読む日々

テーマばらばらの読書日記

綴られる愛人

2017-06-21 | 小説・現代
井上荒野「綴られる愛人」


売れっ子児童作家と大学生の、お互い嘘の自分を演じる文通から始まる破壊と再生の物語。

編集者の夫に支配されているかのような作家の女性、柚は、文通の会で知り合ったクモオという金沢の35歳会社員と文通を始める。身の上は嘘だろうと思いつつ、夫殺しを依頼してしまう。

何もかも本気になれない大学生、航大は、文通の会で知り合った凛子という、28歳の主婦と文通を始める。そして段々恋焦がれていき、ついに彼女を救うべく、彼女の夫を襲う。

どちらの閉塞感もなんだか身につまされて感じられた。柚の夫の襲撃事件で一度爆発したおかげで二人とも現実に、前よりも良い形で戻っていけたラストにホッとした。

映画化されるのか??
されるなら観たいな。

満足度100