読む日々

テーマばらばらの読書日記

黒髪

2010-05-24 | 
 谷村志穂「黒髪」を読みました。

以前、「海猫」を読んでいて、同じく北海道が舞台の、ロシア人とのハーフに生まれた女性が主人公、と知り、興味が出て借りてみました

主人公は60才を超えた小杉りえ。平凡だけど幸せな生活を送る彼女が、ある日娘が祖母(りえの母)から託された手紙の束と一枚の写真をりえに送ってきます。そこから りえ の、実母の人生を探す旅が始まります。

で、同時進行で その実母「高田さわ」の人生が語られます。

実母の恋愛物語は、ほとんど共感できませんでした・・・。まあ、「海猫」の時もそうでしたけど。でも りえの、母を知りたいという欲求にはものすごく納得できました。

私にとって何よりも強いのは やはり男女の愛より親子の愛なのかなあ・・。などと我が身を振り返ってみたりして。

でも りえ と旦那様の関係は「いいなあ」と思いました。

実母 さわ は昭和初期、帝政ロシア崩壊の激動のソ連から函館へ家族で移住してきた、雇い主のロシア人に恋をしてしまい、彼との間に子を成しますが。彼は家族と、そしてひどい事にさわの生んだ子とともに日本を脱出して大連へ行ってしまいます。

それを追いかけて娼婦になったさわが大連へ

ここで大連の遊廓で客としてきていた陸軍参謀に落籍されるんですが、それなのにロシア人が忘れられず、哀しい結末を迎えます。

ここが、わからなーい

私なら絶対に参謀を選ぶのになあ。それじゃあダメなの??・・と思ってしまうんですよね、どうしても。ロシア人の方を選ぶさわの選択に共感できるほどのストーリーがその前に描かれてないというか。

それなりに感動したけど、満足度60。