読む日々

テーマばらばらの読書日記

ベルおばさんが消えた朝

2011-01-24 | 絵本
「ベルおばさんが消えた朝」ルース・ホワイト作/光野多恵子 訳

 アメリカのヤング・アダルト小説。舞台は1953年の、アメリカ南部の炭鉱の町。
共に12才のイトコ同士の男女が主人公の物語で、ものすごくおもしろくて 一気に読んでしまいました

女の子はジプシーという名前の、とても恵まれた家庭に育つ女の子。5才の時に実父を亡くし、今は母親と義父と暮らしています(この義父がまたイイ人なのに、母親と結婚した、ってだけで大反発しちゃってます)
ある日、炭鉱夫と結婚していた母親の妹であるベルおばさんが行方をくらまし、その息子であるウッドローがジプシーの住む家の隣にある、祖父母の家に越してきます。

そこから二人の強い友情と肉親愛とライバル心が描かれつつ、ベルおばさんの失踪と、その遠因であるジプシーの母親と実父と叔母の三角関係や実父の死の真相、ジプシーのトラウマが書かれ、そして真相を暴露され傷ついたジプシーが、それでも母親を始め肉親の強い愛情を感じて見事自分でその問題を乗り越えていく姿が清々しいです。

そしてベルおばさんは見つからないままお話は終わりますがおばさん自身の心の闇や、それに気付いてあげられなかった事を悩むジプシーの母親や祖父母の苦悩もわかりやすく書かれていて、子供が読んで、表面ではさほど見えてこない肉親の愛情の深さみたいなモノを感じ取れる小説なんじゃないかな、と思いました。

息子にはまだ早いですが、2~3年したら読んで欲しいな


満足度95