開設前の山行記をブログに再現しました・・・
岳人憧れの名峰・1839峰 (1842m)
■ 山 行 日 2006年9月11日(月)~14日(木) 3泊4日
■ ル ー ト コイカクシュサツナイ川~コイカクシュサツナイ岳
~ヤオロマップ岳~1839峰 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №13
■ 登 山 形 態 沢登り&稜線踏み跡
■ 地 形 図 1/25000地形図 「岩内川上流」「ポンヤオロマップ岳」
「ヤオロマップ岳」「札内川上流」
■ 三角点・点名 コイカクシュサツナイ岳・1839峰 三角点・点名無し
ヤオロマップ岳 二等三角点・点名「遺間布岳ヤオロマップダケ」
■ コースタイム 登り 夏尾根の頭まで 7時間10分
テン場~1839峰まで 5時間43分
1839峰~テン場まで 4時間35分
下り 4時間50分
<登り>
【9/12】
06:50 ヒュッテ前出発
07:00 コイカクシュサツナイ川入渓
09:10~35 C640 上二股 (沢靴デポ)
14:10 C1719夏尾根の頭 C2
【9/13】
05:07 C2出発
07:50 ヤオロマップ岳
10:50 1839峰
11:25 下山開始
13:45 ヤオロマップ岳
16:00 テン場 C3
<下り>
【9/14】
06:30 C3 下山開始
08:40~09:05 上二股
11:20 札内川ヒュッテP
当時作成した記録はA4サイズ8ページにおよび自作としては大作でした・・・
当時の記録をそのままブログへ (尚、実名のみ変えています)
今年の夫婦登山「メイン山行」は何処にしよう・・・?と思案していたが、№13を数える夫婦登山の中にも
メインと呼ぶに等しい二人の冒険と挑戦が混じる山行が多い年だと思う。
それらは1月日高のシキシャナイ岳や南白老岳、5月の沙流岳やニセコのシャクナゲ岳~白樺山、九州の由布岳や
阿蘇山、6月の利尻山と礼文岳、7月には俵真布からトムラウシ山の壮大な花畑を堪能し、9月に入ってチロロ岳
をチロロ川右沢から登り左沢から下降するという冒険をし12時間を要して無事下山して来たのは記憶に新しい。
ただ今回の1839峰は、重装備を伴い稜線にテントで2泊するというチーヤンにとっては始めての夏の縦走経験
となるので、今のところのメインとなるかも知れない。
私自身は、3年連続の挑戦となり昨年念願の初登頂を果たし感動の思いは新しくチーヤンとの山行がこんなに早く
実現出するとは思わなかった。
C1となった札内川ヒュッテ前の駐車場に停めたマイハイエース
【9/11(月)】
チーヤンが仕事を終えて17:30帰宅し、早々に着替えて18:00には自宅を出発する。
この出発は、二人にとって結構パターン化されていて、出発当日の私が非番などで家に居る場合はすでに準備を
終えている食材や装備をチェックしながら順次車に積み込みを終えて置くからである。
食当はチーヤンで前日までしっかり準備を終えて、食材は冷蔵庫、レシピはテーブルの上にメモを添えて置かれ
ているので段取りは早い。
樹海ロードの国道274号線は通い慣れた日高路で暗闇でも迷う事無く登山口となる札内川ヒュッテに到着する。
自宅から約230キロ3時間30分かかった。21:30だった。
ヒュッテ前の駐車場に車一台があってヒュッテには灯りが点いていなかったので即マイカーハイエースが今夜の
宿に決定する。と言うより最初から車中泊の予定ではあった。
早々に冷えたビールを出して「登山口安着の儀」となり夫婦の尽きない話も23時には終了し明日の好天と登山
の成功を祈って就寝となった。
9/12 潅水した広いコイカクシュサツナイ川の出合い
【9/12 (火)】
4:00起床予定だったが、昨夜の就寝が23時だったので5:00起床に変更する。
(やっぱり寝不足で重荷は堪えます)
コーヒーを落としてまったりモーニングで目を覚ます。
朝食は、パックライスにレトルトカレー(スープ・漬物付)でしっかり摂る。
昨夜のヒュッテには誰も居なかった・・・トイレを借りて用を足し出発準備を整える。
天候は高雲りで風は無く手元の温度計で14℃だった。
6:50さぁ、いよいよ出発。
ずっしりと重いザックにはビール500缶6本がしっかりと入っていた。
トンネルをくぐり橋を渡って5分足らずでコイカクシュサツナイ川登山口出合いとなり左岸沿いの作業道に
左折する。7:00ほどなく入渓となるが広い河原には水が無くびっくりさせられた。本流の札内川に流れ
込む出合いには砂防ダムから水が湧き出ていたのでここでは伏流していると判る。
7:25 二段になった砂防ダムに出合う。右岸にしっかりとした高巻きルートがあり、高巻きが終了して
から少し休憩を取る。これ以降も広い河原歩きが続き、所々では伏流していて水流が無く上流を目指して歩く。
途中に小さな函地形となった場所が二箇所ほどあるが、何の問題なく通過する。ただ増水すると険悪な沢と
なりそうだ。上二股の近くになると石が大きくなり上流に来た事を実感するし正面には夏尾根の頭から派生
した主稜線上の1643峰ピークがどんどん近くに感じるようになる。
途中の小さな函にて・・・
9:10 C640上二股に着く。
沢靴をレジ袋に入れて小枝にデポし、ザックから登山靴を出して履き替える。更に水を9リットル給水しチ
ーヤンと3:6で分割してザックへ加える。グッグッグッっと重みを増したザックは肩口に食い込む重さだ。
おそらく30キロ以上はあると思う。
しかし、ここから稜線までが勝負の登りになるのはチーヤンも私も同じ事だった。
9:35 腕時計の高度計で高度をセットして夏尾根に取付く。
始めは背丈以上の笹藪の登山道を辿り日高らしい急峻な登りに突入する。とにかくゆっくりと一歩一歩登り、
高度計を見ながらまずは地形図上の1305m台地を目指す。20分から30分に一回は休憩しながらよう
やく1305m台地に着いたのは12:05だった。爽やかな風を受けながら大休憩を取る。
夏尾根1600m付近に攀じ登るチーヤン・・・
昨年の夏、エサオマントッタベツ川を遡行したときもチーヤンのザックを含めて重装備だっかも知れないが、
さすがのチーヤンも今回はかなり堪えているようだった。それでも今日のペースは計画通りのゆっくりペースで
無理は無かったようで安心する。
一歩一歩高度を上げるにつれ、尾根が狭く急峻になって来る。灌木も低木となり周りの稜線や沢から見ていた
1643峰も真横に高さを並べるまで登って来た。岩稜帯に差し掛かるとようやく今日の目的地「夏尾根の頭」が
視界に入って来た。高度感溢れる光景にチーヤンも感動し日高の深さを実感したようだった。
そして14:10ついに「夏尾根の頭・1719峰」に辿り着いた・・・。
夏尾根の頭も間もなくだぁ~・・・
安着の一杯に安堵して
ビール1杯で睡魔が襲う。酔いか余裕か疲労なのか?
今回のテン場はここ「夏尾根の頭」に決めていた。
快晴とまでは言わないが北から南までの展望はまずまずで稜線隣のコイカクシュサツナイ岳から
辿る明日の道筋と遥かなる1839峰が目の前に聳え立っていた。
チーヤンは始めて見る中日高の稜線。写真と話だけは経験済みの1839峰を目の前にして
「これが本物の1839峰なんだぁ~」と一時呆然と感動に慕っていた。風も無く比較的暖かいので
テン場到着の安着と明日の登頂を願って乾杯は外でやった。
ぬるくても何故か美味しい缶ビール。グイグイ飲んだら二人とも急に酔いが回って来たのか、7時間の
緊張と疲れが一気に襲って来たのかテントの中で居眠りをしてしまった・・。(16時から17時頃まで)
目を覚ますと外は暗くなり始め夕陽が沈む寸前だった。
程良い疲れと今日の満足感に二人とも足を伸ばし生き帰ったかのように我に戻る。そして、夕食の準備をしながら
二次会も同時進行し再び缶ビールの栓を開けた・・・。
今夜のメインは、レトルトのかつ丼とレトルトキノコご飯、更に生レタスと半玉・マヨネーズにウインナー4本と
笹かまぼこという豪華メニューだった。美味しく頂いてウイスキーまで手を出してしまった。
外を伺うとガスが立ち込めて真っ白状態だったが、さほど気にすることも無く(ただ酔っていただけ・・)二人だけの
静かな時間が過ぎて行くだけだった。
19:30もう二人とも限界か・・・就寝体勢に入る。
外は風も無く星空に変わっていた・・・。
おやすみ・・・
テン場から夕方のコイカクシュサツナイ岳を望む
夏尾根の頭に張ったマイテント
テン場から夕陽に浮かぶ名峰「1839峰」を望む・・・
【9/13(水)】
3:30 起床。
多少雲があるが星空で無風だった・・・。
まずは恒例のコーヒーを落としてアタックへの気合を入れる。
朝食は、レトルト米のサケ茶漬けをサッと頂いて出発体制に入る。
計画では6:00出発だったが、何故か5:07に出発した。
昨日とは打って変わって日帰り装備の軽い身なりに足取りも軽い。10分でコイカク岳頂上を踏むが
ガスっていたので写真はパスして通過する。
踏み跡だけは一級国道のハイ松と格闘しながら稜線を下り1560mコルには5:58。
「一昨年のテン場だよ」とチーヤンに伝えて通過する。今思うとこんな酷いところに何故テントを張ったのか・・と反省する。
少しずつガスが消えて晴れ間が多く顔を出し始めて、昨年Hさんと泊まった通称「ヤオロの窓」のテン場に着く。(6:25)
更に登って1753ピークで休憩した。(6:45~55)
テン場から夜明け前の1839峰
9/13 1753ピーク付近から朝陽を浴びた1839峰の勇姿を望む
ガスが出たり消えたりを繰り返しながらも晴れの兆候と信じつつ痩せた稜線を難なく歩く。
7:50 ヤオロマップ岳頂上到着。
名峰1839峰が形を変えて間近に迫る。しかし、十勝側はガスが立ち込め視界が悪くなり何も見えなくなっていた。
それでも二人で踏んだ遠い日高の名山に辿り着いた記念で一枚撮った。
9/13 ヤオロマップ岳頂上から1839峰を背に・・・
9/13 ヤオロマップ岳頂上(1794m) 今回始めてのツーショット
アタック時は快晴 1839峰
8:00 ヤオロマップを後にしていよいよ1839への稜線を辿る。
主稜線から外れ明瞭な踏み跡とオヤジの掘り返しや糞を見ながら30分程頑張ると地図上の1781ピークへ着き、
本峰への稜線取付きとなる。ここからは一気に標高差80m下り明瞭と不明瞭な踏み跡と灌木・ハイ松。アップダウンを
繰り返して10:10本峰手前の1770ピークに着く。見上げるほどに堂々とした本峰の勇姿が迫る。
「もう後戻りは出来ないぞ」「ここまで来たらあの壁を登ってピークを踏むだけだ」・・・と互いに気合をを入れ直し
最後のアタックへと向かう。
ガスもいつしか消え絶好の登頂日和となって直前の壁もロープを使わずに難なく登る。
そして、10:50 ついに頂上に立った!
手前の1770ピークから1839峰の勇姿が迫る
感動・涙の登頂と下山 テン場から往復11時間
頂上に立つや感極まってかチーヤンの瞳から涙が溢れていた。
そんなチーヤンを抱擁し、遥かなる日高の名峰に夫婦二人で登頂出来た喜びを共有した。
見渡す限り日高の山々が重なり合ってその山脈のほぼ中央に居ながら誰も居ない二人だけの貸切でこの眺望を独占している。
テン場からハイ松を掻き分けながら狭い稜線を辿り一歩一歩名峰を目指した。
登り5時間40分は価値ある時間だと思う。まさに登った者だけが味わえる景色と達成感や満足感だろうと思った。
暫くは登頂気分を楽しみ行動食を口にして辿って来た道筋を振り返る。遥か対岸の稜線上には微かに私たちのテントが
確認出来て、今度はあそこまで戻る現実が待っていることを知らされた。
ここから離れたくないと思ったのは、昨年の登頂時も感じた安堵感だったが、登ったら降りる・・のが登山の宿命で
後ろ髪を引かれる思いで下山を開始する事にした。
またその前に昨年Hさんが頂上に置き忘れたカメラを探してみたが在るはずもなく断念した事も書き加えておこう。
下りでは、ヤオロマップ岳を過ぎてからほとんど休む事無くひたすら歩いた。9月の中旬ともなると日照時間が短く
ゆっくりしていると暗くなる事を案じてのことだ。それでもようやくテントに着いたのは16:00となり周りは
薄暗くなっていたので急いだのは正解だった。
下りの所要時間は5時間05分で往復だとおよそ11時間の登行となった。
8月の沢で起こしてならない事故が発生しチーヤンにケガをさせてしまった。なんとか下山は出来たが責任感の強い
チーヤンはメンバーに迷惑を掛けたとして自責の念に囚われ以後の山行に難色を見せていた。
ケガが回復しチロロ岳の沢では見事登頂し12時間の山行をやり遂げた。
そして今回の1839峰の登頂だから感極まる感動だったと思う・・・
9/13 2年連続遥かなる1839峰の頂きに立つ・・・
対岸の向こうにはコイカクシュサツナイ岳と夏尾根の頭にテントが見える・・・
1839からの下山
間もなくテン場もハイ松との格闘が続く・・・
【9/14(木)】
昨日は11時間の山行だったが登頂の喜びと無事テン場に着いた安堵感に浸りながら
苦労して持ち上げた最後のビールで乾杯した。
ここにビールがある事で感動に色を添え11時間を振り返りながら話が弾んだのは言うまでもない。
しかし、疲れと酔いは隠し切れず19:30頃には就寝してしまった。
4:30 起床。
テントはガスの中に包まれて何も見えなかったが風が弱いのが幸いしていた。
いつもの様にコーヒーを落とし最後の朝を楽しんでいる。
朝ごはんは、レトルトの五目ご飯とスープを頂いて明るくなるのを待った。
6:00過ぎ、テントを撤収して下山の準備に掛かり6:30下山を開始した。
ガスのため視界が悪かったが痩せ尾根と深い谷底を見ない分恐怖心を抱かずに下山出来たのは
幸いかも知れない。
7:15~25 1305m台地に着く。登りで1時間45分掛かったところも下りでは45分
というのが嬉しい。また、上二股には8:40に着き4時間30分も下り2時間10分というのも
日高らしい登下行のタイム差だ。
デポしていた沢靴に履き替え、意気揚々と沢を下る。
肩に食い込んでいたザックも日帰り装備?と思うほどに軽く2時間で登山口に着いた。
また一つ夫婦登山の山歴を重ね、満足し充実した時間を過ごした。
限りある夫婦の力であっても慎重に準備を進め無理せずに注意深く行動をすれば今回のような
大きな山行もやり遂げられると確信する。
帰路はいつもの新嵐山荘で貸切の入浴となり往路を辿って16:45帰宅した。
9/14 下山の朝
下山途中 コイカク沢上二股付近にて
無事下山の登山口
※ この記録はあくまでも10年前2006年9月のものです。
本来公開するために作った紀行ではなく自分たちの記録としてワードで作成したものをブログに転化しました。
ご訪問頂き紀行文を読んで頂けたなら嬉しく思いますが、自分で読み返してもちょっとくどいかな?と思いました。
ありがとうございました。
岳人憧れの名峰・1839峰 (1842m)
■ 山 行 日 2006年9月11日(月)~14日(木) 3泊4日
■ ル ー ト コイカクシュサツナイ川~コイカクシュサツナイ岳
~ヤオロマップ岳~1839峰 往復
■ メ ン バ ー 夫婦登山 №13
■ 登 山 形 態 沢登り&稜線踏み跡
■ 地 形 図 1/25000地形図 「岩内川上流」「ポンヤオロマップ岳」
「ヤオロマップ岳」「札内川上流」
■ 三角点・点名 コイカクシュサツナイ岳・1839峰 三角点・点名無し
ヤオロマップ岳 二等三角点・点名「遺間布岳ヤオロマップダケ」
■ コースタイム 登り 夏尾根の頭まで 7時間10分
テン場~1839峰まで 5時間43分
1839峰~テン場まで 4時間35分
下り 4時間50分
<登り>
【9/12】
06:50 ヒュッテ前出発
07:00 コイカクシュサツナイ川入渓
09:10~35 C640 上二股 (沢靴デポ)
14:10 C1719夏尾根の頭 C2
【9/13】
05:07 C2出発
07:50 ヤオロマップ岳
10:50 1839峰
11:25 下山開始
13:45 ヤオロマップ岳
16:00 テン場 C3
<下り>
【9/14】
06:30 C3 下山開始
08:40~09:05 上二股
11:20 札内川ヒュッテP
当時作成した記録はA4サイズ8ページにおよび自作としては大作でした・・・
当時の記録をそのままブログへ (尚、実名のみ変えています)
今年の夫婦登山「メイン山行」は何処にしよう・・・?と思案していたが、№13を数える夫婦登山の中にも
メインと呼ぶに等しい二人の冒険と挑戦が混じる山行が多い年だと思う。
それらは1月日高のシキシャナイ岳や南白老岳、5月の沙流岳やニセコのシャクナゲ岳~白樺山、九州の由布岳や
阿蘇山、6月の利尻山と礼文岳、7月には俵真布からトムラウシ山の壮大な花畑を堪能し、9月に入ってチロロ岳
をチロロ川右沢から登り左沢から下降するという冒険をし12時間を要して無事下山して来たのは記憶に新しい。
ただ今回の1839峰は、重装備を伴い稜線にテントで2泊するというチーヤンにとっては始めての夏の縦走経験
となるので、今のところのメインとなるかも知れない。
私自身は、3年連続の挑戦となり昨年念願の初登頂を果たし感動の思いは新しくチーヤンとの山行がこんなに早く
実現出するとは思わなかった。
C1となった札内川ヒュッテ前の駐車場に停めたマイハイエース
【9/11(月)】
チーヤンが仕事を終えて17:30帰宅し、早々に着替えて18:00には自宅を出発する。
この出発は、二人にとって結構パターン化されていて、出発当日の私が非番などで家に居る場合はすでに準備を
終えている食材や装備をチェックしながら順次車に積み込みを終えて置くからである。
食当はチーヤンで前日までしっかり準備を終えて、食材は冷蔵庫、レシピはテーブルの上にメモを添えて置かれ
ているので段取りは早い。
樹海ロードの国道274号線は通い慣れた日高路で暗闇でも迷う事無く登山口となる札内川ヒュッテに到着する。
自宅から約230キロ3時間30分かかった。21:30だった。
ヒュッテ前の駐車場に車一台があってヒュッテには灯りが点いていなかったので即マイカーハイエースが今夜の
宿に決定する。と言うより最初から車中泊の予定ではあった。
早々に冷えたビールを出して「登山口安着の儀」となり夫婦の尽きない話も23時には終了し明日の好天と登山
の成功を祈って就寝となった。
9/12 潅水した広いコイカクシュサツナイ川の出合い
【9/12 (火)】
4:00起床予定だったが、昨夜の就寝が23時だったので5:00起床に変更する。
(やっぱり寝不足で重荷は堪えます)
コーヒーを落としてまったりモーニングで目を覚ます。
朝食は、パックライスにレトルトカレー(スープ・漬物付)でしっかり摂る。
昨夜のヒュッテには誰も居なかった・・・トイレを借りて用を足し出発準備を整える。
天候は高雲りで風は無く手元の温度計で14℃だった。
6:50さぁ、いよいよ出発。
ずっしりと重いザックにはビール500缶6本がしっかりと入っていた。
トンネルをくぐり橋を渡って5分足らずでコイカクシュサツナイ川登山口出合いとなり左岸沿いの作業道に
左折する。7:00ほどなく入渓となるが広い河原には水が無くびっくりさせられた。本流の札内川に流れ
込む出合いには砂防ダムから水が湧き出ていたのでここでは伏流していると判る。
7:25 二段になった砂防ダムに出合う。右岸にしっかりとした高巻きルートがあり、高巻きが終了して
から少し休憩を取る。これ以降も広い河原歩きが続き、所々では伏流していて水流が無く上流を目指して歩く。
途中に小さな函地形となった場所が二箇所ほどあるが、何の問題なく通過する。ただ増水すると険悪な沢と
なりそうだ。上二股の近くになると石が大きくなり上流に来た事を実感するし正面には夏尾根の頭から派生
した主稜線上の1643峰ピークがどんどん近くに感じるようになる。
途中の小さな函にて・・・
9:10 C640上二股に着く。
沢靴をレジ袋に入れて小枝にデポし、ザックから登山靴を出して履き替える。更に水を9リットル給水しチ
ーヤンと3:6で分割してザックへ加える。グッグッグッっと重みを増したザックは肩口に食い込む重さだ。
おそらく30キロ以上はあると思う。
しかし、ここから稜線までが勝負の登りになるのはチーヤンも私も同じ事だった。
9:35 腕時計の高度計で高度をセットして夏尾根に取付く。
始めは背丈以上の笹藪の登山道を辿り日高らしい急峻な登りに突入する。とにかくゆっくりと一歩一歩登り、
高度計を見ながらまずは地形図上の1305m台地を目指す。20分から30分に一回は休憩しながらよう
やく1305m台地に着いたのは12:05だった。爽やかな風を受けながら大休憩を取る。
夏尾根1600m付近に攀じ登るチーヤン・・・
昨年の夏、エサオマントッタベツ川を遡行したときもチーヤンのザックを含めて重装備だっかも知れないが、
さすがのチーヤンも今回はかなり堪えているようだった。それでも今日のペースは計画通りのゆっくりペースで
無理は無かったようで安心する。
一歩一歩高度を上げるにつれ、尾根が狭く急峻になって来る。灌木も低木となり周りの稜線や沢から見ていた
1643峰も真横に高さを並べるまで登って来た。岩稜帯に差し掛かるとようやく今日の目的地「夏尾根の頭」が
視界に入って来た。高度感溢れる光景にチーヤンも感動し日高の深さを実感したようだった。
そして14:10ついに「夏尾根の頭・1719峰」に辿り着いた・・・。
夏尾根の頭も間もなくだぁ~・・・
安着の一杯に安堵して
ビール1杯で睡魔が襲う。酔いか余裕か疲労なのか?
今回のテン場はここ「夏尾根の頭」に決めていた。
快晴とまでは言わないが北から南までの展望はまずまずで稜線隣のコイカクシュサツナイ岳から
辿る明日の道筋と遥かなる1839峰が目の前に聳え立っていた。
チーヤンは始めて見る中日高の稜線。写真と話だけは経験済みの1839峰を目の前にして
「これが本物の1839峰なんだぁ~」と一時呆然と感動に慕っていた。風も無く比較的暖かいので
テン場到着の安着と明日の登頂を願って乾杯は外でやった。
ぬるくても何故か美味しい缶ビール。グイグイ飲んだら二人とも急に酔いが回って来たのか、7時間の
緊張と疲れが一気に襲って来たのかテントの中で居眠りをしてしまった・・。(16時から17時頃まで)
目を覚ますと外は暗くなり始め夕陽が沈む寸前だった。
程良い疲れと今日の満足感に二人とも足を伸ばし生き帰ったかのように我に戻る。そして、夕食の準備をしながら
二次会も同時進行し再び缶ビールの栓を開けた・・・。
今夜のメインは、レトルトのかつ丼とレトルトキノコご飯、更に生レタスと半玉・マヨネーズにウインナー4本と
笹かまぼこという豪華メニューだった。美味しく頂いてウイスキーまで手を出してしまった。
外を伺うとガスが立ち込めて真っ白状態だったが、さほど気にすることも無く(ただ酔っていただけ・・)二人だけの
静かな時間が過ぎて行くだけだった。
19:30もう二人とも限界か・・・就寝体勢に入る。
外は風も無く星空に変わっていた・・・。
おやすみ・・・
テン場から夕方のコイカクシュサツナイ岳を望む
夏尾根の頭に張ったマイテント
テン場から夕陽に浮かぶ名峰「1839峰」を望む・・・
【9/13(水)】
3:30 起床。
多少雲があるが星空で無風だった・・・。
まずは恒例のコーヒーを落としてアタックへの気合を入れる。
朝食は、レトルト米のサケ茶漬けをサッと頂いて出発体制に入る。
計画では6:00出発だったが、何故か5:07に出発した。
昨日とは打って変わって日帰り装備の軽い身なりに足取りも軽い。10分でコイカク岳頂上を踏むが
ガスっていたので写真はパスして通過する。
踏み跡だけは一級国道のハイ松と格闘しながら稜線を下り1560mコルには5:58。
「一昨年のテン場だよ」とチーヤンに伝えて通過する。今思うとこんな酷いところに何故テントを張ったのか・・と反省する。
少しずつガスが消えて晴れ間が多く顔を出し始めて、昨年Hさんと泊まった通称「ヤオロの窓」のテン場に着く。(6:25)
更に登って1753ピークで休憩した。(6:45~55)
テン場から夜明け前の1839峰
9/13 1753ピーク付近から朝陽を浴びた1839峰の勇姿を望む
ガスが出たり消えたりを繰り返しながらも晴れの兆候と信じつつ痩せた稜線を難なく歩く。
7:50 ヤオロマップ岳頂上到着。
名峰1839峰が形を変えて間近に迫る。しかし、十勝側はガスが立ち込め視界が悪くなり何も見えなくなっていた。
それでも二人で踏んだ遠い日高の名山に辿り着いた記念で一枚撮った。
9/13 ヤオロマップ岳頂上から1839峰を背に・・・
9/13 ヤオロマップ岳頂上(1794m) 今回始めてのツーショット
アタック時は快晴 1839峰
8:00 ヤオロマップを後にしていよいよ1839への稜線を辿る。
主稜線から外れ明瞭な踏み跡とオヤジの掘り返しや糞を見ながら30分程頑張ると地図上の1781ピークへ着き、
本峰への稜線取付きとなる。ここからは一気に標高差80m下り明瞭と不明瞭な踏み跡と灌木・ハイ松。アップダウンを
繰り返して10:10本峰手前の1770ピークに着く。見上げるほどに堂々とした本峰の勇姿が迫る。
「もう後戻りは出来ないぞ」「ここまで来たらあの壁を登ってピークを踏むだけだ」・・・と互いに気合をを入れ直し
最後のアタックへと向かう。
ガスもいつしか消え絶好の登頂日和となって直前の壁もロープを使わずに難なく登る。
そして、10:50 ついに頂上に立った!
手前の1770ピークから1839峰の勇姿が迫る
感動・涙の登頂と下山 テン場から往復11時間
頂上に立つや感極まってかチーヤンの瞳から涙が溢れていた。
そんなチーヤンを抱擁し、遥かなる日高の名峰に夫婦二人で登頂出来た喜びを共有した。
見渡す限り日高の山々が重なり合ってその山脈のほぼ中央に居ながら誰も居ない二人だけの貸切でこの眺望を独占している。
テン場からハイ松を掻き分けながら狭い稜線を辿り一歩一歩名峰を目指した。
登り5時間40分は価値ある時間だと思う。まさに登った者だけが味わえる景色と達成感や満足感だろうと思った。
暫くは登頂気分を楽しみ行動食を口にして辿って来た道筋を振り返る。遥か対岸の稜線上には微かに私たちのテントが
確認出来て、今度はあそこまで戻る現実が待っていることを知らされた。
ここから離れたくないと思ったのは、昨年の登頂時も感じた安堵感だったが、登ったら降りる・・のが登山の宿命で
後ろ髪を引かれる思いで下山を開始する事にした。
またその前に昨年Hさんが頂上に置き忘れたカメラを探してみたが在るはずもなく断念した事も書き加えておこう。
下りでは、ヤオロマップ岳を過ぎてからほとんど休む事無くひたすら歩いた。9月の中旬ともなると日照時間が短く
ゆっくりしていると暗くなる事を案じてのことだ。それでもようやくテントに着いたのは16:00となり周りは
薄暗くなっていたので急いだのは正解だった。
下りの所要時間は5時間05分で往復だとおよそ11時間の登行となった。
8月の沢で起こしてならない事故が発生しチーヤンにケガをさせてしまった。なんとか下山は出来たが責任感の強い
チーヤンはメンバーに迷惑を掛けたとして自責の念に囚われ以後の山行に難色を見せていた。
ケガが回復しチロロ岳の沢では見事登頂し12時間の山行をやり遂げた。
そして今回の1839峰の登頂だから感極まる感動だったと思う・・・
9/13 2年連続遥かなる1839峰の頂きに立つ・・・
対岸の向こうにはコイカクシュサツナイ岳と夏尾根の頭にテントが見える・・・
1839からの下山
間もなくテン場もハイ松との格闘が続く・・・
【9/14(木)】
昨日は11時間の山行だったが登頂の喜びと無事テン場に着いた安堵感に浸りながら
苦労して持ち上げた最後のビールで乾杯した。
ここにビールがある事で感動に色を添え11時間を振り返りながら話が弾んだのは言うまでもない。
しかし、疲れと酔いは隠し切れず19:30頃には就寝してしまった。
4:30 起床。
テントはガスの中に包まれて何も見えなかったが風が弱いのが幸いしていた。
いつもの様にコーヒーを落とし最後の朝を楽しんでいる。
朝ごはんは、レトルトの五目ご飯とスープを頂いて明るくなるのを待った。
6:00過ぎ、テントを撤収して下山の準備に掛かり6:30下山を開始した。
ガスのため視界が悪かったが痩せ尾根と深い谷底を見ない分恐怖心を抱かずに下山出来たのは
幸いかも知れない。
7:15~25 1305m台地に着く。登りで1時間45分掛かったところも下りでは45分
というのが嬉しい。また、上二股には8:40に着き4時間30分も下り2時間10分というのも
日高らしい登下行のタイム差だ。
デポしていた沢靴に履き替え、意気揚々と沢を下る。
肩に食い込んでいたザックも日帰り装備?と思うほどに軽く2時間で登山口に着いた。
また一つ夫婦登山の山歴を重ね、満足し充実した時間を過ごした。
限りある夫婦の力であっても慎重に準備を進め無理せずに注意深く行動をすれば今回のような
大きな山行もやり遂げられると確信する。
帰路はいつもの新嵐山荘で貸切の入浴となり往路を辿って16:45帰宅した。
9/14 下山の朝
下山途中 コイカク沢上二股付近にて
無事下山の登山口
※ この記録はあくまでも10年前2006年9月のものです。
本来公開するために作った紀行ではなく自分たちの記録としてワードで作成したものをブログに転化しました。
ご訪問頂き紀行文を読んで頂けたなら嬉しく思いますが、自分で読み返してもちょっとくどいかな?と思いました。
ありがとうございました。