読む日々

テーマばらばらの読書日記

白春

2012-07-19 | 
竹田真砂子「白春」


忠臣蔵モノ。

四十七士の中の京都留守居役・小野寺十内宅に仕える耳の不自由な女中、ろく の目を通して描かれてます。

小野寺十内と妻 丹 について調べたら、ものすごく深い夫婦愛で結びついていたことがわかります。
江戸から主君の刃傷事件が知らされるや赤穂へ向かう十内は、妻に「売るものも無くなってお金に困ったら、母と共に飢え死にしろ」と言い置いて旅立ちます。

そして、無事に京都へ戻り、吉良を討つという目的に邁進する中、大石の片腕として、常に冷静に淡々と日々を過ごす夫と、それをまた晴れ晴れとした気持ちで支える妻。

とても静かで、心打たれました。

最期はみなさん御存じの通りですが、その後 丹 は、それぞれ所縁の人の菩提を弔った後、実妹の眠る寺にて断食行の中絶命。

男たちは「武士の一分」を全うしましたが、丹は「妻の一分」を全うしたのでした。

途中出てくる、小野寺が師事した伊藤仁斎の教え
「人間しか人間を理解できぬ」すなわち

法度で人は育たぬ。権力で人心は掌握できぬ。人間を人間らしく活かすものは慈愛である。

が、とても心に残りました。

そして討ち入りは46人とも47人とも伝わってますが、ここでは、討ち入り後に姿を消した寺坂は数に入ってなく、
討ち入り前に父親に討ち入りを悟られまいと、士官を断るために自刃した萱野三平を1人に加えてました。


新たな視点の忠臣蔵、面白かった。

満足度90