『お寺の塔は、日本人が確立した制振建築の傑作!』
1300年前に建てられた奈良の法隆寺にある五重塔は、創建当時のまま
です。
これは、日本で最も古い五重塔ですが、この塔が地震でも倒れなかった秘密
が、隠されているんです。
実は、過去に建築された、五重塔を含む、お寺の塔は、2000ほど記録が
残って居ます。
ほとんどは、戦乱の中、焼かれたり、落雷によって焼失しましたが、地震で
倒壊した塔は、2つしかないんです。
…では、なぜ、五重塔が、地震に強いのでしょうか?
それは、その特異な構造にあります。
五重塔の各階は、バラバラに動く様に設計されています。
つまり、各階は、くっついていないのです!
乗っかって居るだけです。
そして、中心には「心柱」と呼ばれる、一本の通し柱がありますが、この
柱が、建物の加重を支えている訳ではありません。
むしろ、ぶら下がって居るだけです!
その証拠に、「心柱」の下にある「礎石」(基礎石)との間には、隙間が
あるのです。
紙を差し込むと、反対から出て来ます!
…実は、この構造が、地震のエネルギーを受け流す事が、可能な理由です。
世界初の、木造「制振」「免震」構造です!
わかり易く説明すると…
五重塔の各階が、みそ汁のお椀を伏せたモノだと、考えてください。
各階は、乗っかって居るだけですから、この、お椀を5個重ねます。
このままでは、簡単に、お椀は、くずれてしまいますね!
ですから、ここで、一工夫する訳です。
お椀の底に直径1センチの穴をあけ、再び5個のおわんを重ねます。
そして、お椀の底にあけた穴に、上から下まで通る様に、箸を一本差し込み
ます。
すると、どうですか!
いくら、揺らしても、お椀は崩れませんね^^
この「箸」にあたるのが、「心柱」なのです。
…実は、最新の土木技術を結集して建築された、「東京スカイツリー」にも
五重塔の「心柱」を、パクった「制振装置」が、つけられて居ます。
日本は、「建築」「土木」に関しては、古代から今まで、ずっと、先進国
なのです。
さて、最後に問題です! お考え下さい!
『五重の塔は何階建てでしょうか?』
五階建てですか?
いいえ、違います。
正解は、一階建て(平屋)です!
なぜならば、五重塔の内部は、吹き抜けで、床が無いからです。
そもそも、人が、内部に入る構造になっていません!
あれは、仏舎利(釈迦の骨の一部)を奉る、「仏様のお墓」だからです。