沢登りで北大雪・・・屏風岳 (1792.2m)
(5キロの林道をチャリで移動、往復12時間久々の長丁場を満喫する)
■ 山 行 日 2009年9月27日(日)~28日(月)
■ ル ー ト ニセイチャロマップ林道
~ニセイチャロマップ第一川南面直登沢
~屏風岳~南東面直登沢下降~本流下降
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №30
■ 登 山 形 態 沢登り&藪漕ぎ
■ 地 形 図 1/25000地形図 「大函」
■ コースタイム 登り 6時間 下り 5時間
<登り>
05:05 ゲートをチャリで出発
05:42 第一川出合
05:50 入渓
05:52 F1
06:06 F2
06:55 F3
07:15 930二股
07:57 1050二股
09:30 1350m15mの滝の上
09:46 1450二股
10:58 稜線コル
11:06 頂上
<下り>
11:35 下山開始
12:26 1420二股
13:00 1200本流二股
14:38 930二股
16:00 林道出合
16:26 ゲート
★ 二週連続、漕ぎ着けた北大雪山紀行第二弾・・・
【 9/27(日) 】 快晴
仕事から帰宅して早々の出発。15:10 家を出る。
目指すは俺たちの定宿・層雲峡駐車場だ。当初は登山口となる大函駐車場も考えたが雨・風を
しのげ立派な水洗トイレも完備したこれ以上の駐車地は無いと・・ここを目指した。
18:53 層雲峡駐車場 着
今夜のお風呂は自宅で済ませて来たので無し、いつもの場所に駐車して早々に夕食と安着の儀
へ移行する。
明日の山行の成功を祈って「乾杯!!」は年中行事である。
メインはモツ鍋・・こう見えても出来合いもの、野菜・豆腐・豚肉などを加えるとオリジナルな鍋と化す。
ビールと酒と夫婦山談義で盛り上がる。
21:00 就寝
9/27 定宿・層雲峡駐車場での夕食「モツ鍋」・・・
【9/28(月)】
★ 林道対策にMTBが活躍・・・
先週の樹海峰が偵察にもなってゲートの鍵を開けることより立派な林道なので、チャリなら楽チンだろう
とMTBを2台積んで来るという対策に出た。出合まで約5キロ標高差は僅か40mほどで30~40分の
所要と計算した。
3:00 起床。4:35 駐車場を出発。4:41 大函駐車場に着く。
5:05 MTBに跨ってゲートを越え出発。
林道は快調に走るが空模様がすっきりとしなかった。ダメ元で行ける所まで行こうとまずは遡行沢の出
合を目指した。前回の樹海峰直登沢出合を再び確認し通過、更に2キロほど走ってニセイチャロマップ
第一川に出合う。
5:42 ニセイチャロマップ第一川出合 到着・・・チャリ所要 37分だった。
ゲートから約5キロ 沢出合の先にある橋(名前は不明)・・・
ニセイチャロマップ第一川の出合にある砂防ダム・・
★ 雲行き心配も内心ドキドキで遡行開始、濃霧で目標失う・・・
5:50 出発。
チャリをデポして出合にある砂防ダムの右岸側にある踏み跡を辿ってスタートとなる。
学習通りいきなり2段15mほどの滝が現れ、右岸のはっきりした巻き道を辿る。
そしてすぐに砂防ダム状の滝が現われるがここは砂防ダム左岸壁を攀じ登った。
(sakagさんの記録では右岸を高巻くとあったが見落として忘れていた)
入渓してすぐに現われる2段で15mほどの滝の一つ目(F1)・・
6:06 F2 ゴルジュ状の10mの滝右岸の踏み跡から大きく高巻く。
この後しばらくは変化のない平坦な遡行となり右岸、左岸と渡渉しながら歩く。
6:55 F3 15mほどの滝右脇を直登するが非常に滑るので緊張した。
F3 15m滝は右脇を登ることが出来た・・
F3の右脇を登るエバ・・・
7:15~25 930二股 左へ
出合の小枝に僅かなピンクのテープが付いていた。この先が倒木地帯であることを占うように出合
から倒木で沢をふさいでいた。出合を見逃しそうな二股であることが良く分かる。またこの二股が
下りで合流する出合でもあるので長めのテープで印して置いた。
上空がガスに覆われてここから見えるはずの屏風岳の姿は最後まで見ることが出来なかった。
倒木は1050二股まで続き難儀するが、年数が経ってるせいか周りの枯れ草のせいか難儀と言っ
ても体力を使うほどではなかった。
7:57~8:03 1050二股 右へ(この沢が南面直登沢となる)
倒木は無くなるが、渓相が一変して斜度を増し1100m付近から小滝と滑滝が連続して現われる。
930二股付近からチーヤンのお腹の具合が悪いのか何度もトイレタイムを取る場面があった。
幸い頂上に着く頃には回復して元気を取り戻す。
倒木地帯を過ぎて1050二股から右へ・・小滝の連続する沢へ (最初の小滝で・・)
1100m付近、斜度を増し更に小滝・滑滝が連続する・・・
滑々の滑滝が1450付近まで延々と続く・・・
9:30 1350m付近10m級の滝が3つ連続して高巻きに苦労するがこの後大きな滝は無く小滝群も
1440m付近で終了する。
9:46 1450 二股は右へ
1500m付近で源頭となり水は一端涸れ所々でまた伏流する。
10:20 微かな沢筋を残しながらも笹薮に突入。周りはガスに覆われルートに迷う場面もしばしば
だがコンパスで方向を定め更に笹を漕いで高みを目指した。3年前のsakagさん達の記録では丈の
低い笹が中心の・・とあったが、この時は背丈ほどの濃厚な笹薮に成長していた。もしかしたら違う
ルートを辿っているのか?と疑問にも思ったが一本の沢筋を外したとも思えなかったのでそのまま
30分ほど登ると笹薮から開放された。
1500m過ぎで源頭、水が涸れてガレ沢になる・・・
10:58 頂上西側の稜線コルに出るが、手前のハイ松は結構手強く苦労した。
特にチーヤンは私の後ろから付いて来たが時々姿が見えなくなるほどハイ松と戯れていた。
稜線コルに出ると、ハイ松も草も無い直径5mほどの広場があってそこには自分達が登って来た
ルートとは別の踏み跡らしき掻き分け道がハイ松の中にあり、少しだけ方向がズレタ分ハイ松と
遊んだ事を認識した。視界はほとんど無く頂上がどっちなのかも一瞬迷うほどである。
事実コルと言っているこの場所が頂上のすぐ西側という確証は無く、数十メートル先にあるだろう
頂上三角点を当てに東の稜線を辿った。その時も踏み跡があるか無いかも分からず再びハイ松と
戯れながら辿ってはみたが、稜線北側斜面に低いハイ松帯がある事が分かりガスの中でも何とか
目の前の一番の高みが頂上であると確信した。
笹薮を30分漕ぎ、最後にハイ松を漕いでようやく稜線へ・・・
★ 迷走して辿り着いた頂上・・・
11:06 屏風岳頂上。 ( ゲートから登り 6時間 )
何度か登頂を諦めようと思いながら一つ一つ滝を登ってしまってとうとう1500mの源頭まで来た時は
「もう登るしかない」と覚悟を決めた。
それは諦めてこの沢を下ることの困難さを思うとこのまま登りつめてお勧めの下り南東面直登沢に
出会いたいと強く念願したからである。
視界半径5mの頂上でも一風変わった三角点標識を見つけた時は、何よりも安堵した。
気温 5℃
風が弱いのが唯一の幸いであるが、立っていると冷たい風が濡れた手や身体の温度を奪って行く・・
手は急にカジカミ身体が震える。雨具の下にフリースを着て何とか寒さをしのいだ。
迷走しつつ、辿り着いた頂上はやっぱり格別な場所であり持ち上げたノンアルコールビール「フリー」
で乾杯は欠かせない。
この三角点こそ屏風岳頂上の証・・・誰かの作った頂上標識は無かった
屏風岳頂上
念願の屏風岳山頂、胸中は熱いも濡れた手は冷たい・・・
11:35 下山開始・・・
屏風岳からの下山
(南東面直登沢の下降・・・)
下降沢の特定は・・コンパスと勘だけが頼り
お勧めの下降沢は、南東面直登沢だ。下降前に何度も何度も地図を見てその沢を特定した。
頂上からははっきりとした踏み跡があり、見えない稜線を少しだけ東に移動するとガスの中になんとなく
低い枯れ草と沢形を思わせる斜面に出くわした。コンパスを下方に向けて斜面の行方を見ると南東側に
針が止まり、勘だけでここを降りることにした。
転げ落ちる・・・
標高差で約290m、急斜面を手探りで降下開始するとガスで濡れた枯れ草が滑り台のように良く滑り
何度も転ぶ夫婦・・より斜度のきつい所では転げ回った末ようやく止まるという今までに例の無い下りを
演じていた。
視界が利いて晴れた日ならこの様も楽しさに変わるのかも知れないが、転げ落ちた後に降りる方向す
ら見失うほどガスは濃厚だった。
12:15 1500m付近
しばらく降りて笹原の中に微かな沢筋を見つけるともう一度方向だけ確認してその筋を辿ることにした。
すると少しずつ沢形がはっきりとして来て1500m付近では、ようやく伏流して来た流れに出合う。
南東面直登沢を目指して転げ落ちるように下降して辿り着いた・・・
12:26 1420二股に出合う
ガスの下は別天地・・・
降りてきた沢はまだ微かな水流のみでガレ状態だったが、二股を降りて改めて見上げて見ても二股とは
気が付かないほどでチョロチョロと水滴が落ちる程度の二股である。これならこの沢を登りで使った場合こ
こを二股と判断することも右へ登ることも有り得ないだろうと思った。
しかし、気が付くとガスの下に出ていて眼下には一本の顕著な沢筋と正面には紅葉した対岸の山斜面
が目に飛び込み高度からしてもあの合流点がニセイチャロマップ第一川の本流であると想像がついた。
滝も滑も何も無いガレ沢を正面の紅葉を楽しみながら一気に降りると・・・
13:00 1200二股に出合う
出合の上流には、すぐ滝があり下流はくの字になってすぐに10m級の滝が連続して2つ現われた。
sakagさんの記録の通り右岸にはしっかりした踏み跡があり立木に掴まりながら降りて滝の下に出た。
1420二股に出合、本流1200二股まで見渡せるところまで辿りつく・・
本流1200二股に出合うとすぐに15mの滝が2つ連続するが最初の滝の上から樹海峰を望む・・
スリリングな小滝の連続・・・
1200二股から930二股までの下降では、何度と無く小滝や滑滝が連続して現れる。普通なら軽快に
通過する小滝群もここの石は非常に滑りやすく慎重な上に慎重に降りる場面が多かった。でも今回の遡
行の中では一番楽しくスリリングな小滝群であったのも事実だ。
下りもまた滑る滝の連続で緊張が解けない・・・
本当に滑る岩・岩ばかりだ・・
遡行も間もなく終りに近づく・・・最後の小滝群で一枚
達成感が込み上げる二股に安堵・・・
14:38 930二股
屏風岳をピークに沢をグルリと回って辿り着いた安堵の地。開始からすでに9時間半を越えて長いピン
クのテープを印した出合に着いたときふと我に戻り緊張感から解放された自分に気付く。
遡行者のすばらしい記録があったからこそ自分達の遡行があった・・とつくづく感謝の気持ちが込み上
げた瞬間だった。
冬の積雪期しか登れないもの・・と決め付けていた山だけに今回の遡行は特に嬉しかった。この山の
周辺には他に、ニセイチャロマップ岳や雲霧山などが未踏として残っているが、今後沢からの登頂も視野
に入れて計画することも楽しみの一つになって来た。
あとは、来た沢を問題無く降りて途中キノコに目をやる余裕もあって楽しい下山となった。
15:05 F3
15:43 F2
15:55 F1
16:00 林道出合
16:26 ゲート
★ 最後に今回の北大雪3山の遡行に対し、貴重で且つ心強いガイド役となった
函館のsakagさんのHP記録に助けられ、それぞれ無事登頂出来た事を記して置きたい。
本当にありがとうございました。・・・地形図などについては、sakagさんのHPを参照して下さい。
一人歩きの北海道山紀行のページはこちら
林道脇のカバや柳の木に生る「ヌメリスギダケモドキ」・・・
帰宅後味噌汁に入れて頂く・・落葉ダケのような食感で美味しい
(5キロの林道をチャリで移動、往復12時間久々の長丁場を満喫する)
■ 山 行 日 2009年9月27日(日)~28日(月)
■ ル ー ト ニセイチャロマップ林道
~ニセイチャロマップ第一川南面直登沢
~屏風岳~南東面直登沢下降~本流下降
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №30
■ 登 山 形 態 沢登り&藪漕ぎ
■ 地 形 図 1/25000地形図 「大函」
■ コースタイム 登り 6時間 下り 5時間
<登り>
05:05 ゲートをチャリで出発
05:42 第一川出合
05:50 入渓
05:52 F1
06:06 F2
06:55 F3
07:15 930二股
07:57 1050二股
09:30 1350m15mの滝の上
09:46 1450二股
10:58 稜線コル
11:06 頂上
<下り>
11:35 下山開始
12:26 1420二股
13:00 1200本流二股
14:38 930二股
16:00 林道出合
16:26 ゲート
★ 二週連続、漕ぎ着けた北大雪山紀行第二弾・・・
【 9/27(日) 】 快晴
仕事から帰宅して早々の出発。15:10 家を出る。
目指すは俺たちの定宿・層雲峡駐車場だ。当初は登山口となる大函駐車場も考えたが雨・風を
しのげ立派な水洗トイレも完備したこれ以上の駐車地は無いと・・ここを目指した。
18:53 層雲峡駐車場 着
今夜のお風呂は自宅で済ませて来たので無し、いつもの場所に駐車して早々に夕食と安着の儀
へ移行する。
明日の山行の成功を祈って「乾杯!!」は年中行事である。
メインはモツ鍋・・こう見えても出来合いもの、野菜・豆腐・豚肉などを加えるとオリジナルな鍋と化す。
ビールと酒と夫婦山談義で盛り上がる。
21:00 就寝
9/27 定宿・層雲峡駐車場での夕食「モツ鍋」・・・
【9/28(月)】
★ 林道対策にMTBが活躍・・・
先週の樹海峰が偵察にもなってゲートの鍵を開けることより立派な林道なので、チャリなら楽チンだろう
とMTBを2台積んで来るという対策に出た。出合まで約5キロ標高差は僅か40mほどで30~40分の
所要と計算した。
3:00 起床。4:35 駐車場を出発。4:41 大函駐車場に着く。
5:05 MTBに跨ってゲートを越え出発。
林道は快調に走るが空模様がすっきりとしなかった。ダメ元で行ける所まで行こうとまずは遡行沢の出
合を目指した。前回の樹海峰直登沢出合を再び確認し通過、更に2キロほど走ってニセイチャロマップ
第一川に出合う。
5:42 ニセイチャロマップ第一川出合 到着・・・チャリ所要 37分だった。
ゲートから約5キロ 沢出合の先にある橋(名前は不明)・・・
ニセイチャロマップ第一川の出合にある砂防ダム・・
★ 雲行き心配も内心ドキドキで遡行開始、濃霧で目標失う・・・
5:50 出発。
チャリをデポして出合にある砂防ダムの右岸側にある踏み跡を辿ってスタートとなる。
学習通りいきなり2段15mほどの滝が現れ、右岸のはっきりした巻き道を辿る。
そしてすぐに砂防ダム状の滝が現われるがここは砂防ダム左岸壁を攀じ登った。
(sakagさんの記録では右岸を高巻くとあったが見落として忘れていた)
入渓してすぐに現われる2段で15mほどの滝の一つ目(F1)・・
6:06 F2 ゴルジュ状の10mの滝右岸の踏み跡から大きく高巻く。
この後しばらくは変化のない平坦な遡行となり右岸、左岸と渡渉しながら歩く。
6:55 F3 15mほどの滝右脇を直登するが非常に滑るので緊張した。
F3 15m滝は右脇を登ることが出来た・・
F3の右脇を登るエバ・・・
7:15~25 930二股 左へ
出合の小枝に僅かなピンクのテープが付いていた。この先が倒木地帯であることを占うように出合
から倒木で沢をふさいでいた。出合を見逃しそうな二股であることが良く分かる。またこの二股が
下りで合流する出合でもあるので長めのテープで印して置いた。
上空がガスに覆われてここから見えるはずの屏風岳の姿は最後まで見ることが出来なかった。
倒木は1050二股まで続き難儀するが、年数が経ってるせいか周りの枯れ草のせいか難儀と言っ
ても体力を使うほどではなかった。
7:57~8:03 1050二股 右へ(この沢が南面直登沢となる)
倒木は無くなるが、渓相が一変して斜度を増し1100m付近から小滝と滑滝が連続して現われる。
930二股付近からチーヤンのお腹の具合が悪いのか何度もトイレタイムを取る場面があった。
幸い頂上に着く頃には回復して元気を取り戻す。
倒木地帯を過ぎて1050二股から右へ・・小滝の連続する沢へ (最初の小滝で・・)
1100m付近、斜度を増し更に小滝・滑滝が連続する・・・
滑々の滑滝が1450付近まで延々と続く・・・
9:30 1350m付近10m級の滝が3つ連続して高巻きに苦労するがこの後大きな滝は無く小滝群も
1440m付近で終了する。
9:46 1450 二股は右へ
1500m付近で源頭となり水は一端涸れ所々でまた伏流する。
10:20 微かな沢筋を残しながらも笹薮に突入。周りはガスに覆われルートに迷う場面もしばしば
だがコンパスで方向を定め更に笹を漕いで高みを目指した。3年前のsakagさん達の記録では丈の
低い笹が中心の・・とあったが、この時は背丈ほどの濃厚な笹薮に成長していた。もしかしたら違う
ルートを辿っているのか?と疑問にも思ったが一本の沢筋を外したとも思えなかったのでそのまま
30分ほど登ると笹薮から開放された。
1500m過ぎで源頭、水が涸れてガレ沢になる・・・
10:58 頂上西側の稜線コルに出るが、手前のハイ松は結構手強く苦労した。
特にチーヤンは私の後ろから付いて来たが時々姿が見えなくなるほどハイ松と戯れていた。
稜線コルに出ると、ハイ松も草も無い直径5mほどの広場があってそこには自分達が登って来た
ルートとは別の踏み跡らしき掻き分け道がハイ松の中にあり、少しだけ方向がズレタ分ハイ松と
遊んだ事を認識した。視界はほとんど無く頂上がどっちなのかも一瞬迷うほどである。
事実コルと言っているこの場所が頂上のすぐ西側という確証は無く、数十メートル先にあるだろう
頂上三角点を当てに東の稜線を辿った。その時も踏み跡があるか無いかも分からず再びハイ松と
戯れながら辿ってはみたが、稜線北側斜面に低いハイ松帯がある事が分かりガスの中でも何とか
目の前の一番の高みが頂上であると確信した。
笹薮を30分漕ぎ、最後にハイ松を漕いでようやく稜線へ・・・
★ 迷走して辿り着いた頂上・・・
11:06 屏風岳頂上。 ( ゲートから登り 6時間 )
何度か登頂を諦めようと思いながら一つ一つ滝を登ってしまってとうとう1500mの源頭まで来た時は
「もう登るしかない」と覚悟を決めた。
それは諦めてこの沢を下ることの困難さを思うとこのまま登りつめてお勧めの下り南東面直登沢に
出会いたいと強く念願したからである。
視界半径5mの頂上でも一風変わった三角点標識を見つけた時は、何よりも安堵した。
気温 5℃
風が弱いのが唯一の幸いであるが、立っていると冷たい風が濡れた手や身体の温度を奪って行く・・
手は急にカジカミ身体が震える。雨具の下にフリースを着て何とか寒さをしのいだ。
迷走しつつ、辿り着いた頂上はやっぱり格別な場所であり持ち上げたノンアルコールビール「フリー」
で乾杯は欠かせない。
この三角点こそ屏風岳頂上の証・・・誰かの作った頂上標識は無かった
屏風岳頂上
念願の屏風岳山頂、胸中は熱いも濡れた手は冷たい・・・
11:35 下山開始・・・
屏風岳からの下山
(南東面直登沢の下降・・・)
下降沢の特定は・・コンパスと勘だけが頼り
お勧めの下降沢は、南東面直登沢だ。下降前に何度も何度も地図を見てその沢を特定した。
頂上からははっきりとした踏み跡があり、見えない稜線を少しだけ東に移動するとガスの中になんとなく
低い枯れ草と沢形を思わせる斜面に出くわした。コンパスを下方に向けて斜面の行方を見ると南東側に
針が止まり、勘だけでここを降りることにした。
転げ落ちる・・・
標高差で約290m、急斜面を手探りで降下開始するとガスで濡れた枯れ草が滑り台のように良く滑り
何度も転ぶ夫婦・・より斜度のきつい所では転げ回った末ようやく止まるという今までに例の無い下りを
演じていた。
視界が利いて晴れた日ならこの様も楽しさに変わるのかも知れないが、転げ落ちた後に降りる方向す
ら見失うほどガスは濃厚だった。
12:15 1500m付近
しばらく降りて笹原の中に微かな沢筋を見つけるともう一度方向だけ確認してその筋を辿ることにした。
すると少しずつ沢形がはっきりとして来て1500m付近では、ようやく伏流して来た流れに出合う。
南東面直登沢を目指して転げ落ちるように下降して辿り着いた・・・
12:26 1420二股に出合う
ガスの下は別天地・・・
降りてきた沢はまだ微かな水流のみでガレ状態だったが、二股を降りて改めて見上げて見ても二股とは
気が付かないほどでチョロチョロと水滴が落ちる程度の二股である。これならこの沢を登りで使った場合こ
こを二股と判断することも右へ登ることも有り得ないだろうと思った。
しかし、気が付くとガスの下に出ていて眼下には一本の顕著な沢筋と正面には紅葉した対岸の山斜面
が目に飛び込み高度からしてもあの合流点がニセイチャロマップ第一川の本流であると想像がついた。
滝も滑も何も無いガレ沢を正面の紅葉を楽しみながら一気に降りると・・・
13:00 1200二股に出合う
出合の上流には、すぐ滝があり下流はくの字になってすぐに10m級の滝が連続して2つ現われた。
sakagさんの記録の通り右岸にはしっかりした踏み跡があり立木に掴まりながら降りて滝の下に出た。
1420二股に出合、本流1200二股まで見渡せるところまで辿りつく・・
本流1200二股に出合うとすぐに15mの滝が2つ連続するが最初の滝の上から樹海峰を望む・・
スリリングな小滝の連続・・・
1200二股から930二股までの下降では、何度と無く小滝や滑滝が連続して現れる。普通なら軽快に
通過する小滝群もここの石は非常に滑りやすく慎重な上に慎重に降りる場面が多かった。でも今回の遡
行の中では一番楽しくスリリングな小滝群であったのも事実だ。
下りもまた滑る滝の連続で緊張が解けない・・・
本当に滑る岩・岩ばかりだ・・
遡行も間もなく終りに近づく・・・最後の小滝群で一枚
達成感が込み上げる二股に安堵・・・
14:38 930二股
屏風岳をピークに沢をグルリと回って辿り着いた安堵の地。開始からすでに9時間半を越えて長いピン
クのテープを印した出合に着いたときふと我に戻り緊張感から解放された自分に気付く。
遡行者のすばらしい記録があったからこそ自分達の遡行があった・・とつくづく感謝の気持ちが込み上
げた瞬間だった。
冬の積雪期しか登れないもの・・と決め付けていた山だけに今回の遡行は特に嬉しかった。この山の
周辺には他に、ニセイチャロマップ岳や雲霧山などが未踏として残っているが、今後沢からの登頂も視野
に入れて計画することも楽しみの一つになって来た。
あとは、来た沢を問題無く降りて途中キノコに目をやる余裕もあって楽しい下山となった。
15:05 F3
15:43 F2
15:55 F1
16:00 林道出合
16:26 ゲート
★ 最後に今回の北大雪3山の遡行に対し、貴重で且つ心強いガイド役となった
函館のsakagさんのHP記録に助けられ、それぞれ無事登頂出来た事を記して置きたい。
本当にありがとうございました。・・・地形図などについては、sakagさんのHPを参照して下さい。
一人歩きの北海道山紀行のページはこちら
林道脇のカバや柳の木に生る「ヌメリスギダケモドキ」・・・
帰宅後味噌汁に入れて頂く・・落葉ダケのような食感で美味しい