神の手は力ある働きをする。

 主の右の手は高く上げられ、
 主の右の手は力ある働きをする。

(詩篇118編16節より)

ルディ/涙のウイニング・ラン。

2017年05月31日 | 映画


「実話に基づいた、アメフトの映画??」と聞いただけで、「いや、べつにそんな大して見たくもないかな~みたいな??」と感じられる方はもしかしたら多いかもしれません。

 でもこの映画、本当にとてもいいです

 特に、中学生や高校生、あるいは映画の中のルディと同じ大学生や、今現在夢を追っていて心が折れかかっている人に是非ともオススメしたいような、そんな映画だと思います♪(^^)

 主人公のルディは、あんまり頭のよくない、身長160センチ、体重五十数キロといったところの、かなり平凡な感じのする青年かもしれません。

 彼は小さい頃からアメフトが大好きで、高校を卒業するまでずっとアメフトをやってきましたし(ポジションはコーナーバック)、アメフトの名門大学、ノートルダム・アイリッシュに入ることをずっと夢見てきたという青年です。

 けれど、家のほうは決して裕福とはいえませんし、兄弟もたくさんいるため、彼だけが大学へ行けるような環境でもなく――その上、ルディはノートルダム大に進学できるような成績でもまるでありませんでした。

 それは、ノートルダム大にバスに乗って見学へ行こうという時、先生がルディのことを呼びとめて、「君の成績ではまず無理なのに何故このバスに乗ろうというのかね?」というように言ったことからも明らかでした。結局この日、たくさんの大学見学者がバスに乗りこむ中、ルディは「君なんか見学するだけ無駄だよ」と言われる形で、彼だけ外されてしまうのです。

 けれど、ルディはそれでも諦めきれませんでした。高校卒業後は父親や兄と同じように工場勤めをし、四年かけてせっせとお金を貯めこみ……親友の死をきっかけに、ノートルダム大へと乗り込んでいくことに決めます。

 この親友のピートっていうのがまた、ものごっつ、いい奴なのです

 彼は工場の事故で死んでしまうのですが、その前にあったルディの誕生日に、ノートルダム大のジャンパーを彼にプレゼントしました。胸のところのクローバーの下に「アイリッシュ」とある、ノートルダムと大学名の入っているジャンパーです。

 ルディの兄弟も、誰も彼がノートルダム大に進学するだなんて夢にも思わない中、親友のピートだけがずっと、「いつか自分の親友はノートルダム大のアメフトのフィールドでプレイする」と信じてくれていたのでした

 まあ、たとえて言うならこのルディの状態は、わたしが東大を目指して高校卒業後に四年働いてお金を貯めている……といった状況に似ているかもしれません。周りの人はそんなわたしに対して「働きながら勉強もしてお金も貯めるなんて偉いね。でも流石に東大は無理だと思うよ」というように思っているという、ルディの置かれた状況というのはそんな感じのことではないでしょうか。

 ルディには長くつきあっている女性がいて、彼女もまた彼との結婚を望んでいたのですが、親友の死を契機に彼は自分の育った町を離れることになり――ふたりは別れることになります。そして、駅に父親がやって来て息子のことを止めようとするのですが、この時のお父さんの言葉がめっちゃ説得力があるというか

 ルディのお父さんは彼の父親(ようするにルディのおじいさんですね)が、最初は食肉工場で順当に稼いで良い暮らしをしていたのに、田舎に引っ込んで五百頭の牛を飼いはじめてから暮らしがおかしくなった……といったような話をします。その牛が病気で死んでしまい、ちょうど恐慌の時代だったため、土地は売れないし、働き口もないということで、ある日おじいさんは蒸発してしまったと……。

 そんな中で、ルディのお父さんも相当苦労したのだと思います

 だから、おまえもそんな馬鹿な真似はよしたほうがいいと。兄のフランクが工場でいい役職にいずれ就けば、弟のおまえも今以上に少しずつでもよくなっていけるだろうと……そんなふうに可愛い息子のことを説得するのでした。

 けれど、ルディの意志は堅く、彼は親友ピートのくれたジャンパーを着て、そのまま列車に乗りノートルダム大へと乗りこんでいきました。何分、朝早かったせいもあり、大学の守衛さんっぽい人の話では「そういうことなら神父さんに話をするといい」と勧められ……この時神父さんに相談すると、彼は最初、ルディがてっきり神父になりたいものと勘違いするんですね(笑)

 そして、「違います。神父なんて考えてみたこともありません。僕はノートルダム大に入りたいんです」みたいに言うと、神父さんは「それなら聖十字カレッジに入りなさい。そこで成績が優秀なら、ノートルダム大に編入できるかもしれない」と教えてくれます。

 ちょっとびっくりですが、ノートルダム大学って、カトリック教会創設の大学なんですね

 だからこうしたことが起こりえた……また、親友のピートもきっと天国でルディのことを見守ってくれたのかなという気がします。

 けれど、やはり現実のほうは思った以上に厳しく、ルディは勉強も働くことも何もかもすべて頑張りますが、ノートルダム大への編入については「残念ながら……」という手紙が届いてしまいます。最初、ルディは頑張ってひとつの科目でA、他の科目はすべてBというとてもいい成績を取ります。そして、このことには実は影の協力者がいました。

 成績のほうはとても優秀なのですが、女性とつきあいたくてもうまく話を持っていけないD=ボブが、あることと引き換えにルディの勉強を見てくれたのです。そのあることというのは、片っぱしから女性に声をかけて、「あいつ、D=ボブって言っていい奴なんだけど、紹介させてくれないかな?」みたいに言うことでした(爆ww)

 大抵の女性はどん引きしてしまって、なかなかD=ボブとつきあってもいいというところまで行きませんが、勉強を教えてもらう見返りに、ルディは涙ぐましい(?)努力を続け、もう一体何人の女性に声をかけたのかわからぬその果てに、ようやくD=ボブにもルイザというガールフレンドが出来るのでした。。。

 一方、ルディはフットボールのグラウンドの整備など、たぶん校務員をしている黒人のおじさんに、フットボールとノートルダム大への愛着を語って、彼に雇ってもらうことが出来ます。また、お金のない彼は、最初はルームメイトと一緒に住むか何かしていたようなのですが、この校務員の人たちが集まるような管理室……ここに忍びこんで寝泊りするようになっていきます。

 けれども、そんなことはとっくに見通していた黒人のおじさんは、そのあとに鍵と毛布をベッドの上に置いておいてくれるという、そんな不器用ないい人なのでした

 ところで、何度も「残念ですが……」との通知を受け、なかなかノートルダム大に編入できないルディは、ある時神父さまに「祈りが足りないのでしょうか」との言葉を洩らします。すると、神父さまはこう言いました。「わたしは神学を三十五年学んできた。だが、その中で自分が見出したのは、神が確かにおられることと、自分の無力さと、そのふたつだけだった」と……。

 そしてとうとう、これで編入が駄目だったら、もう終わりだという最後の最後で、ようやくルディは「コングラッチュレーション!!」との手紙を大学の事務局より受け取るのでした

 当然、このことをルディは郷里の父親に知らせ、そのことには兄弟も周りの人もおおいに驚きました。けれど、悲願かなってようやく入れたノートルダム大ですが、アメフトの名門として知られる同大学のレギュラーを勝ち取るというのはまさに至難の業でした。

 アメフトのトライアウトでも、ルディはようやくギリギリのところで入れたようでしたし、ただやる気と熱意とガッツがあるというだけでは、アメフトっていうのは超難しいスポーツでもあると思うんですよね

 何故かという、ルディは身長が160センチそこそこで、体重は五十数キロ、しかも本人の弁によれば「足も速いほうじゃない」とのこと。アメフトって肩幅の広くて身長の高いいかつい選手ばかりじゃないですか

 わたし、身長163くらいですけど、これであのガタイのいい黒人や白人の選手にぶつかっていけって言われたら、正直泣きますよ(笑)

 でも、わたしが映画見てて一番感動したというか、「いいなあ」と思ったのは、ルディのこのガッツ☆(石松??)だと思います。

 アメフトの練習の時って、レギュラーの選手の練習として他の選手たちが次々ぶつかっていったりするわけですけど……いやもう、練習時から凄いというか、ひどいですアメフトに怪我はつきものとはいえ、下手したら脳震盪起こしたりとか、もうそのくらい激しい練習風景。。。

 でもルディはひるまずにその(アメフト選手としては)小さな体で、レギュラーの選手たちと次々体あたりして、ある時などは本当にぶっ倒れてしまいます。そこで、レギュラー選手のほうでも少し手加減するというか、何かそんな感じになるわけですが、「何故かかってこないんだ!?」と、むしろ挑みかかるルディ。

 けれど、練習後、レギュラーの選手に「練習なんだから、ほどほどにしないと死ぬぞ」と忠告されるルディ。でも、「そうじゃないと練習にならないだろ」とルディは答えます。他のレギュラーたちは「あいつ、ただの目立ちたがりだ」と言ったり、「彼は一生懸命なんだよ」と言ったりするのですが……こうした血の滲む努力にも関わらず、ルディはなかなかレギュラーに抜擢されません。

 もともと、アメフトでレギュラーとして活躍することを夢見て入ったノートルダム大です。また、ルディがなかなか試合に出ないことから、彼がノートルダム大のアメフト部に所属しているとは、なかなか信じてくれない郷里の兄弟たちや周りの人々……。

 ルディはアメフトコーチのアラ・パーシジアンに、「一度だけでいいから試合に出してくれ。そして父や兄弟たちに自分が本当にノートルダム大のアメフト部にいることを信じてもらいたい」といったように訴えかけます。するとコーチは、じゃあ来シーズンに一度だけと約束してくれます。

 けれど、このアラ・パーシジアンコーチ、おそらく悪気はなかったものと思われますが、そのシーズン限りでコーチを引退してしまいます。そして、新しく別のコーチがノートルダム大のアメフト部を率いることになり――またしてもルディはレギュラーに抜擢されないという日々を送ることになり……この頃になるとレギュラー選手たちも「こんなのあんまりだ」と、普段の彼のがんばりを知っているだけに、心からルディのことを気の毒に思いはじめるのでした。

 そして、忍耐強いルディの堪忍袋の緒が切れる日がやってきました。また次の試合でもレギュラーに選ばれなかったことで、「もう辞める!!」とアメフト部を出ていってしまいます。けれど、あの黒人の校務員のおじさん……彼もまたかつてはアメフト部の選手でした。そして彼はすっかりやる気を失ったルディにこう言います。「自分も、なかなかレギュラーになれなくて、それは自分が黒人だからだろうと思って途中でやめてしまった。だが、今もそのことをとても後悔している」と。

 再びやる気を喚起されたルディは、アメフト部へ戻ります。アメフト部のみんなは彼が戻ったことを喜びますが、新任のコーチにはそれほど大した素質もないように見えるルディが何故こんなに人気があるのか、おそらくわからなかったことでしょう。

 とうとう、アメフト部のレギュラーのみんなは……そのキャプテンをはじめ、「ルディが試合に出れないなら、自分も出ません」とまで言って、順にユニフォームを脱いでいきます。「俺もです」、「俺も」、「俺も……」と、全員がそのような態度を示したことから、新任コーチもこうなってはルディを試合に出さざるをえませんでした。

 こうしてルディはずっと夢だったノートルダム大のアメフトのフィールドを、最後の最後まで他の選手みんなの協力があったことで――走ることが出来たのです!!!!!!!(×∞)

 いえ、自分的にほんと、一秒たりとも「つまんない☆」とか思うことのない、本当に素晴らしい映画でした

 これが実話だということも驚きですし、まずはノートルダム大へ受かるという不可能を叶え、次にノートルダム大のアメフト部に入るという夢を叶え、さらにその夢が叶ったのちも、つらいことを色々我慢しながら、忍耐に忍耐を重ねたあげく、ルディが最後に得た勝利……このねばり強さとガッツには、本当に感動以外の言葉が何も出てこないくらいです。


 >>この世に不屈の精神に代わるものはない。

 才能ではだめだ。才能を持ちながら成功しなかった人間ほどありふれたものはない。

 天才もだめだ。報われない天才は諺になりうるほどだ。

 教育だけではだめだ。世の中は教育を受けた落伍者があふれている。

 不屈の精神と決意だけが全能である。

(カルヴィン・クーリッジ)


 これは映画の中に出てくる言葉ではないのですが、才能よりも何よりも、本当に大切なのは「不屈の精神」だということを、ルディは映画を見たすべての人に、教えてくれる思います。

 なんにしてもとにかく、最近見た映画の中ではナンバーワンと言ってもいいくらい、とても素晴らしい映画でした♪(^^)

 それではまた~!!





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