かりやすく言えば“不倫の愛”ですよ。僕の愛は不倫にはならない愛ですよ。
だからどのような。。。?
説明するのが難しいけれど、マイケル君とお母さんの愛について書いた事がありましたよね。覚えてますか?
いいえ。
じゃあ、ここに書きますよ。レンゲさんとこのように話した事があるんですよ。
僕がエドモントンに居た頃に付き合っていたシングルマザーのことを書きますけれどね、この女性はエミリーさん(仮名)といって3人の子持ちでした。長男が5つぐらいでしたよ。
そのエミリーさんは30歳ぐらいの女性ですか?
そうです。
きれいな方だと言いたいのでしょう?
いや、ブスだとか美人だとかは、この場合関係ないんですよ。
でも、デンマンさんが付き合っていた方ですから気になりますわァ。
![](http://members.aol.com/barclay1720/myhomepage/images/hot005.jpg)
こんな感じの人でしたよ。
きれいな方ですわ。デンマンさんがお付き合いする人って、どうしてこのようにォきれいな方ばかりなんですの?
これは実物の写真ではありませんよ。プライバシーを守らなければなりませんからねぇ。
それで、そのエミリーさんはどんな躾をしていたのですか?
それが驚いたのなんのって。。。
だから、どのような。。。
そう、せかせないでくださいよ。その5歳のマイケル君が食事のあとに皿洗いをするんですよ。5歳ですよ。日本では考えられない事でしょう?僕は危ないのじゃないか?と思いましたよ。ナイフなんかがシンクの中に混ざっていますからね。
しかし、5歳の坊やでは流し台にとどかないでしょう?
そうなんですよ。欧米の台所の流しはかなり高いですからね。そのままではとてもマイケル君には皿洗いができないんですよ。
それでどのようにして?
ビール瓶が1ダース入ったプラスチック製のケースがスーパーマーケットなんかにあるでしょう?あれが台所の隅に置いてあってね、それをマイケル君が流しの所に引きずって行き、ケースをひっくり返してその上に乗るんですよ。
そんなことまでして5歳のマイケル君に皿洗いをさせるのですか?ちょっと可哀想ですわ。
そうなんですよ。見かねて“危ないから僕がやりましょう”と申し出たのだけれどね、“それは躾のひとつだからマイケルにやらせているの”と言って僕の申し出を断固として拒絶しましたよ。
エミリーさんの家が特別なのではありませんか?
いや、そういうわけじゃないんですよ。欧米で僕は他の家でも同様な躾を何度か見ています。僕自身の小さい頃や、その当時友達の家に遊びに行った時などに目にした家庭の様子などを振り返ってみて、日本人の家庭では子供が甘やかされていると、僕はしみじみと感じましたよ。
しかし、躾と家庭崩壊とどのような関係があると言うのですか?
つまり、躾を通して社会的な規則や家族の絆を学んでゆくという姿勢ができてゆくと思いますね。マイケル君のような5歳の男の子に日本で皿洗いをさせたら、児童虐待と言われかねないかもしれません。でもね、もし家族7人を殺害した日本人のカップルが幼い頃しっかりした家庭教育を受けていたら、社会的常識や規則、家族の絆を身に着けていたでしょう。だから、あのような無残な殺人をやってのけるような事にはならなかったと僕には思えるんですよ。
そうでしょうか?
じゃあ、もう一つエピソードを。。。僕はエミリーさんと子供たちと一緒に近くのショッピングセンターへ買い物に付きあった事があるんですよ。その時マイケル君がおもちゃの棚のところでプラモデルの飛行機が欲しいと言って駄々をこねたんです。エミリーさんは“前にも同じようなプラモデルを買ったじゃないの?あのプラモデルを途中で投げ出してしまったでしょう?だからこれは駄目よ!まだ、あのプラモデルがあるのだから、これは元の所に返してきなさい” このように言ってエミリーさんは断固として譲らなかったんですよ。
それで。。。?
マイケル君は泣きだしてしまいましたよ。“泣く子と地頭には勝てぬ”という諺が日本にはありますが、エミリーさんは断固としてマイケル君の言う事を無視し続けました。日本人の母親なら、子供が泣いてまで欲しがるのだから、おもちゃを買い与えてしまうかも知れませんよね。しかもショッピングセンターで子供が泣き出して駄々をこねる様子は日本人なら“みっともない”と考えて、そう高くはないおもちゃを買い与えてしまうかも知れません。
それで、どうしたのですか?
エミリーさんは全く取り合わなかったですよ。僕は、マイケル君にかなり同情していました。皿洗いまでしていましたからね。ご褒美に、もう一つぐらいプラモデルを買い与えてもいいのじゃないか?僕は、そう思いましたよ。
デンマンさんはどうなさったのですか?
僕が買ってあげると言い出したところで、エミリーさんが拒絶するのが分かっていましたからね。僕は何も言いませんでしたよ。あとでマイケル君にエミリーさんには内緒で買ってあげるつもりでした。そのことよりも、このあとマイケル君がどのような態度を取るのか?そのことの方に興味がありましたね。
マイケル君はどうしたのですか?
マイケル君もお母さんの性格が全く分からないわけじゃない。ひとしきり泣いていたけれど、お母さんが買ってくれないと分かると、泣き止みましたよ。そうなると、お母さんの機嫌を損ねた事が気になるのですね。マイケル君が駄々をこねたのでエミリーさんは無視し続けましたからね。マイケル君はエミリーさんと少し離れながら、買い物のあとに付いて行きましたよ。エミリーさんも気にならないわけじゃない。時々マイケル君の様子を見ていました。レジに着く頃にはマイケル君は駄々をこねた事を少し反省したらしくて、エミリーさんの手をそっと取って、じっと見上げるんですよ。
エミリーさんは何と言ったのですか?
何も言いませんでした。でも、マイケル君が握った手を離さずに、見上げるマイケル君にちょっぴり笑みを浮かべました。“Mommy, I'm sorry.” マイケル君は小さな声でそう言いました。エミリーさんはそんなマイケル君を見て前よりもやさしい笑みを浮かべたものですよ。僕がハッと思ったのはその次にマイケル君が言った言葉です。“Mommy, I love you.” 日本では、絶対にこのような会話は聞く事ができないですよね。
![](http://members.aol.com/barclay1720/myhomepage/images/maria03.jpg)
いいお話ですわァ。“小説的人生”を送っているあたしにはうらやましい限りです。
僕はその時“家庭の絆”を目にしたような気がしましたよ。躾は厳しいだけじゃない。“母親のぬくもり”も充分にマイケル君に伝わっていたんですよね。この厳しさと母親のぬくもりが現在の日本には欠けているのではないか?日本人はもう一度“家庭の絆”という事を考えてみる必要があるのじゃないか?そうすれば、レンゲさん、あなたが育ったような崩壊した家庭も無くなるような気がするのですよ。ちょっと、言い過ぎましたか?
いいえ、あたしの耳には痛みが残りましたが、デンマンさんの言われた事は理解できますわ。
そうですか。そう言ってもらえると、ちょっと長めに書いた甲斐がありますよ。レンゲさんが、いづれお母さんと仲直りできる事を祈っています。
『不倫と家族の絆』より
つまり、デンマンさんがあたしを愛しているというのは“家族の愛”で愛していると言うのですか?
簡単に言ってしまえばそういうことですよ。“不倫の愛”ではありませんよ。
でも、あたしとデンマンさんは家族ではありません。デンマンさんはあたしの父親ではありませんわ。
もちろん、僕はあなたの父親ではありませんよ。だから、“家族の愛”のような愛ですよ。そのものズバリじゃないですよ。
つまり、セックス抜きだとおっしゃりたいのですね。
全く抜きだとは言いませんよ。男と女だから、そのような関係になる事もあるでしょう。でも、レンゲさんの場合、愛とセックスが短絡的に結びついているんですよ。
いけませんか?
いけないとか、いける、。。。とか、そういう事じゃなくて、レンゲさんが言っていたように“この年になると愛イコールセックスになるんやわあ”という関係しか知らないから、レンゲさんの男女関係は破綻するんですよ。とにかく、これまですべて破綻しているんですよね。でしょう?
どうすればよいのですか?
愛イコールセックスと言うメンタルブロックを壊(こわ)す事でしょうね。
どうすれば壊せるのですか?
そのことを話し始めると、また長くなりますからね。読んでいる人もトイレに行きたくなる頃でしょう。そのことについては、また明後日に書きますよね。レンゲさんもそれまで待っていてくださいね。
(あなたと、ここだけの話しですがねぇ、あなただって、そうたびたびトイレに行きたいわけではないですよね?でも、今回は僕が行きたくなりました。へへへ。。。とにかく、この話の続きは、ますます面白くなりますよ。どうか期待して待っていてくださいね。もっとレンゲさんのことが知りたいのなら、下にリンクを貼っておきましたからぜひ読んでくださいね。)
![](http://members.aol.com/barclay1720/myhomepage/images/laugh16.gif)
レンゲさんの愉快で面白い、そして悩み多いバンクーバーの日々は
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■ 『レンゲのバンクーバー紀行』
![](http://members.aol.com/davie1720/myhomepage/images/manila05.jpg)
バンクーバーから戻ってきたレンゲさんの新しい悩みは次のリンクをクリックして読んでください。
■ 『夢のバンクーバー“後記”』
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