ドンドンこにしの備忘録

個人的な備忘録です。他意はありません。

「国を蹴った男」 伊東 潤 読了!

2013年08月19日 14時17分03秒 | 作家 あ行
「国を蹴った男」(講談社単行本) 伊東 潤 2013.8.18読了。


いま、もっとも注目される歴史作家が満を持して放つ! 不条理な世を渡る武器は、気骨と果断。利に生きるか、義に死すか。武田信玄、上杉謙信、織田信長、豊臣秀吉――天下に手を伸ばした英雄たちの下、それぞれの一戦に臨む者たちの、生死の際を描く! 伊東潤、一戦ここにあり!


「牢人大将」「戦は算術に候」「短慮なり名左衛門」「毒蛾の舞」「天に唾して」「国を蹴った男」の6編を収録。
どの主人公もこの時代の敗者なんですが、あくまでもその時代(戦国時代)の敗者であって、価値観の違う世の中であれば、それはそれで違って見える。意地を通す、誇りを守る、ポリシーをつらぬく、好きなように生きる。これは、けっして敗者の生き様ではないのではと思わせる。
「国を蹴った男」の主人公は今川氏真。領土をすべて失い、北条、徳川や、織田、豊臣等の居候のように暮らす。自分の国を滅ぼした敵国に寄生して生きるなどそれ自体、戦国大名としてはとても考えられないような思考だが、この人は、鞠さえ蹴れればどうでもいいのだ。さっさとやりたくもない戦国大名に見切りをつけ、早くから隠居のような生活。歌、詠み放題。鞠、蹴り放題の人生を謳歌し、1614年77歳で天寿を全うしている。これを敗者というのであろうか? 
また今回も秀吉の描き方がえげつない(笑)、ほとんど人間として描いていない(変な小動物?チンパンジー?的な)。…6点。