「ガールズ・ストーリー」
おいち 不思議がたりあさのあつこ
あさのあつこさんの時代物。どんななんだろう
と思って借りてみました。
江戸時代、貧乏だけど腕の立つ医師、松庵の娘おいち(16才)が主人公。
母を早くに亡くし、母の姉である おうた が持ってきた縁談から始まる怪奇人情ミステリー?って感じ。
おいちには、予知の力がもともと備わっていたんだけど、今回は亡くなった人が視えたところから始まるミステリーです。
縁談先の薬屋さんで、女中と若内儀が続けて心臓発作で亡くなった謎が解き明かされるのですが、折々に語られる
登場人物の人柄がとてもいい。
おいちの気持ちもたくさん語られているけど、うーん、さすが
と唸るような箇所がそこここに。あさのさんらしい。
現代劇だと、「今の中学生が、そんな事考えてるか??」と思うようなウソ臭さを感じる事もたまにあるんだけど
舞台が江戸だと、16才の女の子が考えててもちっともおかしくないから不思議。
たとえばおいちの心のセリフで
~人の幸、不幸は人それぞれの形をしている。だから軽はずみな興味だけで詮索しても何もつかめない。ほんとうに知りたいと思ったら、心を決めて踏み込んでいくしかない~
なんて、深いなあ、と思うし、現代の中高生が言ってたら「すごーーい、本当にそんな事考えてる
」って思っちゃう。
でもそれがおいちなら違和感がないです。
親子の情もたっぶり堪能できたし、
満足です。ただ、まだ使われてない伏線もあるようなので、もしかして続編あり、なのかなぁ。
満足度80