エバ夫婦の山紀行ログ

道産子60代、四季を通じて主に夫婦で登った北海道の山を中心に紀行文を載せています。アウトドア大好き夫婦。

BCの新アイテム「Ⅿ型スキーアイゼン」製作者との出会い

2018年01月20日 | 山紀行 (道央・札幌・積丹)
登別のトキさん、探し当てたわが家で再会・・・
「Ⅿ型スキーアイゼン」の提供
トキさん考案製作のアイゼン試行山行 in 「室蘭岳」

★ トキさんとのプロローグ・・・
★ 初対面となった2016年1月22日「白老岳」の当ブログから 
  トキさんとの出会いは、上記のブログをご覧下さい。

普段の山でよくある出会いでした。挨拶を交わして、終わり・・というパターンが多いと思います。
ただ、トキさんは当ブログの愛読者で出会ってすぐ「エバさんですか?」と声を掛けて来ました。
まぁ私より妻のチーヤンを見ての問い掛けでしたが、嬉しい声掛けだった事は忘れていません。

あれから約2年・・・昨年12月のある日の事です。
わが家のインターホンを鳴らし「こちらはエバさん宅ですか」と見知らぬ声。
えっ?と思いながらも「ハイ」と応えてすぐに玄関へ向かった。
すると「登別のトキ〇と申します・・・」「覚えていますか?」とオジサン・・・

最初はピンとこなかったが、お話を聞いてすぐに思い出した。
しかし、何故わが家が分かったのか?住所はおろか電話番号も知らせていないのに。
何か訳ありで訪ねて来られたと直感し上がって頂きお話を伺う事にした。

トキさんは、私たちと出会った後別の山で転倒し、大けがをして入院したと言う。
その影響で現在も「首」に障害が残り激しい運動は控えるように言われているらしい。
それでもリハビリを重ね今は軽い山登りから再開していると聞き何より良かったと安堵した。

色々なお話を伺ったが、詳細は割愛する事にする。
わが家を探し当てたのは「ブログ記事」らしくその方法を伺って凄いと驚いたが、その
行動力にも関心した程である。

訳あり・・というのは、トキさんが考案・自作の「Ⅿ型スキーアイゼン」を是非使って欲しい
という事だった。普通のスキーアイゼンとはまったく異なる可動式(MOVABLE)の
スキー滑り止め具。これまで何度も試行錯誤しながら作製し今の形になったという。
そんな貴重なアイテムを自ら私に・・・とは、大変恐縮するお話だった。

しかし、その便利さと熱意にも打たれ自分たち専用のスキーアイゼンを作って頂くよう
依頼してトキさんは帰宅した。


★ スキーアイゼン完成・・・
【1月17日(水)】
完成のメールを受け取り、この日トキさんの自宅まで伺う事にしていた。
そして、トキさんと一緒にスキーアイゼンを取り付けてその成果を試したいとお願いしていた。

9時頃にお邪魔して早々製作したアイゼンをスキーに装着。
微調整をして直ぐに山で試行出来るものと思っていたが、結局お昼近くまで作業が続いたので
ランチしてから室蘭岳に向かう事になった。



トキさんの自宅車庫が作業場(工房)です。


これが丹念に製作された私専用の「Ⅿ型スキーアイゼン」です。歯の部分が可動式になっている。


トキさんお勧めと言う室蘭市宮の森町にあるらーめんハウス「竹よし」の特製味噌ラーメン大盛りです。


私好みのしつこくない円やかな味噌味。麺も太いちぢれ麺。美味しかったです。

★ 試行山行、室蘭岳(911m)へ・・・

■ 山 行 日   2018年1月17日(水)   日帰り
■ ル ー ト   ダンパラスキー場~水元の沢ルート
■ メ ン バ ー    トキ、エバ
■ 登 行 形 態    山スキーシールレス(スキーアイゼン装着)
■ 地 形 図   1/25000地形図   「鷲別岳」
■ 三角点・点名  一等三角点 点名「鷲別岳ワシベツダケ」
■ コースタイム   登り 2時間20分     下り 20分
<登り>
12:40  ダンパラスキー場スタート
15:00  室蘭岳頂上

<下り>
15:20  下山開始
15:40  スキー場ロッジ前


★ 初体験・敢えてシールレス歩行・・・
トキさんが丹誠込めて作ったスキーアイゼンとは言え、その効果を試すまでは
正直、半信半疑だったと言う気持ちは拭えない。
基本的には、シールを貼った状態でアイゼンを装着するとより効果があると言っていたが、
今日は試行山行でもあり敢えてシールレスで歩いて見る事にした。

最初は、歩き方がよく分からずアイゼンの歯が立たずにスキーを滑らせてしまったが、コツを教えて頂き
少しずつ歩けるようになった。ただ、パウダーな深雪は効果が薄く春先の固い雪面に効果を発揮する
アイテムらしい。シールと併用する事が基本で、かなりの斜度でも直登が可能になると言う。
脱着も簡単で下り斜面でもアイゼンを装着したまま下れる利点もある。アイゼンの重さは約240g(片側)
付けて歩いても重さや違和感は余り感じなかった。
途中から付け足した補助アイゼンがあれば「無敵」と言えるほどグリップ力が増し、安心だった。



ダンパラスキー場・・・中央奥の山が室蘭岳911m


スキー場コースの右端を逆走する形で登る・・・


コース上部から右に外れ、水元の沢ルートへ進む


二人のスキーにはシールが貼っていません・・アイゼンのみ装着しています


ある程度の斜度でも雪面が固ければアイゼンの歯が刺さりクリップ力が増します




眼下に広がる室蘭市街地と太平洋を望む




頂上直下、アイゼンは2個付けていますが難なく登って来られました・・


1/17 室蘭岳 911m 頂上にて・・・山頂標識は雪に埋もれていました。


これが、Ⅿ型スキーアイゼンです。

★ トキさんとの記念山行に・・・
山でたった一度出会ってお話しただけなのに・・・私の自宅をブログの記事だけで探し当て訪問して来たトキさん。
ブログ愛読者と言っていただけるだけでも嬉しい事なのに「勇気を貰った」とか「励まされた・・」などと言われると
穴があったら入りたいほど恐縮してしまった。山でケガをされて以降長い入院とリハビリに耐えながら自作の
スキーアイゼンをもっと多くの方に知ってほしいという願いの中にふと私の事を思い出したと言っていました。

アイゼンの話になるともう止まりませんが、是非作らせて欲しいという熱意がジンジン伝わり
最後には夫婦二人分を作って欲しいとこちらからお願いしていました。
一つ一つのパーツがハンドメイドであり時間もお金も掛かる逸品です。「形あるものいつかは壊れる」と
口癖のように何度も「壊れたらいつでも言って下さい」と繰り返し言ってくれました。

今回完成したスキーアイゼンを装着し、試行とは言え一緒に登った室蘭岳は私にとって忘れられない山行の
一つになるでしょう。
これから実際の山行で使用し、どれだけ効果があるのか楽しみです。
その成果は、今後のブログの中でも紹介・報告したいと思っています。